表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

43/86

第43話『救急法』

登場人物


◎舞原 彰(まいはら あきら:アキラ)

 男性 59歳

 身長180cm超 バキバキの筋肉質 スキンヘッド まつ毛の長い、キラキラした瞳の女性のような目

 定年間近の某県警刑事

 剣道七段(練士)柔道五段

 逮捕術上級(全国大会準優勝の経験あり)

 雑学好きのうんちく親父

 涙もろく人情派

 素人童貞

 殉職後、異世界にエルフの美少女に転生


◎マイカ(アキラ)

 年齢16~18歳くらいの見た目

 白金色の長い髪

 緑色の瞳

 先の尖った耳

 巨乳

のエルフ美少女

 舞原彰の転生後の姿

 現在、異世界を彷徨い中


◎ケルン

 モンスターであるケルベロスの子(♂)

 3つの頭、尻尾は1本

 中央の頭に他のケルベロスには無い、赤い尖った角が生えている。

 火を吹く

 甘いものが好き


◎ハンデル

 男性 30歳

 身長180cm強 細身の引き締まった体型

 茶色くせ毛短髪 茶色の瞳

 旅の行商人 剣の達人

 街道筋の脅威となるモンスターや盗賊などの退治を請け負う「闘商」としても活動する。

 割りと二枚目


◎エフェリーネ

 女性 22歳

 ラウムテ帝国摂政

 第9代皇帝の女帝ヨゼフィーネの一人娘

 ヨゼフィーネの死後、皇帝に即位した従弟のヤスペルの代理として政務を執り行なっている。

 身長165cm 中肉

 茶色セミロングストレートの髪

 やや淡い茶色の瞳


◎リーセロット

 女性 年齢不詳(20歳代前半から半ば辺りの見た目)

 エフェリーネの側近くに仕えるダークエルフの女性

 身長170cm 美しい体型 爆乳

 黒髪の長髪 黒い瞳


◎ララ

 女性 年齢不詳(20歳前後の見た目)

 リーセロット配下のダークエルフの女性

 身長165cm スリム体型 巨乳

 黒髪ショートワンレングス ダークブラウンの瞳

 クールだが、大のスイーツ好き

 影の魔法を使う。


◎ウェイデン侯爵

 男性 35歳 名はクンラート

 ラウムテ帝国の貴族中、最も広い所領地を有する。

 初代皇帝の三男を祖とし、初代皇帝の男系の血筋を継承している。

 女帝ヨゼフィーネの異母妹を娶り、その間に生まれた息子のヤスペルが皇帝となる。

 身長175cm 中肉

 黒いクセのある髪 口ひげ


◎ベルンハルト

 男性 25歳 姓はレーデン

 ラウムテ帝国近衛騎士団長

 身長185cm 一見細身に見えるが、脱ぐと筋肉バキバキ

 金髪の短髪 アイスブルーの瞳

 超イケメン


◎ヨゼフィーネ

 女性 56歳

 ラウムテ帝国第9代皇帝 帝国唯一の女帝

 身長175cm 女性的な体型ではあるが、ガッチリ型

 帝国中興の祖

 マイカが転生してくる約1ヶ月前に他界


◎ドラーク公爵

 男性 56歳

 女帝ヨゼフィーネの夫 名はアルフレット

 初代皇帝の次男を祖とし、初代皇帝からの男系血統を受け継いでいる。

 身長190cm どっしり体型

 白髪 白髯〈かつては灰色髪、灰色のひげ〉灰色の瞳

 女帝である妻を精神的に支えてきた、実は豪の者

 ヨゼフィーネが他界する約半年前に他界


◎ヤスペル

 男性 5歳

 ラウムテ帝国第10代皇帝

 身長約100cm やせ型 金色短髪 濃い青色の瞳

 ウェイデン侯爵と第9代皇帝ヨゼフィーネの異母妹であるシルフィアとの間に長子として生まれた。

 従姉のエフェリーネのことが大好き


◎ハンナ

 女性 19歳

 皇宮侍女セシリア付きの女中として皇宮内で働く女性。

 身長約165cm 中肉

 ウェーブが少しかかった栗色セミロングの髪

 栗色の瞳 やや下ぶくれな癒し系の見た目


◎マフダレーナ

 女性 58歳

 ラウムテ帝国皇宮侍女長

 身長174cm 細身

 白髪混じりのグレーの長髪(巻き上げてお団子ヘアーにしていることが多い)

 かつて近衛騎士団員で、軽業師の異名を持っていた。


◎ノーラ

 女性 10歳

 圧政下にあるコロネル男爵領クライン村に住む少女

 身長130cm弱 痩せ型

 茶色い髪のオカッパ

 青い瞳

 厳しい状況下に置かれながらも夢を諦めない、明るく活発な少女


◎コロネル男爵

 男性 44歳

 ラウムテ帝国創立以来の名門貴族の当主

 現当主で8代目

 領民に重税を課し、圧政を敷くクソ野郎


◎セバスティアーン

 男性 61歳

 身長195cmの大柄

 先代から仕える、コロネル男爵家の執事

 マイカが「子供が海に落ちた」と声がした方を見ると、そこには桟橋があり、桟橋からやや離れた海上に水しぶきが上がっていて、子供が溺れていた。

 マイカがいる場所から距離にして約100メートルくらいである。

 穏やかに見える海面だが、潮の流れが速いのか、その溺れている子供は、みるみる沖へ流されていく。


「おお!何とかせねば!」

「誰ぞ、助けに入らんか!」

「何故、こんな時に桟橋にボートが無いのだ!」


 子供が溺れているのを見ながら、その辺りににいた人達は口々に言葉は放つものの、誰も助けにいく様子はない。

 警備の近衛騎士を呼びに行った者もいたが、離れているのか、直ぐには間に合わない。


「イカン!」


 マイカは素早くネックレスとブレスレットを外し


「ハンデル、これを頼む!」


と、ハンデルに渡し、その場でヒールの高い靴を脱ぎ捨て、桟橋に向かって走り出した。

 走り出す際、被っていた帽子も取って、その場に放り投げた。

 特徴のある長い耳が表に現れる。


「エ、エルフ!?」

「彼女が、かの噂のエルフであったか!?」

「噂以上の美しさではないか!」


 人々が驚きの声を上げる中、マイカは脇目もふらず全速力で走り抜け、桟橋まで着いた。

 マイカが桟橋に着く前に、溺れていた子供は海中に沈んでしまった。

 マイカは桟橋の先端部まで行くと、そこで着ているドレスを脱いで下着姿となって海へ飛び込んだ。

 マイカはクロールで、全力で泳ぎ始めた。


「何だ、あの泳ぎ方は?初めて見るぞ!」

「速い!エルフは泳ぎも得意なのか!?」


 人々が驚嘆の声を上げる間にもマイカは子供が沈んだ辺りまで泳ぎ着き、そこで海中へと潜った。


「………」


 マイカが海中に潜ってから少し時が流れた。


「おい、潜ったまま上がってこんぞ。」

「もしやエルフも溺れてしまったのではあるまいな?」

「いや、子供が見つからんのか?」


 マイカが長い時間海中から上がってこないことへの心配の声を、人々が口々に上げていたところ


「バシャッ!」


 先に潜った場所よりも更に沖からマイカが海上へ上がってきた。右脇に子供を抱えている。


 (クソッ、沈んでから更に流されていた。それと予想以上に深くて、引き上げるのに時間がかかってしまった。)


 マイカは、体を左下斜めにするような形で海面に仰向けとなり、右胸の辺りに子供の後頭部を置いた。右腕を子供の右脇下に差し入れて()(かか)えている。

 そこからマイカは蹴伸(けの)び泳ぎ、厳密にいえば、背泳ぎの平泳ぎのような足使いの泳法で泳ぎ始めた。

 右腕は子供を抱えているため使えない。

 左腕と両脚で懸命に水を掻いた。

 水を掻く度、マイカの顔は少し水面に沈むが、マイカの胸の上にある子供の顔は沈まない。

 マイカは有らん限りの全力で浜辺へと急いだ。


 マイカは引き上げた子供を砂浜の上に仰向けで寝かせ、自分は子供の顔の左横辺りに座った。


「レフィ!!」

「あぁ!レフィーっ!!」


 30歳前後の立派な身なりの男女が子供を見て叫び声を上げた。おそらくこの子供の両親だろう。


 マイカは子供の名を叫んだ男女には一瞥(いちべつ)もくれず、子供の肩を叩きながら


「おい大丈夫か?大丈夫か!?大丈夫か!!?」


と、段々と声を大きくして呼び掛けたが全く反応がない。

 マイカは呼び掛けつつ、その子供の胸を観察していたが、子供の胸は上下運動をしていない。

 マイカは右頬を子供の鼻の穴の前まで近付け、次に右耳を子供の胸につけた。


「…呼吸も、脈も止まっている……」


「な!!?」


 マイカの呟きに、その子供の父親らしき男性は驚きの一言を発し、固まったように動かなくなり、母親らしき女性は失神してしまった。

 固唾(かたず)を飲んで見守っていた周りの貴顕紳士淑女達からも()め息や嘆声(たんせい)が次々と起こった。


 (出来るか?アキラ…いや、やるしかない!実際にするのは初めてとなるが、今まで何十回、いや、何百回と訓練してきた!)


「誰か!AED…」


 (んなもん、この世界にあるか!落ち着けアキラ!!

 相手が小さな子供であるのと、今のオレの腕力は普通の女の子でしかない事を考慮して…)


 マイカは子供の胸の中心に右手を当て、左手を右手の上に添えた。

 本来なら、右手の指の間に左手の指を差し入れて手を組むところであるが、力が入りすぎないように、添えるだけにしたのだ。


「1、2、3、4、5………」


 マイカは力の加減をしつつ、しかし、体重はちゃんと乗せるようにし、一定のリズムを保ちながら子供の胸を圧迫し続けた。


「30!気道確保、人工呼吸!」


 マイカは左手を子供の顎に手を掛けて引き寄せ、顎が上向きになるようにし、次に右手で子供の両鼻の穴をつまんで自分の口唇を子供の口唇に重ね、息を2回吹き込んだ。


「1、2、3、4、5………30!気道確保、人工呼吸!」


 人工呼吸を2回行なった後、再び胸を30回圧迫し、そして再び2回人工呼吸を行なった。


「エルフ殿は何をしておられるのだ?」

「何かの儀式儀礼か?」

「よもや、あの子を(よみがえ)らせようとでもいうのか?」

「エルフとは、死人を生き返らせる事が出来るのか?」


 周りの人々が呟く中、マイカは胸の圧迫を続けていたが


「エルフ殿…もうよい…見ず知らずの我が子の為によくやってくれた。

 レフィはもはや……」


 その子供の父親らしき男性が、そう(あきら)めの言葉をマイカに掛けてきた。


「バカヤロウ!親が(あきら)めてどうする!!

 下らない事を言うヒマがあったら、この子の名を呼べ!

 大声で名を叫んで、この子を呼び戻せ!!」


 マイカが胸の圧迫を続けながらそう叫ぶと、その子供の父親は、ハッとした表情となり


「レフィ…レフィ!レフィ!!」


と、有らん限りの大声で名前を叫んだ。


「レフィ!」

「レフィ君!」

「戻ってくるんだレフィ!」


 周りにいた人々も、それぞれ、子供の名を叫び始めた。

 その人々の叫び声に、失神していた子供の母親も気がつき


「目を覚ましてレフィーー!!」


と、大声で叫んだ。


「聞こえるかレフィ!聞こえたなら早く戻ってこい!!」


 そうマイカが叫ぶと、マイカの体が強い光を放った。

 これまでの柔らかい光ではない。強い、閃光ともいうべき眩しい白い光だった。


「あっ……」


 人々が、その光の眩しさに目を(つむ)ったり顔をそむけたりした瞬間


「グポッ!クポッ!ウポッ!」


 レフィの体が仰向けのまま上下に痙攣(けいれん)するかのように動き、口から水を吹き出した。

 マイカは、すかさずレフィの体を担ぎ上げ、その腹を左肩の上に(もた)れさせるようにし、右手でレフィの背中を、バンバンと何回も叩いた。

 レフィは口から海水の他、この会場で食べた物だろう、多量の吐瀉(としゃ)物を吐き出した。

 吐瀉物がマイカの背や肩、髪を汚したが、マイカは一向に気にしなかった。

 レフィは一頻(ひとしき)り吐瀉物を吐き出した後、全身を使い、口で大きく呼吸をし始めた。

 次にマイカはレフィを肩から下ろし、レフィの背を右手で支えながら、地面に尻をつかせて座らせ、レフィの鼻の穴を下から覗きこむと、その鼻に吸いついた。


「スゥーッ、ペッ。スゥーッ、ペッ。」


 マイカは口でレフィの鼻に詰まった吐瀉物を吸いとり、横手の地面に吐き捨てた。


 (かのエルフ…そんなことまで…何という…)


 その光景を見ながら、レフィの父親は涙を流していた。


「うっ…うぅっ……うわ、うわーん!うわぁーん!!」


 レフィが大声を上げて泣き始めた。


「生き返ったぞ!」

「なんと!奇跡だ!!」

「エルフが子供を生き返らせたぞ!!」


 周りの人々が口々に大声を上げたが、マイカはそれを上回る大声で


「お医者様はいますか!?お医者様を呼んで!!」


と叫んだ。


「私が医者だ。皇室付き侍医のコーバスだ。」


 先程から周りで様子を見ていた人々の中から一人の50歳絡みの男性がマイカの前に現れた。医者らしく白い上衣を着ている。


「今後、高熱が出るおそれがあります。

 高熱が出ると、折角の蘇生がフイになります。そうならなくても、重い障害が残ってしまうかもしれません。

 この後の適切な処置をお願いします!」


 マイカがコーバスと名乗った医師に懇請すると


「うむ、(うけたまわ)った!任されよ!!」


と、力強く答えてくれ、彼の部下らしき数名と共に用意していた担架にレフィを乗せた。


「ベレイド子爵、御子息を離宮建物内にお運び致します。」


 コーバス医師がレフィの父親に向かってそう言い、部下達に指図してレフィを運んでいった。レフィは担架の上で大声で泣き続けている。


「エ、エルフ殿、此度(こたび)は何と礼を申してよいのか…」


 ベレイド子爵が話しかけてきた言葉を終わりまで待たず、マイカがベレイド子爵に


「レフィ君はショックを受けて大きな混乱状態に陥っています。

 御両親はついていってやって下さい。さ、お早く!」


と言った。


「ん!」


 ベレイド子爵が頷き、マイカに一礼してから妻と共にレフィの後を追った。

 レフィの後を追いながらベレイド子爵は


 (この恩は…いや、この御恩は、決して忘れぬ!!)


と、マイカへの強い感謝の気持ちに(あふ)れていた。


              第43話(終)


※エルデカ捜査メモ


 マイカの前世、舞原 (まいはらあきら)は、もともと水泳が苦手であったが、警察学校での、足が着かない深いプールでの救急法の訓練により、苦手を克服した。

 救急法の訓練は定期的に積極的に行ない、消防局の救急隊員が太鼓判を押す程に巧くなっていた。

 さらに、定年後にトライアスロンに挑戦しようとトレーニングをしていたおかげで、水泳についても達者になっていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ