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第68話『アッケルマン辺境伯』

登場人物


◎舞原 彰(まいはら あきら:アキラ)

 男性 59歳

 身長180cm超 バキバキの筋肉質 スキンヘッド まつ毛の長い、キラキラした瞳の女性のような目

 定年間近の某県警刑事

 剣道七段(練士)柔道五段

 逮捕術上級(全国大会準優勝の経験あり)

 雑学好きのうんちく親父

 涙もろく人情派

 素人童貞

 殉職後、異世界にエルフの美少女に転生


◎マイカ(アキラ)

 年齢16~18歳くらいの見た目

 白金色の長い髪

 緑色の瞳

 先の尖った耳

 巨乳

のエルフ美少女

 舞原彰の転生後の姿

 ハンデルの営むヘルト商会にて稼働

 ラウムテ帝国の皇家直臣となり、異世界初の警察組織建設のため奮闘中


◎ケルン

 モンスターであるケルベロスの子(♂)

 3つの頭、尻尾は1本

 中央の頭に他のケルベロスには無い、赤い尖った角が生えている。

 火を吹く

 甘いものが好き


◎ハンデル

 男性 30歳

 身長180cm強 細身の引き締まった体型

 茶色くせ毛短髪 茶色の瞳

 旅の行商人 剣の達人

 街道筋の脅威となるモンスターや盗賊などの退治を請け負う「闘商」としても活動する。

 割りと二枚目


◎エフェリーネ

 女性 22歳

 ラウムテ帝国摂政

 第9代皇帝の女帝ヨゼフィーネの一人娘

 ヨゼフィーネの死後、皇帝に即位した従弟のヤスペルの代理として政務を執り行なっている。

 身長165cm 中肉

 茶色セミロングストレートの髪

 やや淡い茶色の瞳


◎リーセロット

 女性 年齢不詳(20歳代前半から半ば辺りの見た目)

 エフェリーネの側近くに仕えるダークエルフの女性

 身長170cm 美しい体型 爆乳

 黒髪の長髪 黒い瞳

 雷の魔法を使う


◎ララ

 女性 年齢不詳(20歳前後の見た目)

 リーセロット配下のダークエルフの女性

 身長165cm スリム体型 巨乳

 黒髪ショートワンレングス ダークブラウンの瞳

 クールだが、大のスイーツ好き

 影の魔法を使う。


◎アフネス

 女性 年齢不詳(20歳前後の見た目)

 ラウムテ帝国に仕えるハーフエルフの女性

 父はノーマルエルフ 母は獣人種である猫人族

 身長約150cmの小柄 中肉 巨乳

 金色の瞳 猫目 黒いボブヘアー

 エルフの耳の他、頭上にも猫のような耳がある

 真実を見極める特殊能力を持つ

 対魔法の魔法、土の魔法、風の魔法を使える。


◎ベレイド子爵

 男性 33歳 名はダニエル

 ラウムテ帝国副宰相

 身長175cm 痩せ型 黒髪 黒い瞳 口と顎にひげを生やしている

 政治的手腕に優れ、摂政エフェリーネの良き補佐役。


◎ベルンハルト

 男性 25歳 姓はレーデン

 ラウムテ帝国近衛騎士団長

 身長185cm 一見細身に見えるが、脱ぐと筋肉バキバキ

 金髪の短髪 アイスブルーの瞳

 超イケメン


◎ヤスペル

 男性 5歳

 ラウムテ帝国第10代皇帝

 身長約100cm やせ型 金色短髪 濃い青色の瞳

 ウェイデン侯爵と第9代皇帝ヨゼフィーネの異母妹であるシルフィアとの間に長子として生まれた。

 従姉のエフェリーネのことが大好き


◎ヨゼフィーネ

 女性 56歳

 ラウムテ帝国第9代皇帝 帝国唯一の女帝

 身長175cm 女性的な体型ではあるが、ガッチリ型

 帝国中興の祖

 マイカが転生してくる約1ヶ月前に他界


◎ウェイデン侯爵

 男性 35歳 名はクンラート

 ラウムテ帝国の貴族中、最も広い所領地を有する。

 初代皇帝の三男を祖とし、初代皇帝の男系の血筋を継承している。

 女帝ヨゼフィーネの異母妹を娶り、その間に生まれた息子のヤスペルが皇帝となる。

 身長175cm 中肉

 黒いクセのある髪 口ひげ


◎シルフィア

 女性 31歳

 金髪ショートヘア 濃い青色の瞳

 身長150cmほどの小柄

 童顔で穏やかな顔付き

 幼帝ヤスペルの母 ウェイデン侯爵夫人

 先帝ヨゼフィーネ女帝の異母妹

何奴(なにやつ)!!?」


 泊まっている部屋の外から


「カタッ」


という小さな物音がしたため、リーセロットが素早くドアの前まで行き、両手に短刀を握って身構えた。


「…私です…ララです…」


 ドアの外から小さな声がし、リーセロットがドアを開けると、果たしてララであった。


「どうしてララが此処に?」


「はい、リセ。例のリザードマンの集落を襲ったへローフ教の過激派を捜索していた手の者からの報告を受けて調査に向かう途中、この宿に立ち寄ったの。そしたら女将(おかみ)が…」


 ふと見ると、ララの横にこの宿の女将が立っていた。


「申し訳ございませんリーセロット様。てっきりララ様も同じ用件での御出向きかと思いまして…」


「いえ、いいわ。あなたも知っている通り、私とララは一心同体と言っていい間柄だから。」


 宿の女将の謝罪にリーセロットはそう答えた。


「…リーセロット、ララ、この女将さんは何者なの?」


 宿に入った時にリーセロットと女将が旧知であるのは判ったが、3人の会話からそれ以上のものを感じとり、マイカが尋ねた。


「この女将は、私の手の者よ。この帝国内には、いや、帝国外にも私の手の者が運営する隠し宿が幾つもあって、此処もその一つなの。」


「隠し宿…」


「ええ、そうよ。先に言っておくけど、この先で泊まる宿も皆、その隠し宿よ。」


「ふーん…あ!ララ、ララが今言ったリザードマンの集落って…」


「はい。いや、うん!マイカが見たという、燃やされていた集落のことよ。」


「それでララ、その集落を襲ったへローフ教過激派を発見したという事なのかしら?」


「はい、リセ。フリムラフ教国との国境付近を始め、帝国北部に広く派遣していた者の中から、発見したとの報告がありました。」


何処(どこ)で発見したの?」


「はい。それが、アッケルマン辺境伯領と報告を受けました。しかも、アッケルマン伯爵の館から出てきたところを見つけたと。」


「何ですって!?」


「…アッケルマン辺境伯って…?」


 マイカが初めて聞く名を耳にして、リーセロットとララに問いかけるように呟いた。


「アッケルマン辺境伯というのはねマイカ、帝国北側の広大な地域を領する有力な帝国貴族の一人でね、フリムラフ教国への抑えの役割を(にな)っている方よ。」


「えっ?でも、そのアッケルマン伯の館からへローフ教の過激派が出てきたってことは、抑えどころかフリムラフ教国と通じているんじゃ…」


「…そう決めつけるのは早々だわマイカ。

 へローフ教の過激派とはいえ、普段は普通の一市民として暮らしていたりするわ。皆、別の顔を持っているのよ。

 それこそ行商を生業(なりわい)にしている者も大勢いるわ。」


「え?インハングの街で行商人達と話したけど、行商人にはへローフ教の信者は居ないって言ってたよ。」


「それは行商人組合(ギルド)に加入している人達だからよ。

 組合(ギルド)の加入資格はへローフ教信者ではない事と、それ以外にも色々な厳しい条件があるから組合(ギルド)に加入していない商人達も多いのよ。」


「へえー…そうなのか…」


「それでララ、その過激派の連中は集落から持ち出したリザードマンの遺体はどうしたのかしら?」


「それについては不明です。報告によると、その者達は徒歩で何も持っておらず、馬車等は発見に至っていないと…姿格好もへローフ教過激派の連中がよくする灰色の法衣ではなく、よくいる中流程度の臣民の服装であったと。」


「リザードマンの遺体?そんなのどうするの?リーセロット、ララ。」


「…ええマイカ、かつてリザードマンの皮膚や骨、歯や爪等は色んな物、武具や日用品等に加工されていたのよ。一般的にはリザードマンがまだモンスターと区別されていた何百年も昔の事だけどね。」


「…え?でも今は人、人類なんでしょ、同じ…」


「へローフ教信者にとっては、亜人は(いま)だにモンスターなのよ。へローフ教信者には亜人の肉を喰らう奴までいるわ。」


「そんな!許されない!!」


「ええ…許す訳ないわ。奴らは我々エルフも長く迫害してきた…いや、常人(つねびと)でさえ、自分らの意に沿わないと非道い目に遭わせてきたわ。まさに人類の敵よ!!」


「長年戦ってきた帝国の敵でもあるんだろ?そんな連中と帝国貴族の一員たるアッケルマン伯とやらが、もし繋がっているとしたら…」


「はい。あ、ええ。なのでアッケルマン辺境伯領に私自身が赴いて詳しく調査する必要があると思い、向かう途中だったの。」


と、ララ。


「しかし慎重に調査する必要があるわね…

 今、フリムラフと通じていなくとも、自身が調査されている事を知って、疑われているなどと思わせてしまったら…その事が離反の原因になってしまう可能性もあるし…」


「はい、リセ…」


「アッケルマン伯爵って、どういう人なの?リーセロット、ララ。」


「変わった人よ。」


と、リーセロット。


「変わった人?」


「モンスターの収集を趣味にしているの。モンスターの狩猟、捕獲だけを目的とした部隊を編成したりしているし。」


「モンスターの収集…その一環の延長でリザードマンを…って考えられない?」


「まさか!さっきも言った通り、アッケルマン伯は自身のモンスター狩猟捕獲部隊を持ってるわ。わざわざへローフ教の連中なんかを…

 いや、非合法の事だから自分の家臣を使わずに、とかも考えられるわね…

 それとも、伯爵のモンスター収集の趣味を知って取引を持ちかけてきたとか…」


「何にせよ、もしアッケルマン伯がリザードマンの遺体を入手していたとしたら、伯爵は犯罪者ということになるね?」


「ええ、でもねマイカ、アッケルマン伯は広大な領地を持ち、強大な兵力、経済力を持った極めて有力な貴族よ。更に家臣の中には魔法使いも何人かいるらしいし、もし証拠を掴んでも一筋縄ではいかないわ。」


「逮捕行為そのものだけが困難というだけでなく、政治的軍事的にも困難という事だね、リーセロット。」


「そうよマイカ、更にこのアッケルマン伯はね、今までも変な動きを何回かしているのよ。」


「変な動き?」


「ええ、10年前、フリムラフ教国の大軍が侵攻してきた時、アッケルマン伯も兵を動かす事を命令されていたのよ。」


「うん。それがアッケルマン伯の任務だもんね。」


「そう。そしてステルクステ騎士団軍と合流してフリムラフ軍を迎え撃つ段取りだったのに、モタモタと、明らかにわざとゆっくり準備して、結果、間に合わなくてステルクステ騎士団がフリムラフの大軍を一手に引き受ける羽目(はめ)になったのよ。」


「例の1万5000対50万?」


「そう。それに5年前、帝国北東地域が大冷害に襲われた時も、帝国本領から支援物資を送るのは時間が掛かり過ぎるから、直ぐ近くを領するアッケルマン伯に支援物資を送るように命令したのだけれど…」


「…送らなかったの?」


「ええ、フリムラフ教国が再度侵攻してくる情報を掴んだから動けない、とか言ってね。

 後で調べると全く侵攻の気配は無かったから詰問使を送ったら、誤報だったから仕方がないと開き直ったのよ。

 私は誤報ではなく虚報だと思っているわ、今でも。」


「…あっ!その大冷害に襲われた北東地域ってアルム村のこと?ハンデルの出身地なんだけど。」


「…アルム村…そうね、それも含む多くの村が支援物資が届くのが遅くなり過ぎたために、大勢の餓死者病死者が出て廃村になったわ。」


「…見殺しにしたというわけだね…許せんな、そのアッケルマン伯…

 しかし、何でそんなに自分の兵や物資を供出するのを渋るのだろう?」


「自己の勢力が少しでも弱まるのを(いと)んでのことでしょうね。」


「そんな!セコい奴!!…いや、何か事が起こった場合に備えて力を蓄えているということか…しかも、それは帝国の為なんかじゃなく自己の為…

 何か凄く怪しいんだけど、そのアッケルマン伯って。」


「怪しいとは前々から感じているのだけれど…確たる証拠が無ければどうにも出来ないし、証拠を掴んだところで即処罰!と簡単にいく相手ではないし…

 …ともあれ、私達には私達の大切な任務があるわ。その件はララに任せて…

 ところでララも今夜は此処に泊まるの?」


「はい。そのつもりです、リセ。」


「じゃあ、ララもこの部屋で一緒に泊まりましょう。私のベッドをララに明け渡すわ。

 私は…ねえマイカ、私はマイカのベッドで一緒に寝ていい?」


「え!なな、何で!?」


「ララからの報告を受けて気が張って、すっかり目が冴えちゃった。でも明日も一日中馬車の運転をするから早く休みたくて…

 私、昔から寝付きが悪い時はお人形とか抱き締めて寝るの。そうしたら早く寝付けて、ぐっすりと眠れるのよ。

 だからマイカお願い。明日の為によく眠っておきたいからマイカを抱かせて。」


「だだだ、抱くなんて、そんな!

 そそそ、それならララで良いじゃないか!

 何で私が…」


「ええい!もう、つべこべ言わずに!!

 マイカがいいの!!」


と、リーセロットは素早くマイカをベッドに押し倒し、マイカをギュッと抱き締めてベッドに横たわった。


「ムギュッ!!」


 マイカの顔がリーセロットの豊満な胸に(うず)められた。


「…マイカ…いい匂い……」


 (いやいや、リーセロットも凄く良い匂いですけど!何だ、この石鹸の匂い以外の甘く蠱惑(こわく)的な匂いは…)


「ちょっ!リーセロット!離れ、少し離れて!!」


 リーセロットは早くも寝息を立てている。マイカを抱き締める力は強く、振りほどけそうもない。


 (ワッ、ワッ!ワアァァーーッ!!

 これじゃあ、オレが眠れないよーー!!!)


                第68話(終)


※エルデカ捜査メモ〈68〉


 アッケルマン辺境伯領は東に帝国北東地域、西にステルクステ騎士団領、北にフラムラフ教国という位置関係にあり(南は帝国本領や他の帝国貴族領)その領域は広大で、帝国最大の貴族領であるウェイデン侯爵領に次ぐ。

 領内に膨大な埋蔵量を誇る銀山を持ち、経済的にも極めて豊かである。

 西に境を接するステルクステ騎士団領とは、同盟締結の随分前から通商が盛んで、お互いの行商人が年中、季節を問わず多数往き来している。

 謎の人物アッケルマン辺境伯(伯爵)

 なかなか不穏な人物のようですね…

 このアッケルマン伯もマイカ達と関わりを持つことになるのでしょうか…?

 これからもよろしくお願いいたします。

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