ハート公爵家へ
ドナドナされて~ やって来ました公爵家!
お供は~ 借りてきた猫状態のアキと、他クイーニア様のご友人達。
執事さんとかに迎えられて、案内された部屋には、ナーニワのご当主と、アキのお兄さんもか。
もちろん公爵家のご当主もいらっしゃいましたよ。クイーニア様の父親ね。
案内されたのは、一応私とアキだけ。
他のは別室でおもてなされ中~。いいなぁ…
「おお、クイーニア。久しぶりだね。急にナーニワと取引をしたいなど何が?」
「お父様、お久しぶりですわ。まずはこちらを味見なさって下さいな」
と、最近の試作で評判の良かったアイス数種をご提供~。 うん。私が作って抱えてきたんだけどね。
「ほお~」「ふ~む」「おおー」
「これはずいぶんと面白いなあ。しかも私が今まで食べたことのない…」
「おほほほ。でしょう! アイスと言って、このワンダーが思いついて作ったそうですわ。ナーニワより売り出すとか。
家での食事やもてなしだけに使うのであれば、作り方を教えてくれるそうですわ。もしくは提供を。
ぜひ頼みたいと思ってますの! それと、この入れてきた容器であれは長く持つそうですわ。
これはナーニワが作っているとか。これも是非」
「ほー。それでかね。しかし、家で食べたり出す分には、とはどういう意味だね? 他家の人間に出しても良いのなら、広く教えてもいいのでは?」
「その場合のお願いがございます。できればそのようなおもてなしで出したりするアイスの材料は、一般にはあまり出回っていない、貴重であったり高価であったり、といったものでお願いしたいのです。
で、商売となさらないで頂けましたら、ナーニワはナーニワで、庶民にも手の届く手ごろな材料でのアイスを提供いたしますから、お互い住み分けが出来るかと」
「ほお、なるほど。それであればナーニワの売り上げが減ることはあるまいね」
うん。採算の取れないやつで、そっちが勝手にやる分にはご自由に。でもこっちの邪魔になることはしないでね。
公爵家とかが商売に首突っ込んで来たら、すっごく迷惑だから!
「ふーむ。確かにずいぶんとしっかりしているし有能だね」
ん?
「君たちが来るまでに、ナーニワのご当主にも聞いていたんだが、その容器もワンダー君が思いついたとか。凍った物でも、ずいぶん持つそうだね。
住み分けにしても、特に商売など手伝ってたでもなく、そこまで考えが及ぶとはね」
あぁ、またやらかしたかも… でも噂通りなら、有能そうな人間には優しい? つーか、優しくしてね!
「よいだろう。なら、うちで食べたりもてなしに使う分には、そういった物を使おう。
他の物をナーニワから買う分には良いのだろう?」
「はい。ありがとうございます」
うん、ホントありがと~
それから?
うん。作り方教えるのに、厨房へ行こうってことで。
試作も、ある材料でいくつかしてみようってことで。
他のお嬢さんたちと合流して、Go!
公爵ご当主はお仕事に戻った。
ナーニワご家族は、アリスっていまいち値段とか高いのは詳しくないし、使ってる材料見て、利益計算してもらうためにちょっと。
他試食も一緒に。
シェフの人、いきなり押しかけてきた公爵家お嬢様ご一同見て、一瞬鬱陶しそうな顔してたけど…
ほーら、さっきご当主に出したアイスの残りを~
「美味い! なんだこれは!
これ作るのに厨房使う? 材料も?
ハイどうぞ~!」
うむ。やはりチョロい。
湧いて出たお抱え魔法使いっぽい人たち共々、背後でわくわくした顔してますが、なにか?
鍋も借りて材料入れて… あとはまあ一時間待つだけ ってアレ?
魔法使いの人、2属性同時? 冷却を持続? とか、なんかぶつぶつと…
えーっと、シェフの人とか、とりあえず暇ならアイスの残り食べようか?
あと、使ってる材料とか、後で見せてね。
みんなで材料分析しながら持ってきたアイスを… うん、ナーニワご当主、いくつか指差して残念そうな面持ちで首を横に。
どれも美味しいんだけど、大部分採算取れないやつですか…。
まあ、材料持ち込みでしたからね。(多分)高位貴族のお嬢さんによる。
ただ、いくつかは
「これは市場に出回ってないが、いいな。どなたが?
ぜひ取引を」
「ハート家にもぜひ!」 と新たな需要が生まれてたり。
ハート家の厨房の材料は、珍しそうなのは、公爵家用で大丈夫。
オレンジやリンゴ、ブドウみたいな、見たことのあるモノで作るのだけ止めといたら、と。
むしろアレとかアレとか、試食時にはぜひ、とか。
まあお世話になってるし、来れなくても横流しはするね~。
ナーニワで売り出したいのは、アレとかコレとかかなあ。
現在考えてるのは、鍋にそれぞれ~個ずつか。
休みの日に作ってもらって~ 1週間くらいは持つとは思うから~
とか今後の予定についてお話してるうちに、アイス出来たので、また試食。
うん。公爵家の食材ってやっぱ美味しい。
シェフの方、感動に打ち震えて、これにて完全協力体制が築かれました~。
ぜひとも、うちでも作って、って言われたけど、ん? お抱えの魔法使いたちは…
出来上がったアイスは食べてますけど… 暗い顔で。
あれ? 難しそう? 無理そう?
よっしゃ、公爵家のが出来ないなら、しばらく稼げそう!
その後のお話合いの結果、日曜の早朝にナーニワでアイス作って、その後ハート公爵家に行って試作して、シェフとナーニワで店に出すものと家で楽しむものとを分ける、と決まりました。
保存容器もいくつか公爵家厨房がお買い上げ。
えーっと、でも付いてきてもらえるのはありがたいけど… 店それで大丈夫?




