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第74話『ステルクステ騎士団領』

登場人物


◎舞原 彰(まいはら あきら:アキラ)

 男性 59歳

 身長180cm超 バキバキの筋肉質 スキンヘッド まつ毛の長い、キラキラした瞳の女性のような目

 定年間近の某県警刑事

 剣道七段(練士)柔道五段

 逮捕術上級(全国大会準優勝の経験あり)

 雑学好きのうんちく親父

 涙もろく人情派

 素人童貞

 殉職後、異世界にエルフの美少女に転生


◎マイカ(アキラ)

 年齢16~18歳くらいの見た目

 白金色の長い髪

 緑色の瞳

 先の尖った耳

 巨乳

のエルフ美少女

 舞原彰の転生後の姿

 ハンデルの営むヘルト商会にて稼働

 ラウムテ帝国の皇家直臣となり、異世界初の警察組織建設のため奮闘中


◎ケルン

 モンスターであるケルベロスの子(♂)

 3つの頭、尻尾は1本

 中央の頭に他のケルベロスには無い、赤い尖った角が生えている。

 火を吹く

 甘いものが好き


◎ハンデル

 男性 30歳

 身長180cm強 細身の引き締まった体型

 茶色くせ毛短髪 茶色の瞳

 旅の行商人 剣の達人

 街道筋の脅威となるモンスターや盗賊などの退治を請け負う「闘商」としても活動する。

 割りと二枚目


◎エフェリーネ

 女性 22歳

 ラウムテ帝国摂政

 第9代皇帝の女帝ヨゼフィーネの一人娘

 ヨゼフィーネの死後、皇帝に即位した従弟のヤスペルの代理として政務を執り行なっている。

 身長165cm 中肉

 茶色セミロングストレートの髪

 やや淡い茶色の瞳


◎リーセロット

 女性 年齢不詳(20歳代前半から半ば辺りの見た目)

 エフェリーネの側近くに仕えるダークエルフの女性

 身長170cm 美しい体型 爆乳

 黒髪の長髪 黒い瞳

 雷の魔法を使う


◎アードルフ

 41歳 獣人種である狸人族の男性

 身長約170cm ずんぐりむっくりな体型

 焦げ茶色の短髪 同じ毛色の太い尻尾

 頭上に半円形の耳

 ステルクステ騎士団団長ペトラの副官

 巨大な戦闘斧を使う剛の者

 変化の魔法を使う

 夜明け前に街道から()れて森の中に入ったマイカ達は丸太造りの小さな小屋で休憩した。

 この小屋もリーセロットの手の者が利用するためのもので、リーセロットが持っていた鍵でドアに付いていた錠前を開けて中に入った。


「ごめんなさいマイカ、少し寝過ごしたわ。

 さあ、急ぎましょう。ステルクステ騎士団領境の関所まであとほんの少しよ。」


 マイカ達が森の中の小屋を出発して約1時間ほど馬車で街道を北上したところ、石造りの質素な建物が見えてきた。

 その前に槍を持った鎧姿の男が1人だけ立っている。


「着いたわマイカ。ステルクステ騎士団領へ入る関所よ。」


「えっ!あの質素な建物が?門も無いの?」


「ええ、そうよ。ステルクステ騎士団にはね大袈裟(おおげさ)な防御なんて必要ないのよ。」


 それでも一応、建物前に立っていた男が槍でマイカ達の馬車を通せんぼしたため、リーセロットは御者台から降り、マイカもキャビンから表へ出た。

 リーセロットは帝都を発った時から同様の

   コイフを被り、スカーフで口元も隠し

   革の胸当てと幅広の乗馬ズボン

を見に付けて正体を隠した格好であり、マイカも

   例のお気に入りの若草色のワンピース

を着て

   リボン付きの大きな白色の帽子

を深く被って耳を隠している。


関守(せきもり)長様、来ましたぜ!多分この方達です。」


と、槍を持った男が建物内に声を掛けたところ、中から

   2mを軽く超える長身

   銀色の蓬髪(ほうはつ)

   赤身がかった肌の色、金色の瞳

の大男が、その身長と同じくらい長大な剣を左手に持って出てきた。

 この大男は鎧を着ておらず、まるでタンクトップのような襟と袖の無いシャツの上衣とズボン姿で、(いわお)のような凄い筋肉を表に出していた。


「当地にはどのような御用件かな?」


と、その赤い肌の大男が尋ねてきたためリーセロットが


「アードルフ殿に御所望の品をお届けに。」


と低い声で答えたところ


「やはりそうでしたか!判りました。どうぞお通り下さい。」


と、その大男は笑顔になって言った。笑うと上唇の両端から牙のような歯が見えた。

 既に関所には通達があったみたいで、関守長とリーセロットの問答は合言葉であったのだろう、積み荷の検査も無く、帽子や(かぶ)り物を取ることも要求されずに、すんなりと関所を通過することを許された。


「さっきの関守長さん、凄く大きくて強そうだったね。

 赤い肌の色や牙みたいなの生えているところからすると、常人(つねびと)とは違うようだけど。」


と、マイカが馬車のキャビンから御者台のリーセロットに声を掛けた。


「ええ、彼はオーガ族の男性ね。とても膂力(りょりょく)の強い戦闘民族よ。

 ちなみにステルクステ騎士団のペトラ団長もオーガよ。」


「へえーっ、やっぱり強きを尊しとする国風だから、オーガの人達は多いの?」


「ええ。あっ、マイカ、御者台まで来て辺りをご覧なさい。」


 マイカがリーセロットに言われた通りに御者台へ移って周りを見渡したところ、街道脇の畑で野良仕事をしている人や、広場や空き地みたいな所で木剣や木の棒を使って武芸の鍛練を行なっている人達が大勢見受けられた。

 その人達は、緑色の肌の色をした人や、頭に長く立った獣耳を持つ人、全身モフモフの毛で覆われている人、あるいは、まるで猪のような鼻や牙を持つ人など、所謂(いわゆる)常人(つねびと)とは違った特徴を持つ人が多かった。


「…亜人?の人達?常人(つねびと)と違う人種の人達が沢山いるね。」


「そうよ、ゴブリン族やオーク族の亜人種、兎人族や狼人族などの獣人種の人達がいたわね。

 長くヘローフ教の影響を受けていたせいで、いまだに帝国内では亜人種、獣人種は差別や迫害を受けているけれど、此処ステルクステ騎士団領においては、そういった事が昔から少ないの。

 しかも、強ければ誰でも出世できるから、多くの亜人種、獣人種の人達が移り住んだのよ。」


「なるほど、確かに帝国内では見なかったな、亜人種や獣人種の人達…

 あ!いや、そういや盗賊団にはいたっけ、アソゥ団の中には…」


「ええ、差別による貧困などの理由で犯罪に手を染める人も多いわ…

 マイカが今まで訪れた所では見なかっただけで、帝国内にも大勢いるわ。でも差別のせいで人里離れた場所に隠れて住んだり、都市部ではスラム街のような場所に多く住んだりしているわ。」


「人種差別か…根深い問題だね…」


「ええ本当に…その点、このステルクステ騎士団領は人種なんて関係なく、強さだけが基準だし、それに弱い人でも、畑仕事や商人、職人とかの職業に就くことで人々の役に立っているということをちゃんと認められて、その強弱による差別も無いのよ。

 此処は差別とは無縁の地よ。」


「へえーっ、凄いね。

 でも何でステルクステ騎士団領には出来て、帝国には出来ないの?」


「…色々あるけど、まず此処は国が小さくて人口が少ないからかな。隅々まで目が行き渡るし、しかも国全体が豊かだから貧困層というものも無いし…

 ところでマイカの前の世界においては、人類は常人(つねびと)だけだと言っていたわね?それなら人種差別なんて無かったんじゃない?」


「…それがあったんだよ、かなり深刻な差別が。民族の違いとか、肌の色の違いとかで…」


「肌の色の違い?そんな些細な事で差別するの!?信じられない!」


「だろ?地球上のどんな場所へも1日2日ほどで行けたり、宇宙に出て月に降り立つ事が出来たほどに文明が進んでいたのに、そんな些細な事による人種差別が存在してたんだよ…」


 関所を抜けてステルクステ騎士団領内に入ってから小一時間ほど経った頃、マイカ達が乗っている馬車に向かって1羽の鷹が空からやって来て、御者台で馬車を操縦しているリーセロットの横に降り立った。

 その鷹は降り立った瞬間

   ずんぐりむっくりの体型

   焦げ茶色のボサボサ短髪

   目の周りと鼻の頭が黒い

   頭上に半円形の獣耳と腰部に尻尾

を持つ男性に姿を変化させた。

 ステルクステ騎士団ペトラ団長の副官アードルフであった。


「わざわざのお出迎え、痛み入りますアードルフ殿。」


「いえ、こちらこそ()くのお越し、(かたじけ)のうございますリーセロット殿。」


「何!?どうしたのリーセロット?」


 聞き慣れぬ男の声がしたため、マイカが慌ててキャビンから前に身を乗り出した。


「リーセロット、誰?この人は?」


「ステルクステ騎士団ペトラ団長の副官アードルフ殿よ。騎士団長府までの案内に来て下さったのよ。」


「あ、ども初めまして…てか、いつの間に?」


「アードルフ殿は変化の魔法で色々と姿を変えられるの。今回は鷹になって来られたわ。」


「ええ、さいでやす。御信頼を頂けるように、こうやって先にあっしの魔法をお見せしようと思いやして…

 貴女(あなた)がマイカ嬢でやすね。なるほどお美しい…それと…」


 アードルフがマイカの脇からキャビンの中を覗き込むように見た。中でケルンが眠っている。ケルンは昨夜のナフトディーアとの戦いの後からずっと眠っていた。


「ケルベロスの子もいらっしゃいやすね。

 さ、急ぎ御案内しやしょう。そして…

 まずは御入浴して頂きやしょうかね。そして御着替え頂いた後、団長に面会して頂きやしょう。」


「…やはり匂いますか…?」


 アードルフの申し立てにリーセロットが頬を赤らめて恥ずかしげに答えた。


「あっしは獣人種の中でも割りと鼻の利く()人でありやすので…

 道中、何かあったんでやすか?リーセロット殿。」


「ええ、昨夜ナフトディーアの群れに襲われまして…汗を沢山()いてしまいました。」


「ナフトディーア!それはもっと早くお迎えに上がるべきでやした、御無事で何より。

 しかしナフトディーアめ、調子に乗ってあっしらの領分のこんな近くにまで来やがって!(じき)に討伐隊を繰り出して根絶やしにしてやりやす!!」


 アードルフが迎えに来て3時間ほど馬車を走らせたところ、ステルクステ騎士団領首都クナップに到着した。

 此処もラウムテ帝国の帝都やインハングの街のように街を囲む市城壁や市城門などは無く、侵入しようと思えば、何処からでも街の中に入れる。

 クナップの街に入り、何回か(かど)を曲がりつつ1時間ほど走り、ステルクステ騎士団長府に到着した。

 騎士団長府の建物も何の変哲(へんてつ)も無い、白く塗られた板壁の赤い屋根の建物で、帝国の皇宮内の旧ドラーク公爵邸やベレイド子爵の住居にもなっている宰相府の建物などと比べても、かなり小規模なものだった。

 塀や門も無く、見張りも置いていない。


「…起きないね、ケルン…」


 マイカとリーセロットは既に入浴を済ませ、騎士団長府の玄関横に停めた馬車に戻っていた。

 入浴の際、またもやリーセロットはマイカと一緒に入りたがったが、マイカは断固拒否し、別々に入って今に至っている。

 マイカは例のエルフの(ころも)と呼ばれる、光の当たり具合で虹色に光る白いワンピースを着用し、リーセロットは紫色のワンピースを着て、普段頭上で巻き上げてお団子にしている黒髪の長髪を下ろしていた。

 ケルンは馬車の中で眠ったままで、マイカとリーセロットが様子を見ていると、アードルフが


「お待たせ致しやした。団長ペトラの準備が整いやした。さっ、面会の間へ。」


と、馬車の外から声を掛けてきた。


「はい、アードルフ殿…しかしケルンが…」


「ケルンが?ケルベロスの子がどうかしやしたか?リーセロット殿。」


「ええ、ずっと眠ったままで起きないのです。昨日のナフトディーアとの戦いで疲れ果ててしまっていて…」


「そうでやすか…ならばリーセロット殿とマイカ嬢の御二方(ふたかた)が先に参って頂きやしょう。」


(よろ)しいのですか?アードルフ殿。」


「はいリーセロット殿、仕方ありやせん。ケルン君が起きたら直ぐに(しら)せるように、あっしの従士を1人付けておきやしょう。」


 マイカとリーセロットはケルンを馬車に残し、ステルクステ騎士団長府の建物内に入っていった。


                第74話(終)


※エルデカ捜査メモ〈74〉


 かつてヘルダラ大陸の大部分を勢力圏下に置いていたフリムラフ教国の国是であるヘローフ教は常人(つねびと)以外を人間と認めず、亜人や獣人を迫害し続けてきた。

 地方領主であったリシャルト・ドラークが打倒フリムラフ教国の旗を掲げた時、その旗の元に多くの亜人獣人が集まり、リシャルトを多いに助けた。

 その多数の亜人獣人の協力の甲斐あってフリムラフ教国の勢力を駆逐していくことが出来、リシャルトはやがてラウムテ王国、ラウムテ帝国を建国するに至った。

 いわば亜人獣人が帝国建国の大貢献者なのだが、ヘローフ教の教えそのものを消し去ることまでは出来ず、人口において多数を誇る常人(つねびと)により、帝国においても亜人獣人は差別される側となってしまった。

 兵強く、国は豊かで差別も無い

 ステルクステ騎士団領は、一種の理想国家なのかもしれませんね。

 そこの首魁である団長ペトラとはどのような人物なのでしょうか?

 これからもよろしくお願いいたします。

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