第34話『帝都到着…そして、ある女性からの相談』
登場人物
◎舞原 彰(まいはら あきら:アキラ)
男性 59歳
身長180cm超 バキバキの筋肉質 スキンヘッド まつ毛の長い、キラキラした瞳の女性のような目
定年間近の某県警刑事
剣道七段(練士)柔道五段
逮捕術上級(全国大会準優勝の経験あり)
雑学好きのうんちく親父
涙もろく人情派
素人童貞
殉職後、異世界にエルフの美少女に転生
◎マイカ(アキラ)
年齢16~18歳くらいの見た目
白金色の長い髪
緑色の瞳
先の尖った耳
巨乳
のエルフ美少女
舞原彰の転生後の姿
現在、異世界を彷徨い中
◎ケルン
モンスターであるケルベロスの子(♂)
3つの頭、尻尾は1本
中央の頭に他のケルベロスには無い、赤い尖った角が生えている。
火を吹く
甘いものが好き
◎ハンデル
男性 30歳
身長180cm強 細身の引き締まった体型
茶色くせ毛短髪 茶色の瞳
旅の行商人 剣の達人
街道筋の脅威となるモンスターや盗賊などの退治を請け負う「闘商」としても活動する。
割りと二枚目
◎エフェリーネ
女性 22歳
ラウムテ帝国摂政
第9代皇帝の女帝ヨゼフィーネの一人娘
ヨゼフィーネの死後、皇帝に即位した従弟のヤスペルの代理として政務を執り行なっている。
身長165cm 中肉
茶色セミロングストレートの髪
やや淡い茶色の瞳
◎リーセロット
女性 年齢不詳(20歳代前半から半ば辺りの見た目)
エフェリーネの側近くに仕えるダークエルフの女性
身長170cm 美しい体型 爆乳
黒髪の長髪 黒い瞳
◎ララ
女性 年齢不詳(20歳前後の見た目)
リーセロット配下のダークエルフの女性
身長165cm スリム体型 巨乳
黒髪ショートワンレングス ダークブラウンの瞳
クールだが、大のスイーツ好き
影の魔法を使う。
◎ウェイデン侯爵
男性 35歳 名はクンラート
ラウムテ帝国の貴族中、最も広い所領地を有する。
初代皇帝の三男を祖とし、初代皇帝の男系の血筋を継承している。
女帝ヨゼフィーネの異母妹を娶り、その間に生まれた息子のヤスペルが皇帝となる。
身長175cm 中肉
黒いクセのある髪 口ひげ
◎ベルンハルト
男性 25歳 姓はレーデン
ラウムテ帝国近衛騎士団長
身長185cm 一見細身に見えるが、脱ぐと筋肉バキバキ
金髪の短髪 アイスブルーの瞳
超イケメン
◎ヨゼフィーネ
女性 56歳
ラウムテ帝国第9代皇帝 帝国唯一の女帝
身長175cm 女性的な体型ではあるが、ガッチリ型
帝国中興の祖
マイカが転生してくる約1ヶ月前に他界
◎ドラーク公爵
男性 56歳
女帝ヨゼフィーネの夫 名はアルフレット
初代皇帝の次男を祖とし、初代皇帝からの男系血統を受け継いでいる。
身長190cm どっしり体型
白髪 白髯〈かつては灰色髪、灰色のひげ〉灰色の瞳
女帝である妻を精神的に支えてきた、実は豪の者
ヨゼフィーネが他界する約半年前に他界
◎ヤスペル
男性 5歳
ラウムテ帝国第10代皇帝
身長約100cm やせ型 金色短髪 濃い青色の瞳
ウェイデン侯爵と第9代皇帝ヨゼフィーネの異母妹であるシルフィアとの間に長子として生まれた。
従姉のエフェリーネのことが大好き
◎ハンナ
女性 19歳
皇宮侍女セシリア付きの女中として皇宮内で働く女性。
身長約165cm 中肉
ウェーブが少しかかった栗色セミロングの髪
栗色の瞳 やや下ぶくれな癒し系の見た目
◎ノーラ
女性 10歳
圧政下にあるコロネル男爵領クライン村に住む少女
身長130cm弱 痩せ型
茶色い髪のオカッパ
青い瞳
厳しい状況下に置かれながらも夢を諦めない、明るく活発な少女
◎コロネル男爵
男性 44歳
ラウムテ帝国創立以来の名門貴族の当主
現当主で8代目
領民に重税を課し、圧政を敷くクソ野郎
◎セバスティアーン
男性 61歳
身長195cmの大柄
先代から仕える、コロネル男爵家の執事
「帝都では街に入る時から、お前さんがエルフだということを隠さないでいこう。」
と、ハンデルが言ったため、マイカはいつも被っている、ウェイデン侯爵領グレンスの衛兵から貰った大きな麦わら帽子を外して馬車の御者台に座っていた。
「エ、エルフ!?」
「うわっ!エルフだ!!」
「え、エルフ?本物?」
日が暮れても人通りが多い帝都の通りを進んでいると、皆、一様に驚きの声を上げてマイカを見てきた。
また、多くの人々がマイカが乗った馬車に尾いてきていた。
ハンデルも人が尾いてきやすいように、わざとゆっくり馬車を進ませていた。
やがて馬車は赤レンガ造りの大きな三階建ての建物の前で止まった。
「ここがヘルト商会帝都本部さ。手っ取り早く言えば、俺の家だ。」
と、ハンデルは誇らしげにマイカに言った。
「へえーっ!凄いじゃないか!アンタの若さで、こんな立派な店を建てれるなんて!」
「ハハッ…まあ…借屋なんだけどな。」
ハンデルはマイカにそう言った後、馬車から降りて尾いてきていた多くの人達に向かって
「さて、皆さん!明朝、このヘルト商会開店時から、このエルフのマイカ嬢が接客致します。
どうぞ、挙ってお越し下さいませ!」
と大声で言った。
「何!エルフの売り子だと!?」
「それは珍しい!」
「ご近所さんも誘わなきゃ!」
「来るよ!絶対に来る!!」
と、集まった人々は口々に叫んだ。
帝都においても、マイカの客寄せパンダとしての効果は抜群のようだ。
「こちらが商会副会長のロヴィー、こちらは仕入れ担当のニコ、あいつとそいつは……」
建物の中に入ると、一階は全面店舗で、女性ものの衣服や装飾品、武具や壺、食器などの様々な商品があり、そこで陳列の作業をしていた10人程の人の紹介をハンデルはマイカにし始めた。
皆、エルフを見るのは初めてで、一瞬、固まりはしたものの、ハンデルから事前に連絡があったらしく、にこやかに応じてくれた。
「しかし、明日たくさん客が集まってきても、中に入れる人数は限られてしまうな…」
と、ハンデルはマイカが接客することを宣伝しておきながら、その効果の大きさを想像して戸惑ったように言ったため、マイカは
「整理券を配ればいいじゃないか。」
とハンデルに向かって言った。
「整理、券…?」
「あら、知らなかった?
うん。番号を書いた券を配って、例えば1番から100番は9時から10時まで、101番から200番は10時から11時とかって、時間と人数を指定するんだよ。
それが整理券さ。」
「なるほど!それは良い!!
よし、明朝7時に店を開けた時、まずは整理券を配ろう。
商品の販売開始は何時にしようか?」
「それは集まった人の数で判断すればいいんじゃない?」
「そうだな!じゃあ早速、整理券を作ろう!」
翌日、ヘルト商会帝都本部は、開業以来最大の賑わいを見せた。
マイカはインハングの街で見せた、ファッションモデルとしての役割と、そして売り子としての接客も担い、大忙しだった。
そして、なんとケルンも手伝った。
その三つの頭を上手く使い、バランスを取って商品を運び、補充に当たった。
初めはモンスターのケルベロスであるケルンを気味悪がったり、怖がったりした客達も、まだ子供で、ちょこまかと可愛らしい仕草で荷物を運ぶケルンの姿を微笑みを持って見るようになってきた。
ケルンに慣れてきた客が
「ケルンちゃん!」
と呼んだところ、その客の顔を見て大きく尻尾を振り
「アン!ウァン!キャン!」
と鳴いて愛嬌を振り撒くと、更に客達の心は朗らかなものとなり、マイカは元より、ケルンもこの場において人気者になった。
ヘルト商会に居るエルフの美少女と、よく馴れたケルベロスの子供の噂は、日を待たずに帝都中に広まった。
「いやあ、ここまで売れるとは思わなかったぜ!倉庫の中まで、みんなカラになっちまった!!」
ハンデルが嬉しい悲鳴ともいうべき声を上げていたところ、一人の若い女性が、このヘルト商会帝都本部に訪ねてきた。
「おや、すみません。今日はもう店閉まいなんですよ…と、あ、あなたは…」
その若い女性はヘルト商会の常連客で、皇宮の侍女に仕えているハンナという女性だった。
「ごめんなさいハンデルさん、今日は買い物に来た訳じゃないんです。
実は相談したいことがあって…でも、こんなこと、ハンデルさんに話しても、どうなるものではないかもしれないけれど…他に相談できる人がいなくて…」
「どういったご相談ですか?」
「私がお仕えしている皇宮侍女のセシリア様についてなんですが…」
皇宮侍女のセシリアは代々続く帝国騎士家の令嬢で現在20歳。幼少の頃より皇宮へ出仕し、様々な職務をこなしてきている。
セシリアは人当たりも良く、部下であるハンナらにも優しく、とても良くしてくれるという。
セシリアには婚約者がおり、その婚約者というのは近衛騎士団員のエリアンという22歳の若者であるが、このエリアン騎士に窃盗犯の容疑がかかり、身柄を拘束されてしまった。
その盗んだとされる物が、よりによって御物、すなわち皇族の所有物であるため、与えられる刑罰は死罪となる。
愛する婚約者が死罪になればセシリアも自害するかもしれず、それを止めるにはどうすればよいだろう?
というのが相談の内容だった。
「近衛の騎士様が御物を盗むなんて、あり得ないことだと思いますが。」
「そうなんですハンデルさん。ご本人も捕まる前、絶対にやっていないと申されていたそうで…しかし、状況からすると、エリアン様しか盗むことが出来る人は他に考えられないらしくて…」
「ほう…」
「でも、奇妙なことが起きたんです。エリアン様が捕まった後、また御物が一つ盗まれたんです。今度は宝物庫の番兵が捕まりました。
そう、御物の盗難が2回続いたんです。」
「その盗難事件について、私にもよく話してくれませんか?」
物陰に隠れるようにして二人の話を聞いていたマイカがハンナの前に姿を現し、そうハンナに尋ねた。
「エ…!エルフ!?」
ハンナが驚きの声を上げた。彼女もまた、エルフを見るのは初めてらしい。
「ん?何だマイカ、お前さんも力を貸してくれるのかい?」
「うん。アンタには前に少し話したよね、クライン村での事件のこと。
私は、前は色んな事件を捜査して真実を突き詰めることを仕事としていたんだ。」
こうハンデルに向かって言ったマイカの心に、前世に刑事だった頃の探究心、好奇心が再び沸き上がってきている。
「だから、力になれるかもしれない。」
そう言ったマイカの目は輝いていた。
第34話(終)
※エルデカ捜査メモ㉞
皇宮侍女セシリア付きの女中ハンナは19歳。
給料が出るたびにヘルト商会を訪れては、可愛い小物を買うことを趣味としている。
15歳の時に田舎から帝都に出てきて、皇宮の女中として働くようになった。
皇宮で働くようになったのは、帝都の就業斡旋所において紹介されたことがきっかけである。
この就業斡旋所は、近年、ラウムテ帝国の経済が著しく発展し、様々な職種において多くの人材が必要となったため設けられた機関であるが、この機関を設けたのは第9代皇帝の女帝ヨゼフィーネである。
重ねて言えば、帝国に著しい経済的発展をもたらしたのもヨゼフィーネである。
この就業斡旋所が設けられる以前は、女中のみならず、皇宮内において働こうと思えば、既に皇宮で働いている者や、貴族や有力者などのコネが必要だった。




