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ヒロインはどこへゆく?  作者: 瑚ノ果
11/20

ここはファンタジー世界

この物語はフィクションです。

ファンタジーです。


細かいことはそうやってスルーして下さい…

 場面変わって、とある鍛冶場。


「グラントのおっちゃーん、久しぶり~」

「おー、アキの嬢ちゃんか。あ? そっちの誰や」


おー、これがドワーフ! 初ファンタジー種族!

やっぱり背は低いけど…、平均的な私より頭一つぐらい? ちびマッチョっていうか。

かなりガッチリして筋肉が詰まってる感じ。こげ茶な髪と髭ももじゃっと。


うん、多分身長近い他のドワーフと並んだら、個体識別できない…。

そもそも顔がほとんど出てないし…。

んー、ドワーフって、恋愛ゲームには向かないタイプだよな…。

剣と魔法と冒険の世界、だと脇役でいい味は出しそうなんだけど…


「はじめまして。アリス・ワンダーと言います。アキのクラスメイトです。

今回、ナーニワ商店とお付き合いをすることになりまして、氷を加工するための刃物と、氷を凍ったまま保つための容器を試作していただきたく、説明のために参りました。

あと、できればいろいろな金属や加工のことについてもお伺いしたく…。あ、これお土産です」


と、そっとアイスの容器を渡してみ~る~。


「あ? これは?」

「ナーニワで売り出すつもりの、新しい氷菓子です。まあどうぞ」


「…… ! なんじゃこれ! うまい!」

 ふっ、釣・れ・た☆


ちなみにご提供させていただいたのは、酒入りアイス。

ラムレーズンとかあるよね? それにヒントを得て、甘さ控えめにして、こっちの酒の種類はよく分かんないけど、風味のある酒を混ぜ込んで作ってみました~。

うん、アルコールも凍るんだね? ちなみに材料提供は、ナーニワ商会から。


鍋の半分くらい食べたところで、こっちに戻ってきたグラントさんと、改めてお話し合い。


でもまあ話早かったね。

何でも言いな! その代りコレもっと…、 と。

もうちょっと強い酒で! かーっ、コレ酒と一緒にやっても旨そうだ!


…え?  酒アイスが酒のつまみに? 

 …… まあ、いいけどね?



で、もう一つ。

やりたいことは、これなんですけど、とかき氷を製作。


アイスほどのインパクトは無かったみたいだけど、お手軽だし、これはこれで美味い、と。

氷結は魔道具がありますけど、風刃を実際の刃物、プロぺラ? 扇風機? みたいなので代用して、同じように薄く削れるようにしたい。

刃物は、ハンドルを回したら一緒に回るようにして欲しい、と描いてきた絵を見せつつ説明。


かき氷器、テレビでは、昔の氷を横に固定して、縦にハンドル回したので削っていくのも見たことあるけど、氷の保持を考えると、お手軽な上部ハンドル横回し式がいいかなあ。

刃物の形とか厚さは、目的のために最適になるように作ってね。プロにお任せ~。



それと、こっちもさっき描いた図解を見せつつ、アイスを保管するためにほら、持ってきたの入れているコレみたいに、二層にして、間に空間を空けたものを作ってくれませんか?

この層には、ある程度力がかかりますから、内も外も そこそこ丈夫に。

できれば、内側の材質は、錆びや腐食に強く、温度を伝えにくいものがいいんですが。

形は、鍋より一回り大きいサイズと形で。



かき氷器に関しては、気軽にふんふん頷いてたグラントさんだけど、真空容器の注文ではちょっと固まっちゃった…。注文多くてごめんね…。


まあ、でもちょっと考え込んで、いくつか質問されたけど、まあいけそうかな、と。

とりあえず作ってみるか、ってことでトンカンやり出したグラントさんの脇で、こっちはこっちで実験。



で、容器には細工っていうか、真空にしないといけないんだけど、アキ風属性だったよね。出来る?


自力でやってみて、ダメだったら魔道具を提供しようか。


え~と、真空いや、ここ、何も無いように見えるけど何も無くするというか…


??? って状態だったけど… やってみたら出来るものなんだ…

まあ、手取り足取りっていうか魔力取り?で。


へー、他人が魔術使ってる時に、自分の魔力で相手の魔力の動きをトレースしてその通りにやってみるとかいう方法もあるんだね。

うん? 同じ属性で単純なのなら、か。


これなら真空容器は任せてもいいかな。



おや、グラントさん、もう出来た?


とりあえず実際に試しながら調整していくってことで、かき氷器(試作)に、魔道具で作った氷セットして、シャリシャリシャリシャリ~

おー、軽やか。削れた氷も細かいね。

うーん、削るのはこれでいいけど、容器に取るのは、こここうしたほうが…、ああ、それでもいいよね。


こっちは少し調整すればすぐいけそうだね。

かき氷の方は、道具が完成したらさっそく店に配置して売り出すらしい。

グラントさん、どんどんこれ作って売り出してね~。


にしても、すっごく切れ味良いし、手応えが軽いね。

え? オリハルコンの刃? 

 へえ… 初めて使うのがかき氷器でかぁ…

この通り、切れ味良いし錆びないから最適! お値段は…、ああ、刃の先だけだからそこまでではないのか。



で、真空容器は… へえ。外側のパーツと、一回り小さい内側のパーツを…

 お? なんかの液体に潜らせて… 銀色にコーティング。それを溶接して…

「こんなもんでどうかね?」


ふうーん。形状はこれでいいと思うけど、さっき見た感じだと厚さあんまり無かったけど、強度は大丈夫なの?

 へぇ… ミスリルコーティング…?

強度もアップするし、腐食にも強い。熱や冷気も伝えない! ドワーフ秘伝の技術だそうです。


 なんか… ミスリルとかオリハルコンとか、ちょっと憧れてたんだけどなぁ…

 ロマンがな~い… 


ふーん、オリハルコンやミスリルはわりと身近な材料なの?

そんなに安くはないけど、よく使われてる。

オリハルコンは前世での工業用の金。ミスリルは不純物の入ってるプラチナみたいな感じ?



ちなみにアダマンタイトとかあります? ヒヒイロカネとかは?

ほー。アダマンタイトは、噂としては聞いたことある、と。

実際には… コレがそうだ! って武器とかはたま~にあるけど、確かに性能は良いんだけど、はっきりしない? 

奇跡的に出来た、特殊効果を帯びた合金のことを、それぞれがそう言ってるんじゃないか、って。


ヒヒイロカネ? あー、無ければいいです。気にしないでね~。

まあここ、西洋風の世界だしね…



 気を取り直して、出来た保管容器に~ アキ、さっきの細工をしてね。


 出来た? どれ、うん、空気無いね。

じゃあ、これにアイス入れて、どのくらい冷たさが持つか、アイスの劣化はどのくらいか試そうか。


氷は、普通のと塩入りでやってみよう。氷結の魔導具も作って… 

ほー、アイス入りの鍋のすぐ外側を凍らせたけど、空気とミスリルの層を挟んだ容器の外からじゃ、全然冷たさが分からないな。


 しばし後…


お? 塩入りのほうが低温なのかな? こっちのアイスの方が固い。

あれ? でも氷が溶けるのも塩入りの方が早いのか。


うーん、一定時間で氷結が発動するように、タイマーみたいなのを作れないかな…。

それとも、氷が一定以上溶けた状況に反応して、再凍結かかるようにするか。


 あ、そういや風呂の水が一定以上になると鳴るタイマーとかあったっけ。


よし。ちょっと材料貰ってきて、<液体に漬かるとその液体を凍らせる>魔道具を作ってみる。

これを~ 底から… 10センチくらいのとこに貼り付けてみよう。

で、しばらく観察してると、氷が溶けてって、液体になってって、それが魔道具の上まで来たら…


 よーし! ちゃんと再凍結~♪

必要なければ、魔道具外すか、水を捨てればいいよね。 



 あ。


あとちょっと気になったので、こっそり殺菌効果の魔道具も追加~。

凍ってたら大丈夫な気もするけど、食中毒とか出してたまるか! せっかく儲けられそうなのに!

 

まあ、凍結と同じペースで殺菌も作動させれば、アイスがアイスの状態であればまあ大丈夫かな?

売ってから放置して溶けたのとかで起きたら… そこまでは知りません…


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