第73話『ナフトディーア』
登場人物
◎舞原 彰(まいはら あきら:アキラ)
男性 59歳
身長180cm超 バキバキの筋肉質 スキンヘッド まつ毛の長い、キラキラした瞳の女性のような目
定年間近の某県警刑事
剣道七段(練士)柔道五段
逮捕術上級(全国大会準優勝の経験あり)
雑学好きのうんちく親父
涙もろく人情派
素人童貞
殉職後、異世界にエルフの美少女に転生
◎マイカ(アキラ)
年齢16~18歳くらいの見た目
白金色の長い髪
緑色の瞳
先の尖った耳
巨乳
のエルフ美少女
舞原彰の転生後の姿
ハンデルの営むヘルト商会にて稼働
ラウムテ帝国の皇家直臣となり、異世界初の警察組織建設のため奮闘中
◎ケルン
モンスターであるケルベロスの子(♂)
3つの頭、尻尾は1本
中央の頭に他のケルベロスには無い、赤い尖った角が生えている。
火を吹く
甘いものが好き
◎ハンデル
男性 30歳
身長180cm強 細身の引き締まった体型
茶色くせ毛短髪 茶色の瞳
旅の行商人 剣の達人
街道筋の脅威となるモンスターや盗賊などの退治を請け負う「闘商」としても活動する。
割りと二枚目
◎エフェリーネ
女性 22歳
ラウムテ帝国摂政
第9代皇帝の女帝ヨゼフィーネの一人娘
ヨゼフィーネの死後、皇帝に即位した従弟のヤスペルの代理として政務を執り行なっている。
身長165cm 中肉
茶色セミロングストレートの髪
やや淡い茶色の瞳
◎リーセロット
女性 年齢不詳(20歳代前半から半ば辺りの見た目)
エフェリーネの側近くに仕えるダークエルフの女性
身長170cm 美しい体型 爆乳
黒髪の長髪 黒い瞳
雷の魔法を使う
◎アッケルマン辺境伯
男性 42歳 実年齢より若く見える
身長約180cm 細身 栗色短髪七三分け 榛色の瞳
ラウムテ帝国 伯爵 名はフィリベルト
その所領地は帝国貴族中、ウェイデン侯爵家に次ぐ広大さ。
北方を敵対するフリムラフ教国と接する為、その抑えの任に就く。
モンスターの収集家で、モンスターの狩猟捕獲だけを目的とする部隊を編成している。
◎ライン
男性 37歳
身長約185cm 筋肉質
黒髪短髪 黒い瞳 黒色の髭面
アッケルマン辺境伯に仕える騎士
アッケルマン伯爵が編成するモンスター猟獲隊の隊長
◎シュルス
男性 61歳 実年齢よりかなり老けて見える。
身長約155cm 痩せ型 肩までの長さの白髪
アッケルマン辺境伯に仕える魔法使い
眠りの魔法を使う
ヴェルベルの宿場町を出て、一晩目、二晩目の野宿は何事も無く三日目の夜を迎えようとしていた。
朝早くから日が暮れるまで馬車の操縦をし、夜を徹して見張りをするリーセロットに、さすがに疲労の色が濃く見えてきた。
「この場所がいいわね。今夜の野宿の場所は此処にしましょう。」
と、リーセロットが野宿の場所に選定したのは、街道筋から逸れた雑木林の中にある広場のような場所だった。
此処なら見通しが効く上、何かが近付いてきたならば、雑木林に無数に落ちている落ち葉や小枝を踏む音によって判るだろう。
「今日も私が外で見張りをするから、マイカ達は馬車の中で休んで頂戴。」
「え?駄目だよ!リーセロットはずっと不眠不休じゃないか!
今夜の見張りは私がするよ。」
「それこそ駄目よ。貴女の剣の腕を疑う訳じゃないけど、大体マイカはモンスターと戦ったことある?」
「いや、ないけど…」
「じゃあ、気配を殺して高速で動ける敵と戦ったことは?」
「それも、ないけど…」
「じゃあ、やっぱり私が見張りをした方が良さそうね。
大丈夫よマイカ。私に任せて早く休んで。」
どれくらい時が経っただろう。
「来たわよマイカ!ナフトディーアの群れよ!!」
リーセロットが馬車のキャビンの中に飛び込んできてマイカに叫んだ。
その声で直ぐに飛び起きたマイカの耳に、雑木林の落ち葉や枝を踏む音が多数聞こえてきた。
「急いで馬車を出すわよ!」
リーセロットが御者台に飛び移り、馬に鞭を入れるも、恐怖で竦んでしまったのか、馬は足を動かさず、先に進もうとしなかった。
「クソッ仕方ない!」
リーセロットが御者台から馬車のキャビンの上に飛び上がった。
「雷の魔法!迅雷撃!!」
リーセロットがそう唱えたところ、数十本に及ぶ稲妻が発生し、地に落ちていった。
「シャアァァーーーッ!!」
しかし、暗闇で視界が悪いためか命中率は悪く、何十にも見えるナフトディーアの影の、ほんの10頭ほどを倒したのみであった。
「わわわ、リーセロット!コイツらメチャメチャ数が多い!!」
「不覚!少し意識が遠のいてしまった隙に、ここまで接近を許してしまうとは!!」
「リーセロット!左斜め後ろ7時の方向から5頭突っ込んでくる!距離約80!!」
マイカもキャビンの屋根の上に上がり、リーセロットにナフトディーアの位置を教えた。
「迅雷撃!!」
リーセロットが唱えて発生した5本の魔法の雷は、確実に1頭ずつ計5頭のナフトディーアの頭に落ちた。
「そういえばマイカは夜目が効くのだったわね!さあ、もっと教えて頂戴!!」
「うん!今度は真後ろ6時の方向から4頭!距離50!!」
「雷の魔法!迅雷撃!!」
マイカの指示により次々とリーセロットが雷の魔法でナフトディーアを倒していったが、迫る勢いは止まない。数が多すぎた。
「ワオーーン!ウオーーン!ギャオーーン!」
ケルンが馬車のキャビンから飛び出して、後ろから次々と迫ってくるナフトディーアの群れに向かって駆け出していった。
「ケルン止まれ!危ない!!」
ケルンはマイカの制止を聞かずナフトディーアの群れに近付いていくと、口から炎を吐き出した。
これまでケルンが火を吐いていたのは角の生えた中央の顔からのみであったが、今はその中央から吐く火炎放射器のような炎だけでなく、左の顔の口からまるで光線のような直線の炎と、右の顔の口から火の玉を吐いた。
中央の顔から発した炎は瞬く間に数頭のナフトディーアを火だるまにし、左の顔から発した炎の光線は、その直線上に居たナフトディーアの身体を貫いていき、更に右の顔から発した火の玉は1頭のナフトディーアに命中すると爆発し、傍に居た数頭もろとも吹っ飛ばした。
「ケルン…凄い……」
と、リーセロットが感嘆の声を上げ
「ケルン…いつの間にこんな事が……」
と、マイカがケルンの成長に目を見張った。
そのケルンの炎に後ろから迫っていたナフトディーアの群れは明らかに怯んだが
「イカン!前からも来ている!!」
マイカが自分の方に迫ってくるナフトディーアに気付いた。どうやら既に囲まれていたらしい。
(こいつら強い光が苦手だと言っていたな。
よし!じゃあ、強い光…眩しい…まるでサーチライトのような…)
「光の魔法!探照掌!!」
マイカが両手の掌を広げて前に出し、そう唱えたところ強い閃光が掌から発せられ、前方に伸びていった。
その強い閃光に照らされた十数頭のナフトディーアの目が眩み、その隙をついてリーセロットがナフトディーアの喉や額、首の後ろなどを短剣で突いて倒していった。
だがリーセロットが十数頭のナフトディーアを倒している隙に、他のと比べて特に巨大な1頭のナフトディーアがマイカに迫ってきた。
(デカイ!何だコイツは!?)
「光の魔法!探照掌!!」
マイカの両掌から、その巨大なナフトディーアの顔に閃光が放たれた。
「ピシャアアァァーーーッ!!」
目が眩んだその巨大なナフトディーアは仁王立ちとなって踠き、両前足を四方八方に振り回した。
(よし!コイツはオレが…かなりのデカブツだが、この刀なら通用するはず!!)
マイカは左腰に帯びていた剣の柄を強く握った。
…だが抜かない。
(クッ、駄目だ抜けない!相手がモンスターといえど、オレはやはり剣で命を殺めることは出来ない!!)
その時ケルンがマイカの前に回り込み、まず左の顔の口から吐いた炎の光線で巨大ナフトディーアの胸を貫き、次いで中央の顔の口から吐いた炎で火だるまにし、更に右の顔の口から吐いた火の玉の爆発により、その五体を吹っ飛ばした。
どうやら、この巨大ナフトディーアが群れのリーダーだったらしく、リーダーを失ったナフトディーアの群れは、皆方々へ逃げていった。
馬車は御者台にマイカとリーセロットが並んで座り、マイカが両手から出す光の魔法、探照掌の光をヘッドライト代わりにして夜道を駆けていった。
ケルンは戦いが終わった後、気を失うかのように眠ってしまった。どうやら力を使い果たしてしまったようだ。
「ふーっ、危なかったねリーセロット。でも皆無事で良かった。」
「ええ本当に。マイカとケルンのおかげよ、助かったわ。
このまま夜道を進めば夜明け前にはステルクステ騎士団領の勢力内に至れそうね。そうしたらモンスターの心配が無くなるから少し休ませて貰うわ。」
「うん、そうしなよリーセロット。
沢山休んでいいからね。」
第73話(終)
※エルデカ捜査メモ〈73〉
通常、ケルベロスが火を吐くのは3つある内の中央の顔の口からのみであるが、特殊個体の王獄犬種ケルベロスのみは3つの顔の口全てから火を吐くことが出来ると言われている。
しかし、それはいずれも同じ炎であり、今回のように3つの顔の口、それぞれ違う種類形状の炎を吐くことが出来たのは、本人も知らないがケルンだけである。
夜行性モンスター ナフトディーアの襲撃を凌ぐことが出来たマイカとリーセロット、ケルン。
特に覚醒したケルンの活躍が大きかったですね。まだまだ子供ですので、これからもっと強くなっていくことでしょう。
さて、いよいよ目指すステルクステ騎士団領も目前です。マイカ達をどのような事態が待ち受けているのでしょう。
これからもよろしくお願いいたします。




