第300話 バベル破壊作戦 その12
◆ メタルタワー中枢 最下層 ALEX制御フロア ◆
――――アルコールガスによる殺傷率0.002%以下
「なんでよ! あのガキがアルコールに弱いというのはあなたが導き出した結果でしょ! じゃあ、不意をついてアルコールを直接注入すれば!」
――――成功率0.001%以下
「そうよ……VRシステムを起動すればいいんだわ。VR空間に閉じ込めて、悪夢を見せつけてやれば……」
――――VR空間への誘導成功率1%以下。スペースコロニー実験場への誘導の結果があるため、警戒されていると分析
「誘導成功した後の確率だっつってんのよ!」
――――成功率1%以下。葬送騎士イークスのスキル『バッドエンド』により耐性ができたものと予測
「なんなのよッ!」
クラムを煽ててセラフィムを着せてスペースコロニーでリュアを殺す計画の成功率は少なくとも70%は超えていた。確実とは言えない数値だけどこれだけあるならば何らかの打撃、後遺症を与えられてもおかしくない。
ところがあのリュアは一度受けた自分への障害にことごとく耐性を得てしまう。唯一、アルコールだけは何故か耐性が薄いのだけどそれを利用しても成功率は1%以下。あの最強の毒ガスでさえ、多少苦しむ程度。戦いにはほとんど支障をきたしていない。そして今はあの毒ガスへの耐性を得てしまった。
一体何故、こんな化け物が生まれてしまったのか。以前、彼女がメタルタワーを訪れた際にあらかた分析情報を盗んではいた。そのおかげで天性はこちらでもある程度把握していたけど、ALEXにさえ解析できていない部分がある。メタリカの技術をもってしても、天性はいわゆるオカルトの域を出ないのだ。
魔族との混血というだけでは説明がつかない。彼女の父親と母親に注入された魔族の細胞、それが彼女にも受け継がれているのはわかる。混血によって生まれた突然変異と考えるのが妥当だろう。天性は何らかの混血児が持って生まれる事が多い。わかっているのはそれだけだ。アバンガルドの実験体の子供であるリュアとクリンカは当然、あの破壊の王ヴァンダルシアも両親か遠い先祖がそうだった可能性がある。ノイブランツ十壊の世界最強の男も出生を辿れば、そういった結論が出る。例外なのは、あのアボロだけだ。純粋な魔族で天性を持っている、これほど恐ろしい存在もいないと思っていたがそれを破ったのがあのリュアだ。
「忌々しい……!」
「……コリン所長。もうやめませんか。これ以上の損害は見過ごせません」
「誰に向かって意見してるのよ。言われた事だけやっていなさい」
「何故、それほどまでにあのリュアという少女に執着されるのですか。あれほどの力があれば、いっそ引き入れてしまったほうが……」
「冒険者はね、必要ないのよ」
フロアの中央に設置された巨大な柱、それに付属する形で端末がいくつもついている。これが私のALEX、なんでも分析して解析できるシステム。世の馬鹿どもは力だの権力だの金だの、低次元な強さしか語れない。それらを手に入れるのに必要なのは情報だと、まったくわかっていない。
「情報があれば何でも手に入るのよ。ペンは剣よりも強しとは誰の言葉だったかしら。まったく良い事言うわよね。情報という備えがあれば、恐れるものなんてないのよ。大切なものだって失わないもの」
「しかし、ALEXを持ってしても計れぬものがあったとすればもうどうにもなりません……」
「なるわ。だってALEXは無敵ですもの。ただの所員に過ぎないあなたにはわからないわ」
「いい加減にして下さい! あなたほどの優秀な方ならば、わかるでしょう! あの悪魔の生物兵器、ガフバムルガスですら殺せない生物ですよ?! 直撃ではないとはいえ、天空砲を受けても無傷! このままでは我々の命さえどうなるかわかりませんよ! それほどまでにあの少女の怒りを買ってしまってるんです!」
「うるさいわね」
「な」
命令を聞かずに喚き散らす肉の塊の頭を小銃で撃つ。脆すぎる、呆気なく死んだ手駒を見下ろし、ため息が出た。これだから人間は。
「しょ、所長……。あなたはなんて事を!」
「あなた達もいらないわ」
「き、き、気を確かに――――」
続いて1人、2人、3人。全部一発ずつで事足りた。生命活動が停止した生物はいつ見ても滑稽だ。こんな不完全な生物が地上にはびこっているのだから、マディアスとかいう超越者もいい気はしないだろう。少しだけ私の精神は神に近づいた。
「ごめんなさいね、アレックス。やっぱり信用できるのはあなただけだわ」
すがりついても生物の鼓動もない、冷たい感触だけが伝わってくる。舌を這わせても何も言わない。でもこれでいい。アレックスがここにいると知っているのは私だけなんだから。下らない情報と心に振り回されて死んだアレックスじゃない。物言わぬアレックスがここにいる。
「私を守ってね、アレックス」
刹那、この中枢への扉が消し飛んだ。腕力でどうとでも出来るのに、わざわざ破壊してまで自分の怒りをアピールした獣がここにやってきた。それは幼くもあったが、心が確かにそこにある証拠。
「やっと会えたね、コリン」
身震いして背筋が凍るような視線、それだけで常人なら恐怖に耐え切れずに意識を失うだろう。でも私は屈しない。心には屈しない。
◆ メタルタワー中枢 最下層 ALEX制御フロア ◆
丸い室内に丸くて大きい柱。それが天井の遥か高い位置にまで突き抜けている。鉄の線か何かが入り乱れて絡み合い、いかにも何かの機械だと主張していた。
そして次に目についたのが倒れている人。コリンと同じ白衣を着た人が4人倒れていて、頭から血を流している。見ただけで死んでいるとわかる、そしてそれをやったのが誰かも。
「この中枢に許可していない人間が立ち入るなんて、メタリカ開国以来よ。もっとも、今は私のALEXの部屋だけど」
「そこの人達はコリンが殺したんでしょ。放送でも誰かと話していたもんね」
「私、こう見えても射撃の腕だけは現役の兵士に引けを取らないの。趣味が高じたって言うのかしら、護身用の小銃があれば大抵の人間は殺せるわ」
「じゃあ、ボクも殺してみてよ」
「人間はって言ったでしょ?」
赤い唇を曲げて、コリンは見下すように顎をあげる。そんなのに腹を立てずにボクは堂々とコリンに近づく。何を仕掛けてきたって無駄だ。そう威圧して、一歩ずつ。
「私のレベルは1。だけど、こんな小銃でもあれば簡単に人は殺せるのよ。魔物でもゴブリン程度なら、簡単に狙い打てる。文明機器の勝利よ、本来は人間に力なんか必要ない。人間が魔物の真似事をして同じ舞台で戦う必要なんかないのよ。あなたみたいにね」
「天空砲を止めてよ」
「いいわよ。ただし彼を倒せたらね」
上から何かが降ってきた。着地と同時に頑丈な床が大きく揺れてへこむ。大きな鎧にも見える、その機械の体。そこから何か煙みたいなものが出ていて、加えてその表情は歯を食いしばっている。それが笑っていると気づいたときに、誰なのかようやくわかった。
【機械将軍ブランバムが現れた! HP 9900】
「コリン所長、構わぬな?」
「ALEXの心配をしてくれているの? 問題ないわ」
「御意ッ!」
噴き出している煙がより濃くなる。冷たい、これは放置したらダメなやつだ。
【機械将軍ブランバムのフリーズドライ!】
「力比べをする気もないのでな! 悪いが一瞬で」
【リュアの攻撃! 機械将軍ブランバムに13954のダメージを与えた! 機械将軍ブランバムを倒した! HP 0/9900】
「ボクもないよ」
裏拳で少し力を入れて、機械の体ごと砕く。亀裂なんて入らずにいきなり粉々になり、生身の頭をギリギリ残してブランバムはその場に沈んだ。
「ごふッ……!」
「ALEXは何でも知っているんじゃなかったの?」
悠然と腰に手を当てているコリン、すでに意識がないブランバムに向けて言った。でもコリンは驚くどころか、負けたブランバムに呆れている様子だ。
「無重力がダメなら、冷却空間で……なんて入れ知恵をしたけれど無駄だったみたいね。そんなものに騙されて奮起するようなお馬鹿さんとも言うけど」
ほとんどお腹の部分が砕けているブランバムを見下ろして、なんだか妙な違和感を覚える。そんなのに気を取られている場合じゃなくて、ボクはコリンとの距離を詰めた。そしてすかさず、弾くようにして平手を当てる。
「ぎゃァっ!」
「痛いでしょ」
何せ相手はレベル1、加減も難しい。けど今の触れるか触れないかの一撃でさえ、コリンは床を滑るようにふっ飛んでいった。なかなか起き上がれないほど痛かったらしくて、冷たい鉄の床の上でもがいている。
「い、痛い……! この、この化け物ッ!」
「痛いでしょ。戦うっていうのは痛い事なんだよ。コリンはずっとここで機械に任せて、プラティウやクラム王女に任せてさ。今ので少しは思い知った?」
「さっきも言ったでしょ! 戦いに必要なのはそこじゃないって!」
「テラスさん、ウィルス流していいよ」
「ちょ! 勝手な真似は!」
「動いたら、またぶつよ?」
そそくさとテラスさんが中央にある装置に向かう。コリンが追ったところでボクに捕まる。何を仕掛けてきても、コリンはテラスさんを妨害できない。コリンの肩にグッと力を入れて強引に床に座らせた。
「ふむふむ、やはりプロテクトがかかっておるか。多少、時間がかかるがいいか?」
「いいよ、コリンはここにいるから」
「フ、フフフ……ここまで無力感を味わったのは16年振りよ……あの時も私はアレックスを止められなかった」
心なしか、コリンの髪も乱れてボサボサになっている。顔の皺も目立ってきて、老けているようにも見えた。疲れ切っているんだろうな。
「アレックスって……システムの名前じゃ?」
「そうよ、クリンカちゃん。アレックスはね、私の恋人なの。警備マシンのトレースデータの被験者としてメタルタワーに来たアレックスと出会った時、私は見習い研究員。上司に怒られてばかりいた私にとって、次期特級冒険者とまで期待されていた彼は新鮮だったわ」
放心したようにコリンは喋り始める。アレックスっていうのはコリンの恋人の名前だったのか。赤い唇すらも色あせたように見えるコリンは本当に力なく、手をだらりと床につけた。
「どの研究棟でも、いち早く彼に合うパワードスーツを開発しようと競争していたほどなのよ。期待値でいえばリュア、あなたなんか足元にも及ばないほどにね。そんな高嶺の花でもあった彼は私みたいな冴えない下っ端にも優しく声をかけてくれたの。『その箱、重そうですね。手伝いましょうか?』ですって。転んで散らかすのを楽しんでいる奴らばかりだったのに……」
「……ふぅん」
「台車どころか、誰もけん引用マシンを貸してくれないほどにいじめられていた私にね。ないんだったら自分で作ればいいんだって」
うっとりと夢でも見ているかのように、コリンはさっきまでとは別人になっている。テラスさんが必死に作業している様子に目もくれない。もうそんなのはどうでもいいとさえ思ってそう。
アレックスはボクなんか足元にも及ばないなら、相当強かったんだろうな。ちょっと興味がわいてきた。
「私、そんな事すら思いつかなかったのよ。工学の知識のないアレックスが、自分の足で参考資料なんかを買ってきてくれてね。二人で初めて機械を作り上げたの。やれば出来ると勇気を与えてくれた、大切な人」
テラスさんの機械をいじる音が広い空間に響く中、コリンはそのうち両手で自分を抱きしめる。
「アレックスってすごい人だったんだね。今はどこにいるの?」
「死んだわ。当時、国内に出没した魔物にあっさりと返り討ちにあった」
死んだ。今までの話で予想できて当然のはずなのに。あんな機械に恋人の名前をつけるくらいだ、生きていたらそんな事はしないはず。ボクの中にあるコリンへの怒りが少し薄れた気がした。
「事前に調べた魔物のデータではね、アレックスにとっては取るに足らない相手だったのよ。それなのにアレックスは殺された。何故? アレックスほどの実力があって? アレックスほど強ければ、勝ち目がなければ逃げられたじゃない? 何故?」
「……コリンさん、それはきっと」
「国内で担ぎ上げた連中の期待にも応えるために。いくら泣いても、泣きはらしても納得できなかった。もうこのまま死んでしまおうかとさえ思った。でもね、ついにわかったの」
一筋の涙を流しながらも半笑い。コリンは正気を失っているのかもしれない。恋人という事はボクにとってのクリンカだ。前々からよく考える事、もしクリンカがいなくなったら。今回も強く考えさせられる。
「足りないのは情報よ。魔物の強さが事前に把握できていれば、アレックスが死ぬ事はなかった。そもそもアレックスが向かう必要もない。何かを得たり守るのに必要なのは情報、私はある日を境に必死になった。情報をとにかく集めて情報を集めて分析して情報を集めて、手に入らなければお金を払って体を売ってとにかく集めた。集めて作って集めて作って集めて作って、ウッフッフフ、それでね。アレ」
アレ、コリンが涙目で見ている中央にある装置。巨大な柱、ALEX。いや、アレックスだ。
「気づけば歳もだいぶ重ねていたけど、私にはアレックスがいるからいいのよ。私を見下していた連中も今や窓際か、クリッドから地方に左遷。自主退職してもらって余生を過ごしている。ALEXはついに国内で認められたのよ。後は世界、世界に認められるだけ。それなのに……」
憎々しい目でボクを見る。コリンがボクを憎む理由がわからなかったけど、ぼんやりと見えてきた。死んだアレックスに重ねているんだ。アレックスは死んだのにボクは生きている。もっと言えば同じ冒険者を。
「アレックスに同行していた冒険者のクズどもにも見せてやりたかったわ。あいつらがアレックスの足を引っ張ったのよ。当時から私達のデータを信じないろくでなしだった、死んで当然よ。アレックスにまとわりつく価値もない」
「アレックスさんはきっと、無理だとわかっていても皆を守ろうとしたんじゃないですか? 勝ち目がなくても、戦えるのが自分しかないなかった。当時のメタリカの技術でも立ち向かえない魔物なんて……すごすぎますけど。そんな魔物にアレックスさんは恐怖に打ち勝って挑んだんじゃ」
「それよ! それなのよ! いらないのは! そう、心! 感情! そんなものがあるから死ぬのよ! だから私は実行したの! そこのプラティウを使って、心を消して最強の戦闘兵器にしてやろうと! 失敗だったわ! プラティウ! あなたは私に、より心が邪魔だとわからせてしまったの!」
「プラティウは関係ないだろッ!」
プラティウが怯えてクラム王女と身を寄せ合う。コリンの胸倉を掴んで高く上げ、足も床から離す。さっきからなんだかおかしい、だって言ってる事が段々と変になっている。クリンカが冷静に話しているのに、コリンはますます壊れていくようだった。
「心がないとアレックスさんと通じ合わなかったんじゃないですか?」
「いいえ! 通じてるわ! だってそこにアレックスがいて、何でも教えてくれるもの!」
「だからぁ! 心がないとアレックスと出会って、幸せなひと時を過ごす事も出来なかったって言ってるんです! しっかりして下さい!」
「心がなければアレックスは死ななかったのよォ!」
もうムチャクチャだ。コリンを降ろしても、自分で立つ事もしなかったからそのまま座らせる。白衣が肩からずり落ちて、顔の皺がよりくっきりと目立つようになってきた。
「……天空砲の機能が停止したぞ」
「本当?! やった! 急いでメリアさん達に教えないと!」
「早速、復旧作業が始まった。もって……20分といったところだな。ジーニアめ、一体どこにいる……」
「ブランバムも哀れだったわぁ……リュアも消耗しているから、勝ち目はあるだなんて情報に踊らされて……結局、死んだのだから……無重力空間ですらどうにもならなかったのに、馬鹿ねぇ」
何かブツブツ言っているコリンを放置して、メリアさんを思い出して念じる。
「はい、リュアさん。なんでしょう?」
「天空砲の機能が停止したって! 今、そっちはどう!?」
「えぇ、まぁボチボチですねぇ」
「ボチボチとかじゃなくて、衛星基地は!」
「だからね、私が出した結論としてはこうなの。殺戮駆動隊も、いかにパワードスーツが優れていようと中身が粗末ならば台無し。下らない欲求にかられて戦闘を遂行できないようでは戦闘兵器としてお話にならない。だからね、あなた達に処分してもらおうと思ったの」
コリンが急にハッキリとした口調で、気になる事を口にする。唇を真横に広げて気持ち悪い笑顔を作りながら、頭だけ頷くように動かしていた。
「前時代の化石なんて使い物にならない。後生大事に取っておかないで、わざと戦力を分散させて適当に任務を与えたの。今、意気揚々とあなた達のお仲間と戦っているのよ」
「……変だなと感じていたよ。メタリカ最強の部隊というには下品なところが多すぎるんだ」
「中身が人間なのも問題なのよ。戦いに心は不要なの。不要な心を排除した無心の兵隊、与えられた任務だけを忠実にこなす。それだけで十分なの。プラティウにクラム、あなた達には本当に感謝しているわ。あなた達の不完全さがあったからこそ新時代の精鋭、無心駆動隊のクオリティを再確認できるもの。テラス元局長、チャンネルを」
コリンの不穏な言葉に対応してテラスさんが何かガチャギャチャと機械を叩く。いくつかの画面が、壁一面に何かが映し出された。
「あ、あ、あれはイークスさん達?!」
「あっちにはカシラムの王様とバルバスさんと……あ、あぁぁぁ!」
皆が戦っている相手に驚いたんじゃない。見ただけでほとんど決着がついているとわかるから。問題はそこじゃなくて、その後ろだった。
◆ カシラム国 王都前 ◆
【ケンタウロス×20が現れた! HP 6050】
「な、なんだあれは! 人馬もどきはここに倒れているではないか! あれらはどういうものだ!」
「どうやら、あちらは正真正銘の機械のようですね。バルバス様、さすがにこれは苦しい展開です」
【レオ×13が現れた! HP 9300】
「生身のレオよ、聞いておったか?」
「フフ、フフフフ……聞いているわけないだろう……カシラムの王よ。今日ここで貴公の国は終わる」
◆ ノルミッツ国 南部 タハラク草原 天空砲 衛星基地 ◆
【ピスケス×30が現れた! HP 4990】
「どぅ、どぅげんした?!」
【キグヌス×24が現れた! HP 3441】
「な、な……なんであのアヒルがこんなにたくさんいるんだよぉ……」
「ラーシュにルトナよ、逃げよ。時間はワシが稼ぐ」
「いやいやいや……じいちゃん、たぶん無理だぞ……。囲まれてるし……」
【タウリス×10が現れた! HP 8700】
【ジェミニ×7が現れた! HP 2222】
「あの双子ッ! やばいッ!」
すでに多数の双子の対角線上にオレ達はいた。コウとブンを反射的に守ったものの、こりゃ無理だ。あの羊野郎も訳がわかってないみたいだし、あいつらもハメられたんだろう。
「なんだなんだよぉぉぉ?! こんなん聞いてねぇぇよぉぉぉぉ!」
双子の電磁破が放たれる直前、毛玉に絡まった民族達のこの世の終わりが来たような表情が光に照らされた。
◆ シンレポート ◆
たいせつなあいてが しんだとき りゅあは どうなるか
あるいみ こりんが みほんのようなものです
こうして こわれるか はたまた せかいを こわすか
りゅあは このこりんをみて べんきょうするです
たいせつなものを まもれなかったやつの まつろを
こうして めにやきつけて せいちょうするのです
あれっくすしすてむ こりんが 16ねんまえから つくって
かんせいさせたということは あれ あのおんな いくつ
ひとつ ふたつ ああなって こうなって ひとーつ ふたーつ
あぁ はーとれす




