ニワトリさんからのお願い

善は急げ！　ちょうど休日だったし、残ったアイスを再び保存容器に入れて、アキの実家へＧＯ！

　

でっかいお店でお出迎え頂いたのは、にこやかだけど微妙に目が笑ってないお父さんと、そこそこやり手そうなお兄さん。

アイス？　提供したら二人とも食い付いた。　いろんな意味で。

かき氷？　目の前で作ったら、「こんなやり方が！」「美味い！」って感動。

これ、魔法使わなくても出来ますけど、って言ったら…　目がキラーン☆って。

　

真空容器。これも、冷凍魔法を維持してないのに、まだ中身が凍ってるの見て、興味深そう。

あれ？　でも大丈夫かと思ったんだけど、ちょっとアイス柔らかくなってるな。冷たさが足りなかったか？

塩入れたらもっと温度下がるんだったよね。入れてみようかな。

あれ？　でも塩水で凍らせるとどうなんだろうな？

で、そこからのお話合いの結果～

うん、かき氷の道具と真空容器について教えるから、お礼頂戴ね。かき氷の売り上げも１％ね。

アイスは、保管容器が出来ないと保管がなあ。かき氷は、要る分の氷を魔道具で作ればいいけど…

冷凍維持、しかも０℃より低く、の魔道具、そこまで需要無いから値段が…。

現状出回ってるのは、瞬間的に発動させて、氷とか作るものだからね。

アイスは、保管容器が出来たら売れるだろうし、作れるだけ作って提供します。

アイスも売り上げの１％でいいけど、作る手間代は別で貰うね、といったことに。

ちゃんと正式に契約書も作ってくれたね。

もっとも、他に何か思いついたらぜひ、ってあたりが理由なんだろうけど。

うむ、目先の利益だけに囚われず、先を見据えたその行動。良い商人ですな～。

アイスも魔法無しでもいけるんだけど、そっちはしばらく内緒にさせてね。無事に就職したら教えるから。

言い分は大体通ったっていうか、今、魔道具や補助具無しでやってるから、アイスとか作るのに必要なら、魔石に素材、どうぞどうぞって。

で、アイス、私が作って卸すとしたら、どれくらいの量がどれくらいの時間でできるかを、店の奥で実験。

さっそく補助具を作って、いろいろ試した結果、最速だと３０分でそれらしいのが。

ちょっと滑らかさが減って、シャリシャリするけど。

お、補助具使うと、２つの鍋で同時に作れるね。いつもより多く作っておりまーす。

お？　３つ同時もいけるな。その分補助具の数は要るし、同サイズの鍋に限るけど。

慣れたらまだまだ増やせるかも。

ちょっと一休み。作ったアイス食べつつ、みんなで一服。

ふふ、アイス用の補助具作る分以外にも、魔石や素材を貰えて、私ほくほく。

あっちもいい儲け話でほくほく。

鍛冶屋の方は、休憩のついでに絵とか描いて見せて、

「かき氷器はこんな形の刃物を回転させて氷を削る」「真空容器は、容器に空間を作って細工する」 と説明すると、「こういったの得意なのは彼だな。頼みに行こう」って。

聞いたら、一番腕利きの鍛冶屋さん、ドワーフなんだとか。

おや本当にそういう種族居るんだ。周りでは見ないけど。

そういやエルフだったら学園の教師にいるはずだっけ。まあ、ゲーム関係者だから近寄りたくはないけど。

ほー、基本はドワーフの国で暮らしてて、たまに外に出てきて住む人がいると。

こういった細工とかってお願いできるの？　

あ、そう。外に住んでるのって変わり種が多いから、いろいろ試すの好き、と。

良かった～。俺は武器しか作らないぜ！　みたいなタイプだとどうしようかと…。

うーん、個人的なお願いや質問もあるし、手土産とかあったほうがいいかなあ。

何を持っていこ…、あ、ドワーフって酒好きだったりします？　

おー、本当にそうなんだ。じゃあちょっと…

で、話のついでに、あら、さりげなく私の好きなモノや目指すものについて探り入れてきてますね。

嘘発見魔法が反応中。　嘘って程の反応じゃないけど。

え？　話し持ちかけた時点で発動させてますよ。プロの商人相手に前世経験だけじゃ不安ですしね。

まあ、実際の１０代だと気付かなかったかも。

ふ－ん、まあ、金の卵産むかもしれないニワトリさんを、穏便に囲い込みたいってことですかね。

いや、多分今回のネタはそれなりの利益出ると思うけど。

まあ、アイデアはあっても、実現する手段や流通手段無いから、アキの家と組むこと自体はこっちも有難いけど…、念のためにちょっと釘差しとこうかな。

うん、希望？

基本は日々の暮らしに困らない＋α（困ったことがあっても対処できる）の収入があればいいですかね。

一攫千金もいいけど、堅実な日々の労働も大事ですよね。

ほら、日本人って、宝くじ当たっても、貯金して働き続けるって人多いですしね。

　え？　欲が無いって？

うーんと、こっち（の世界）って、金の卵を産むニワトリさんのお話、ありますかね？

ああ、知らない？（ちょっとこっち風にアレンジして～）

うん、とある（世界の）地方のお話なんですけど、ある貧しいけど真面目な男が、善い行いをして神様から魔法のニワトリを貰ったんですね。

普通に餌をやってると、１日１回、金の卵を産む、ね。

男はその金を売って金持ちになったんですけど、だんだん欲が出てきましてね。

もっと卵を手に入れたくて、そのニワトリの腹を割いたんですよ。

ニワトリ？　もちろん死んじゃいましたよ。

金の卵を産むニワトリがいなくなって、男はまた貧乏に。

ふふ、お馬鹿さんですよね～。　手に入るもので満足していれば、十分な利益がありましたのにね～。

欲を出し過ぎると、結局何も無くなっちゃうんですよね～

ニワトリさんとしては、必要なだけのエサがあれば、そのへんでうろうろしてて、値段がいくらになるかは分かりませんけど、産まれた卵はこちらにご提供するんでかまいませんからね？

でも、あんまり余計な事とかしてきたら、こっちにも考えありますよ？

そもそもエサ程度で金が出るって、かなり等価じゃないんですからね。

分かってますよね。

まずは誠実なお付き合いですよ？　ここん家じゃないとダメってことないんですからね？

欲って、適度なら向上心に繋がるけど、それしか見えなくなったり囚われると、破滅につながりますからね。

一応、良いお付き合いなら末永くしたいんですから、気を付けてくださいね～。

ふふ、お顔微妙ですね～。ちょっと脅しちゃったようですけど一応ご理解はいただけたようですかね。

　コ、ケッコ(結構)～