第63話『ベレイド家における酒宴~幼帝ヤスペルとその母』
登場人物
◎舞原 彰(まいはら あきら:アキラ)
男性 59歳
身長180cm超 バキバキの筋肉質 スキンヘッド まつ毛の長い、キラキラした瞳の女性のような目
定年間近の某県警刑事
剣道七段(練士)柔道五段
逮捕術上級(全国大会準優勝の経験あり)
雑学好きのうんちく親父
涙もろく人情派
素人童貞
殉職後、異世界にエルフの美少女に転生
◎マイカ(アキラ)
年齢16~18歳くらいの見た目
白金色の長い髪
緑色の瞳
先の尖った耳
巨乳
のエルフ美少女
舞原彰の転生後の姿
ハンデルの営むヘルト商会にて稼働
ラウムテ帝国の皇家直臣となり、異世界初の警察組織建設のため奮闘中
◎ケルン
モンスターであるケルベロスの子(♂)
3つの頭、尻尾は1本
中央の頭に他のケルベロスには無い、赤い尖った角が生えている。
火を吹く
甘いものが好き
◎ハンデル
男性 30歳
身長180cm強 細身の引き締まった体型
茶色くせ毛短髪 茶色の瞳
旅の行商人 剣の達人
街道筋の脅威となるモンスターや盗賊などの退治を請け負う「闘商」としても活動する。
割りと二枚目
◎マフダレーナ
女性 58歳
ラウムテ帝国皇宮侍女長
身長174cm 細身
白髪混じりのグレーの長髪(巻き上げてお団子ヘアーにしていることが多い)
かつて近衛騎士団員で、軽業師の異名を持っていた。
◎エフェリーネ
女性 22歳
ラウムテ帝国摂政
第9代皇帝の女帝ヨゼフィーネの一人娘
ヨゼフィーネの死後、皇帝に即位した従弟のヤスペルの代理として政務を執り行なっている。
身長165cm 中肉
茶色セミロングストレートの髪
やや淡い茶色の瞳
◎リーセロット
女性 年齢不詳(20歳代前半から半ば辺りの見た目)
エフェリーネの側近くに仕えるダークエルフの女性
身長170cm 美しい体型 爆乳
黒髪の長髪 黒い瞳
雷の魔法を使う
◎ベレイド子爵
男性 33歳 名はダニエル
ラウムテ帝国副宰相
身長175cm 痩せ型 黒髪 黒い瞳 口と顎にひげを生やしている
政治的手腕に優れ、摂政エフェリーネの良き補佐役。
◎レフィ
男性 5歳
ベレイド子爵の長男
身長約100cm 中肉 黒髪坊っちゃん刈り 灰色の瞳
海で溺れたところをマイカに助けられ、かつ、心肺停止の状態から、マイカの救急法によって蘇生した。
◎ソフィー
女性 27歳
ベレイド子爵夫人 レフィの母親
身長165cm 中肉 茶色の長髪ポニーテール 茶色の瞳
二人目の子を懐妊中
◎ベルンハルト
男性 25歳 姓はレーデン
ラウムテ帝国近衛騎士団長
身長185cm 一見細身に見えるが、脱ぐと筋肉バキバキ
金髪の短髪 アイスブルーの瞳
超イケメン
◎ララ
女性 年齢不詳(20歳前後の見た目)
リーセロット配下のダークエルフの女性
身長165cm スリム体型 巨乳
黒髪ショートワンレングス ダークブラウンの瞳
クールだが、大のスイーツ好き
影の魔法を使う。
◎アフネス
女性 年齢不詳(20歳前後の見た目)
ラウムテ帝国に仕えるハーフエルフの女性
父はノーマルエルフ 母は獣人種である猫人族
身長約150cmの小柄 中肉 巨乳
金色の瞳 猫目 黒いボブヘアー
エルフの耳の他、頭上にも猫のような耳がある
真実を見極める特殊能力を持つ
対魔法の魔法、土の魔法、風の魔法を使える。
◎マルセル
男性 25歳 姓はデバッケル
ラウムテ帝国近衛騎士団二番隊隊長
身長190cm強 筋肉質の逞しい身体
黒髪短髪 濃い灰色の瞳
ベルンハルトとは幼なじみの間柄
声がデカい
◎エリアン
男性 22歳 姓はバウマン
ラウムテ帝国近衛騎士団二番隊隊員
身長179cm 均整のとれた身体付き
茶色いウェーブがかかった短髪 青い瞳
御物窃盗犯の容疑がかかるが、マイカの活躍によって無罪が証明された。
さわやかな感じのイケメン
◎セシリア
女性 20歳 姓はアールデルス
ラウムテ帝国 皇宮侍女
身長約160cm 中肉 青い瞳
金髪の長髪をポニーテールにしていることが多い
皇宮侍女長マフダレーナとは親戚関係に当たる
近衛騎士団2番隊隊員エリアンの婚約者
◎ノーラ
女性 10歳
圧政下にあるコロネル男爵領クライン村に住む少女
身長130cm弱 痩せ型
茶色い髪のオカッパ
青い瞳
厳しい状況下に置かれながらも夢を諦めない、明るく活発な少女
◎ヤスペル
男性 5歳
ラウムテ帝国第10代皇帝
身長約100cm やせ型 金色短髪 濃い青色の瞳
ウェイデン侯爵と第9代皇帝ヨゼフィーネの異母妹であるシルフィアとの間に長子として生まれた。
従姉のエフェリーネのことが大好き
◎シルフィア
女性 31歳
金髪ショートヘア 濃い青色の瞳
身長150cmほどの小柄
童顔で穏やかな顔付き
幼帝ヤスペルの母 ウェイデン侯爵夫人
先帝ヨゼフィーネ女帝の異母妹
(…皇帝…陛下…?あ…終わった…
異世界に来て、まだたったの1ヶ月くらいなのに…
今回の人生は…儚く散ってゆくのか…花弁のように…)
マイカは視界が白くなっていき、意識が遠くなっていったが
「これヤスペル!レディに対して何たる無礼を!!」
という女性の声で我に返った。
マイカが声がした方を見ると
金髪ショートヘア 濃い青色の瞳
童顔で穏やかな顔つき
の小柄な女性が立っていた。
「これは皇帝陛下、皇太后陛下、疾くのお越し、畏れ入り奉る…」
と、ベレイド子爵が強張った面持ちで挨拶をした。
「申し訳ありませんベレイド子爵。
この子ったら、迎えの人が来るまで待てって言ったのに、急に走り出して勝手に中に入って…
あと子爵、私のことは皇太后ではなくウェイデン侯爵夫人とお呼び頂くように申し上げた筈ですが。」
「はっ、失礼致しました侯爵夫人。」
「貴女がマイカさんですね、お噂は予々お聞きしております。
私がこの子の母親のシルフィアです。
息子のヤスペルが大変失礼をし、申し訳ございません。」
と、幼帝ヤスペルの母であるウェイデン侯爵夫人シルフィアがマイカに頭を下げた。
「…いっ、いえ!私の方こそ…こ、皇帝陛下であられるとは露知らず…た、大変なご無礼を!!
私は、てっきりレフィ君かと…」
「いえ、いいんですマイカさん。皇帝に即位したといっても、この子は見ての通り、まだほんの子供です。
悪い事をした時にはきちんと叱らないと、ろくな大人に育ちません。」
「しかし頭を打つまではありませんでした。反省しています。」
「いえいえ、打たれて当然です。レディに対して、こんな公衆の面前で恥をかかせてからに…
…レフィ君とお間違えになったていうことは、ベレイド子爵の御令息も同様の事を?」
「はい侯爵夫人、この子が先に。
この子ったら、先日もマイカさんに同様の事を仕出かしたんですのよ。」
と、ベレイド子爵夫人ソフィーがレフィの耳を引っ張って、こちらに連れてきた。
「さあレフィ!マイカさんにちゃんと謝罪しなさい!!次は本当に許しませんよ!!」
「ヤスペルも!そもそも何であなたまで!!」
ソフィーとシルフィアが厳しく言うとレフィとヤスペルは項垂れたまま黙り込んだが、少し間を置いて幼帝ヤスペルが口を開き
「…レフィ君の嘘つき…エルフのパンツは白パンツって言ってたのに、ピンク色だったじゃないか…」
「この子ったら、何をとんでもない事を言ってるの!!」
シルフィアがヤスペルの頭を右掌で
「バシッ!」
と叩いた。
「あなたが皇帝陛下を唆したの!?」
ソフィーがレフィの頭を左掌で
「バチッ!」
と打った。
「ウワアァァーーン!!」
「ビエエェーーン!!」
ヤスペルとレフィが大声を上げて泣き出したが、シルフィアとレフィは構わず
「早く謝りなさい!ヤスペル!!」
「泣いても許しませんよ!さっさと謝罪なさいレフィ!!」
と、各々の我が子に目を吊り上げて言った。
「まあまあ、お母さん…あ、いや侯爵夫人、子爵夫人、子供のやる事ですから…」
とのマイカの宥めにソフィーは恐い表情を崩さなかったが、シルフィアは
「ホッ」
と小さな溜め息を一つ吐き
「本当に申し訳ございませんでした、マイカさん。この子には強く言い聞かせておきますので、どうか許して下さい…
…お集まりの皆さん、宴の席に水を差してしまい、申し訳ございませんでした。さあ、引き続きお楽しみ下さいませ。」
と、マイカ及び大広間に居る人達に深く頭を下げて詫びた。
「皇帝陛下、侯爵夫人、どうぞこちらへ。」
ベレイド子爵が二人を、この大広間における最も上座の席まで案内し、酒宴は再開された。
(…た、助かった…皇帝の頭を叩くなんて、絶対に死刑にされると思ったよ…
母親がまとも以上にまともな人で良かった…
元の世界の歴史でも、我が子が王なり皇帝なりになったりしたら、その母親が凄い権勢を振るって傍若無人な振舞いをする例は少なくなかったのに、そんな連中と比べたら奇跡のような人格者だな…)
自分の横に来るようにシルフィアに促されたマイカが、シルフィアの横顔をまじまじと眺めながらそう思った。
「私の顔に何か付いていますか?マイカさん。」
シルフィアがマイカの視線に気付いた。
「いえ、寛大な措置をありがとうございました。」
「なんの!悪いのは全部ヤスペルの方ですから、本当にお気になさらないで。」
幼帝ヤスペルとレフィは、傍らに居たケルンに興味を示し、最初は恐々だったが、ケルンが二人の涙の跡を舐めたところ打ち解け、今は抱きついたり頭を撫でたりしている。
ケルンも嫌がらず、尻尾を大きく振っている。
「…あの、誠に失礼な言い方なのですが、皇帝陛下のお母君といえば、もっと恐ろしい感じというか、偉そうな感じの人を勝手に想像しておりました。」
「ホホホホ、そうですか。確かに何代か前の皇太后様は、子の皇帝よりも権勢を振るっていたと言いますね。そのような事は他の国の歴史にも多うございますわね。」
「はあ…」
(やっぱり、この異世界でも多いんだな、そんな事は…)
「私の母は宮中に仕える一介のは雑仕女でした。それが先々帝に見初められ、私が生まれたのです。そして、何の因果か帝国最大の貴族の一つ、ウェイデン侯爵家に嫁ぎ息子が皇帝になってしまいました。
周りはそんな私を嫉み妬む者ばかりです。そんな中で、私が間違って偉そうな態度を少しでもとってしまえば、出来るのは敵ばかりです。」
(なるほど…母親が庶民…ベルンハルト君と同じか…)
「私は味方でございます、侯爵夫人。
お会いしたばかりなのに不躾ながら、夫人のその御言動に深く感じ入ってございます。」
「まあ、ありがとうございます、マイカさん。
…マイカさんは皇家の直臣になられたとお聞きしました。そこでお願いがあるのですが…」
「はい。私に出来ます事であれば何なりと。」
「機会あるごとにヤスペルを教育して頂きたいのです。
マイカさんが正しい心をお持ちになって、正義の行ないをなさっておられる事を知っております。
どうかヤスペルを正しく導いて下さいませ。決して後世に暴君の謗りを受ける事の無いように…」
「侯爵夫人のような御母堂の元におられて、そのような事は万に一つも無いと思いますが、承知致しました。微力を尽くさせて頂きます。」
「ああ、安堵致しましたわ。マイカさんと、あとエフェリーネ大公妃殿下が導いて下されば、ヤスペルはきっと真っ当な大人になれるでしょう。
ところで、殿下のお姿が見えませんが、こちらには参られないのですか?」
「はっ、摂政殿下には急用が入られ御欠席される旨でございます。」
と、やや離れた席のベルンハルト近衛騎士団長がシルフィアの問いに答えた。
「急用ですと?私は何も聞いておりませんが。」
シルフィアとベルンハルトの問答にベレイド子爵が割って入ってきた。
「はっ、ベレイド子爵。拝謁を求める方が参られ、その応対に当たられるとのこと。」
「拝謁…はて?副宰相の私に知らせぬとあれば、公的なものではなく、私的なものであろうか…?」
「はっ、私にも明かしてはくれず…
リーセロット秘書官殿と二人で充分だと申されておいででした。」
「ふむ…この夜分に拝謁とは…どなたであろうか…?」
「ワアァァーーーッ!!」
その時、大広間内に歓声が響き渡った。
幼帝ヤスペルがケルンに跨がり場内を渡り歩いていたのだ。
ケルンは嫌がる素振りを見せず、むしろ澄ました顔つきで、トットットッ、とリズム良く高く足を上げて歩いている。
「皇帝陛下がケルベロスを従えられたぞ!」
「地獄の番犬を手懐けるとは末恐ろしや!」
「まさに覇者に相応しいではないか!!」
阿諛ともとれる歓声は、いつまでも鳴り止まなかった。
第63話(終)
※エルデカ捜査メモ〈63〉
ラウムテ帝国第10代皇帝ヤスペルと帝国副宰相ベレイド子爵の嫡男レフィは共に5歳。
お互いの長男が同じ年に生まれた事は、貴族同士の付き合いで当然知っており、二人は赤ん坊の時に引き合わされ、それ以後、まずは母親であるウェイデン侯爵夫人シルフィアとベレイド子爵夫人ソフィーがママ友の関係となった。
ヤスペルとレフィも気が合い仲良くなり、特にヤスペルが皇帝に即位し、ベレイド子爵が副宰相に就任してからは、ベレイド家が皇宮内に居住するようになったため、ヤスペルとレフィは日を開けず頻繁にあって、幼い友情を育んでいる。
幼帝ヤスペルの母親、ウェイデン侯爵夫人シルフィアが良識ある人で良かったですね。マイカ、何の罰も受けずに済んだどころか、却って頼りにされました。
さて、ベレイド子爵主宰の酒宴もそろそろ終了します。
マイカをこの先待ち構えているものとは?
マルセル近衛騎士団2番隊隊長の想いは届くのか?(いや…無理かも…)
これからもよろしくお願いいたします。




