(強制的)ダイエット計画
うむ。過ぎたことをいつまでも悔いてても仕方ない。過ちは潔く認めよう。
この場合… 本人に自覚させずにダイエットさせようとしたことが、そもそも無理だったんだよね。
ということで。 ちょっと、やらざるを得ないようにさせてあげよっかな~と。
といっても、本人も喜んでやってくれる方がいいよね。
そのためには… ちょっとご協力していただこうかな。
大義名分も最近出来てきてるしね。
ご協力いただくのは… 公爵家ご当主様。一番強制力があるのって、やっぱ雇い主だよね。
もっとも、ああいった凝り性の職人に、どの程度命令が通じるかは疑問だけど…
今回は、依頼をしてもらおうかな~、と。
「コック長、今いいかね?」
「おや旦那様。まあ、大丈夫ですが。なんでしょうか?」
「うん、最近アリス嬢とデザートだけじゃなく、いろいろ普通の料理についても研究してるじゃないかね」
「ええ。私の思いも付かなかったやり方をいろいろ教えてもらえて、参考になりますね~。
あんなにいろいろアイデアが出てくるなんて、すごいですね」
「うーん。あんなに若いし、ずっと孤児院で過ごしていたはずなのに、どこであんないろいろな知識を… 。
いや、それはいい。それで出来上がった料理をいろいろ出してくれてるんだが…」
「はあ。何か味付けがお気に召さないとかありますか?」
「いや、美味い。美味いんだが… おかげでクイーニア達、最近ちょっとふっくらとしてきてるの、気付いてるかね…?」
「えーっと…… そうでしたかね?」
「してきてるんだよ…。本人達もそれ気にしてね。これ以上になるとやはり問題になるのでね。
すまないが食事の量、特に揚げたものは、出すの控えてやってもらえないかね。
それと… アリス嬢に、こういったことに良い料理?を聞いてみてもらえないかね。
あるようなら、できれば教わってそれを出すのと… グルメシ、お前も大分太ってきてるな。
いっしょに健康的な食事を試してみてはどうだね?
効果あるならよく分かるだろうしな…」
「うーん… まあお嬢様達に関しては了解しました。こっちは仕事の面もありますから、どうなるか分かりませんが… 健康的な食事とやらはしてみます」
ということで、グルメシさん、ヘルシーフード研究に着手することになりました~。 よーし。
また面白い料理知れるし、いいよね? 効果も実体験できますよ~。つーか、しろよ?
うん。クイーニア様や公爵夫人、まあ元が細いし、そんなに食事量も多くはないから、今はちょっとふっくらしてきた? ってくらいで済んでるけど… このままこのペースでいったらねぇ…
それなりに恰幅がよくなることは想像に難くないデス…。
なので公爵様に、それ引き合いに出してダイエットさせるように、食事も変更させるように吹き込んでみたら…
アッサリ同意。 ひょっとして、ちょっぴり気になってた?
ついでにグルメシさんへの諫言も引き受けてくれて。ありがと~。
やっぱ発動させるべきは、雇用主権限ですよね~
にしても。
はて。ダイエットねぇ。
そもそも一番は食べる量減らして運動することなんだけどね。
まあでも。いろいろ研究がてら気をそらさせるのはいいかな?
さて。食事を変えるとして… カロリーが少ない食材?
前世だと… 豆腐。おから。こんにゃく。海草。寒天とか?
でも。豆腐なあ。 大豆は一応厨房にあったけど… にがりが…。
確か海水の塩を取った残りから、だっけ? でもここから海って… 馬車でも半日くらいかかる…。
そもそも作ったこと自体無いから手さぐりになるけど… 作っても、今までの反応から見るに、こっちの人ってあんまり味が無い食品って好きじゃなさそうな…。
私だって醤油とかかけないと、そのままだとあんまり…。
加工するとしたら、凍らして高野豆腐? 凍り豆腐、とも言うんだっけ?
または、厚揚げ、油揚げ、がんもどき… って、揚げ物に戻ってどうするーっ!
あれーっ? あと使えそうなのって、搾りカスのおから?
…… えーっと。もう大豆そのまま使った方がいいんいじゃないかな…。
炒って、砕いたり粉にしたの、混ぜるとか、煮込んだのペースト状にして混ぜるとか。
ああでも、アイスやクリームを豆乳でやるってのはアリかな。
海草や寒天はいいかも。
でも厨房には無かったな。このへんの海では育ってないのか、食べる習慣が無いのか…。
これは聞いてみて、あったら取り寄せてもらうかな。
寒天は… どんなのだったかよく覚えてないから、海草届いたら、全部とりあえず煮込んでみよう。
固まったら、それがきっと寒天?
こんにゃく。うーん、これも味は無いけど、食感は面白いよね。
出来れば作りたいものだけど… これも作り方は知らないなあ。
こんにゃくイモを鍋で煮込んで、なんか入れて混ぜる、ってのをテレビでやってた気はするけど…
何か、が分からないことにはなぁ。
いやそもそも、こんにゃくイモがあるかどうかだ。なんかサトイモみたいなやつだった気はするけど…
…ん? あれ?
なんかアリスの記憶で、孤児院の子供たちで、遊び 兼 食料調達で森に行った時、ヘンなイモを掘り出したことが。
で、食べれるかどうか煮込んで試してみたら、めちゃくちゃ不味かった思い出が…。
あれ、サトイモみたいに粘りがあったなぁ…。皮剥いた人、手がかぶれて酷い目にあってたなぁ…。
それ以来、あのイモにはお目にかかってないけど… ひょっとしたら、ひょっとする?
ちょうど休みだし… アイス手土産に、孤児院に行ってみようかな。




