第72話『帝国領北部のモンスター』
登場人物
◎舞原 彰(まいはら あきら:アキラ)
男性 59歳
身長180cm超 バキバキの筋肉質 スキンヘッド まつ毛の長い、キラキラした瞳の女性のような目
定年間近の某県警刑事
剣道七段(練士)柔道五段
逮捕術上級(全国大会準優勝の経験あり)
雑学好きのうんちく親父
涙もろく人情派
素人童貞
殉職後、異世界にエルフの美少女に転生
◎マイカ(アキラ)
年齢16~18歳くらいの見た目
白金色の長い髪
緑色の瞳
先の尖った耳
巨乳
のエルフ美少女
舞原彰の転生後の姿
ハンデルの営むヘルト商会にて稼働
ラウムテ帝国の皇家直臣となり、異世界初の警察組織建設のため奮闘中
◎ケルン
モンスターであるケルベロスの子(♂)
3つの頭、尻尾は1本
中央の頭に他のケルベロスには無い、赤い尖った角が生えている。
火を吹く
甘いものが好き
◎ハンデル
男性 30歳
身長180cm強 細身の引き締まった体型
茶色くせ毛短髪 茶色の瞳
旅の行商人 剣の達人
街道筋の脅威となるモンスターや盗賊などの退治を請け負う「闘商」としても活動する。
割りと二枚目
◎エフェリーネ
女性 22歳
ラウムテ帝国摂政
第9代皇帝の女帝ヨゼフィーネの一人娘
ヨゼフィーネの死後、皇帝に即位した従弟のヤスペルの代理として政務を執り行なっている。
身長165cm 中肉
茶色セミロングストレートの髪
やや淡い茶色の瞳
◎リーセロット
女性 年齢不詳(20歳代前半から半ば辺りの見た目)
エフェリーネの側近くに仕えるダークエルフの女性
身長170cm 美しい体型 爆乳
黒髪の長髪 黒い瞳
雷の魔法を使う
◎アッケルマン辺境伯
男性 42歳 実年齢より若く見える
身長約180cm 細身 栗色短髪七三分け 榛色の瞳
ラウムテ帝国 伯爵 名はフィリベルト
その所領地は帝国貴族中、ウェイデン侯爵家に次ぐ広大さ。
北方を敵対するフリムラフ教国と接する為、その抑えの任に就く。
モンスターの収集家で、モンスターの狩猟捕獲だけを目的とする部隊を編成している。
◎ライン
男性 37歳
身長約185cm 筋肉質
黒髪短髪 黒い瞳 黒色の髭面
アッケルマン辺境伯に仕える騎士
アッケルマン伯爵が編成するモンスター猟獲隊の隊長
◎シュルス
男性 61歳 実年齢よりかなり老けて見える。
身長約155cm 痩せ型 肩までの長さの白髪
アッケルマン辺境伯に仕える魔法使い
眠りの魔法を使う
マイカ達3名がステルクステ騎士団領を目指して帝都を発ってから5日経った。
夕刻まで馬車で駆け通し、小さな宿場町に寄ってリーセロットの手の者が運営する隠し宿に泊まり、翌朝早くにまた出発するの繰り返しで、キャビンに乗っているだけのマイカも幾分疲れてきているので、ずっと馬車の操縦をしているリーセロットの疲労は如何ほどだろうか。
ルストの宿場町を発った時、マイカは寝不足でボーっとして気が付かなかったが、宿に泊まって翌朝出発する際には、馬車も馬も新しいものに変わっていた。
これは一刻も早くステルクステ騎士団領に着くための配慮だろう。
「予定よりだいぶ早く進めているわ。
ステルクステ騎士団領へは、通常、馬車で15日程かかると言われているけれど、あと3日、計8日くらいで着けると思うわ。」
馬車を牽く馬を操っているリーセロットが後方のキャビンの中のマイカに話しかけた。
「うん。ごめんよリーセロット、馬車の操縦を任せっ放しで。
私、ただ乗っているだけで結構疲れているのに、リーセロットは凄く疲れているでしょう?」
「これくらい平気よ。気にしないでマイカ。」
「私も帝都に帰ったら馬車の操縦方法を教えて貰うことにするよ。」
「え?マイカは別にそんなことしなくてもいいんじゃない?
でも、まあ馬に乗ることは出来た方がいいかもね。マイカ、あなた前世で馬に乗ったことはないの?」
「うーん、観光牧場みたいな所で数回。
でも、牧場の人が手綱を引いてくれてたから、自分で馬を操ったことは一度もないよ。」
「へえー、観光牧場?そんなのがあるのね。
そうだ!ケルンが大きくなったらケルンに乗せて貰えばいいんじゃない?頭がいいから、良い按配に乗せて走ってくれると思うわ。」
「ケルンに?大丈夫なのかな?大人が乗って。」
「牡のケルベロスは馬よりも大きくなるから、きっと大丈夫よ。
これだけ心を通わせあってるんだもの、きっといいコンビになるわよ。」
「えっ?馬より大きくなるの?それは少し怖いかも…」
この、帝都を発って5日目の夜は、ヴェルベルという小さな宿場町に寄り、またリーセロットの手の者が運営する隠し宿に泊まることになった。
この隠し宿は一見して人の良さそうな老夫婦が営んでいるが、リーセロットの部下であるならば、やはり只者ではないのだろう。
「マイカ、このヴェルベルからステルクステ騎士団領に至るまでの間には、もう隠し宿は無いの。だから野宿になるんだけれど、この先の地域には夜になると出没するモンスターがいるの。」
「モンスター…人の通行が多い所にはモンスターは滅多に出ないって聞いていたけど…
じゃあ、此処から先はあまり人の通行が多くないんだね?」
「いえ、そうでもないの。ただ、並の人間だと相手するには困難なくらいの強力な夜行性のモンスターが出るの。
ただ強いだけじゃなくて、勘が鋭いから討伐隊を出しても上手く身を隠してしまってね、いつまでも打ち払えない奴らなの。」
「へえー、厄介なんだね…」
「そうなのよ。マイカの身は勿論、私が守るけれど、万一のためにマイカにも武器を携帯して貰うわ。」
「それで此処に連れてきたんだね。」
マイカとリーセロットが話しているこの場所は、泊まっている隠し宿の地下に造られた小部屋で、武具庫らしく幾種類もの武器や防具が置かれている。
「ええ、隠し宿の性質上、武具を蓄えておく必要があるからね。
マイカは剣が使えるみたいだから、得物はやはり剣にする?」
「うん…でも、私はこちらの世界で一般的な両刃の長剣は扱ったことが無くて…
出来れば片刃の…片刃の曲刀があれば良いのだけれど…」
「片刃の曲刀?
えーと…あ、あるわ!一振だけ。ちょっと待ってね。」
リーセロットは武具庫の片隅に積まれていた幾つかの木箱をどけて、その下敷きになっていた細長い箱を一つ取ってマイカの元に持ってきた。
「これよマイカ。」
リーセロットが箱の蓋を開けたところ、中には朱色の鞘に収まった一振の刀があった。
白い柄に金色の紐が巻き付けられ、丸い鉄製の鍔も付いている。
「…これは……
リーセロット、抜いてもいい?」
マイカが箱の中からその刀を取り出して鞘から抜くと、彎曲した片刃の刀身が銀色に光った。
(日本刀…日本刀に凄く似ている…
…美しい…そして恐ろしい…一目見ただけで、凄い業物ということが判る刀だ…)
「ん?刀身に銘が彫ってある。バルトルト?
それがこの刀を打った人の名前かな?」
「ええ、バルトルトという人は、エイズル王国にあるドワーフ職人の里において名工中の名工と呼ばれる刀工よ。
その名工が打った渾身の一振、気に入ったかしら?」
「うん。凄い…凄い刀だね。それに、私の前世の私の国の刀によく似ている。」
「その刀は大陸の東の海に浮かぶ島、ホッデンの刀を再現したものらしいわ。」
「ホッデン?確か、今は行けない所だったよね?」
「ええ、不思議な文化風習を持つ人々が暮らす島よ。」
「…不思議な文化風習か…でも、今は違ってしまってるかもしれないね。」
「そうね、大陸との交流があった時代から随分と長い年月が経っているものね。
マイカ、ホッデン島に興味沸いた?」
「うん。この刀といい、なんか気になるね。
…あと、何故か判らないけど、近い将来ホッデン島に行くような気がしている…」
「エルフの予感ね、それ多分。」
「エルフの予感?」
「そう、特殊能力というわけではなくて我々エルフ種が皆持っているもの…感覚みたいなものかしら。
エルフ以外の人にもあるわよ。虫の報せとか言うでしょ?あの感覚がエルフは特に鋭いの。」
「凄く良く勘が働くということか。
じゃあ、私がいつかホッデン島に行くのは確定的なのかな?」
「そうとも限らないわ。外れることもあるし、先に予感したのとは違うものに変わる場合もあるし。」
「ふーん…でも、なんか朧気だけど見えてくる…ホッデン島の景色らしきもの…あと、ホッデン島にはエルフが居るような気もする…」
「まあ!それなら本当になるかもしれないわね。だったら私も一緒に附いていきたいわ。」
マイカ、ケルン、そしてリーセロットの3名は朝早くヴェルベルの宿場町を発って馬車で北上し、そろそろその日の夜を迎えようとしていた。
「ねえリーセロット、この鎧って紙粘土か何かで作ってるの?ペランペランに薄いし、凄く軽いんだど、こんなんじゃ防御力無くない?」
マイカはリーセロットから身に付けるように言われた青い鎧を身に付けていた。
その下にはいつものワンピースではなく、シャツとズボンを身に付けている。
この鎧はヴェルベルの隠し宿の地下の武具庫にあったものではなく皇宮から持ってきたもので、粘土の焼物のような素材に青い釉薬を塗ったようなものだった。
「紙粘土…?それは魔導講究處で作っている陶製の鎧よ。
土の魔法が込められているから、薄くて軽いけれど充分な防御力を誇るわ。
しかも、それは處長のアフネス自ら手掛けた特製品だから鋼の鎧よりも丈夫よ。」
「ああ、そうだったのか。まあ、動き易くはあるけど…やっぱり心許ないなあ…
ところでリーセロット、この辺りに出るモンスターの特徴は?」
「一見、熊のように見えるけれど、熊よりも身の丈は大きいわ。でも、その引き締まった体躯は猫科の猛獣のようで身軽で動きが速いわよ、物音も立てずに動くわ。
そして黒い、いえ、限りなく黒に近い青色の体毛は夜の闇に溶け込んでしまうし、夜行性の動物なら普通は目が光るけれど、このナフトディーアは目も光らないし、凄く発見しづらいのよ。」
「ナフトディーアっていうんだね?そのナフトディーアは単独行動?」
「いえ、群れで行動するわ。気付けば囲まれているって感じ。」
「ヤバいな…何か弱点は無いの?」
「光よ、強い光。夜目が効く分、強い光には堪えられないわ。」
「それじゃ、私の光の魔法が…」
「ええ、凄く有効な筈よ。
まあ遭遇しないのが一番だけどね。」
第72話(終)
※エルデカ捜査メモ〈72〉
帝国領北部地域に生息するモンスターは何種か存在するが、そのいずれも人類による討伐等を恐れ、人前に現れることは殆どない。
しかしナフトディーアは、その特性から、自身の脅威となるような多人数の人類から身を隠す術があり、自身達より弱いと見た者を見極めて襲いかかってくる。
野生の勘も優れており、更に北のステルクステ騎士団領は危険と見なして近寄ることはしない。
帝国領北部に出現するという夜行性モンスター、ナフトディーア。
ステルクステ騎士団領への旅に、何やら不吉な予感。
マイカ達は無事、ステルクステ騎士団領に着けるのでしょうか?
これからもよろしくお願いいたします。




