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第135話 盗賊団殲滅作戦 その6

◆ カシラム王国 辺境の村 外 ◆


 陛下が背中の斧を二本取り出すと、それらをブーメランの要領で空中に投げる。そしてパシーブの側面に備え付けてある斧をまた二本を持ち、頭上に放る。斧が空中で踊り狂う陛下のスキル、キリングアクス。戻ってきた斧を掴み、また空中に。それを繰り返して縦を含めた戦場を飛び交う斧で制圧するのが闘王の戦闘スタイルだ。

 その気になれば数十本の斧がひしめく事になり、斧の重さと破壊力も相まってその時点でまともに戦いを成立させられるものは極僅か。常人どころか世界有数の達人でさえ披露できるかわからない、この妙技は陛下のスキルの中でもまだ初歩のもの。つまり、これを攻略できて初めて陛下とまともに対峙できる事になる。


「さすが陛下だ! 奴の地形操作をたくみにかわしているぞ!」

「ズッコの奴、さすがに焦ってるな!」


 最初は涼しい顔をしていたズッコも、自分と陛下の距離が縮まるにつれて焦りの色が浮かんできた。とはいえ、ズッコも相当な使い手だ。パシーブの足が着地する寸前とタイミングを見計らって地形を操作し、早くも陛下の乗馬技術を読み始めている。奴がそれを完了するか、陛下があそこに辿り着くか。しかし、私はすでに気づいていた。夜の闇に完全に溶け込んでいる伏兵の存在に。


「……竜槍」


「ぎゃぁッ!」

「ぶふッ!」


 私の遠距離スキルの一つ、竜槍が闇に紛れていた盗賊の脳天を確実に捉えた。自分達が見つかっていると気づく前に果てる。闇に紛れていられたのは恐らくリュアの言っていた、闇への隠遁(シャドウエントリ)に近い自己魔法(カスタム)によるものだろうが関係ない。私の竜槍は敵だけを追跡して、確実に急所を打ちぬく。曲線を描いて敵を目指す様はなかなかに美しくて自分でも気に入っているのだが、この軌道が見えるのは恐らく世界に何人といないだろう。そこだけがわずかに残念だ。


「なっ! て、敵がすでに迫っていたのですか?」

「貴様らはそこから動くな。私が竜槍ですべて仕留める」


 闇から姿を現して倒れていく盗賊達をまるで単調作業のようにこなしつつ、私は本命を待っていた。今、倒しているのは恐らく彗狼旅団員ばかりではない。吸収した盗賊団のメンバーも含まれているはずだ。

 あの少女達が提供してくれた情報にあった、ズッコを含めた彗狼旅団本隊のメンバー。何人いるのか知らないが、必ず痺れを切らして私の喉元を目指すはずだ。それまでは雑兵を蹴散らして待てばよい。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!」


「なかなかの腕だが甘かったな」


 そうこうしているうちに陛下の斧がズッコの右肩に食い込んでいた。あの断末魔の叫びは痛みによるものだけではない、陛下に圧倒された恐怖も入り混じっている。あの出血量なら、もはや助からない。最高に苦しんで死ぬ。それが外道に相応しい最後だ。そうなるのが嫌ならば、最初から盗賊などやらなければいい。大多数のように真っ当に稼いで暮らせば、少なくとも他人から命を奪われる確率は低くなるだろう。言うなれば、あの末路は奴自身が選択したのだ。


「苦しいか?」

「痛い痛い助けてお願いだあぁ」

「私は闘う者が好きだ。過酷な環境にも負けず、ただ己が生きる為にあがく。その闘志があれば誰であろうと、私はいくらでも買う。だがな……たった一つだけ許せないものがある。それは盗賊だ。盗賊だけはどんな奴だろうと皆殺しにするとあの日から決めているのだ」

「そ、そんなぁ……」


「陛下、部隊を前進させました。後はこの森の要塞を攻略するだけです」


 あらかた雑兵を蹴散らし、残るはこいつとマスクの大男、そしてどこかに潜んでいる本隊のメンバーだけだ。あそこで死に掛けているズッコ含めて、本隊とやらの人間がどれだけいるのかは知らないがやる事は変わらない。そこで転がっている、かろうじてまだ生きている奴の額に私はグランドランを突きつけた。念の為、何人か生かしておいたほうが情報を手に入れるのに便利だと思ったからだ。


「おい、他の仲間はどこにいる?」

「し、知らない……」

「今すぐにでも死ぬか?」


 その時だった。木の要塞の上に立つ数人の影が視界に入ったと共に、要塞そのものがまた大きく動き出した。枝が分散し、騎馬隊に襲いかかったところでそれだけなら各々で対処できる。ヤワな鍛え方をしていない騎馬隊にとっては造作もない事だったが、再び兵隊の体勢が崩れる。


「陛下ッ!? ズッコは殺したのでは?!」

「……チッ」


「アヒャヒャヒャ、アヒヒヒヒヒヒ!」 


 狂った笑いを発するズッコの肩の傷がすっかりなくなっていた。それどころか、陛下の斧が奴の胴体の切断を完了しない。斧が胴体を過ぎたところでズッコの二つに分かれる運命だった胴体が、切った先から綺麗に修復されていく。修復などと陳腐な表現はどうかと思ったが、それ以外に例えようがない。


「不思議そうな顔をしているね。それはね、この彗狼旅団本隊"ビショップ"テンメイのおかげでもあるんだよ」

「よう、マヌケな騎馬隊ども。毎度毎度、ご苦労な事だ」


 ビショップのテンメイと名乗った白い法衣に身を包んだ白髪の優男、そして安い挑発を飛ばすのはマスクの大男だ。木の要塞から私達を見下ろす様は、すでにこの戦況が自分達が有利であると体現しているようにも見える。


「ズッコ、本隊の面汚しだけはやめてくれよ? 同じ本隊所属のワイまでなめられちゃかなわんからの! ガッハッハッハッ!」

「てめぇバフク、"ポーン"ごときなら俺と大差ねぇ。ここで決着つけてやろうか?」

「雑魚散らしにしかならんお前の自己魔法(カスタム)じゃ、ワイには勝てん! ま、せいぜい役立ってくれよ! ガハハハハッ!」


 豪快に笑い飛ばすふくよかな男バフク含めてあそこに立つ4人が主力である事はすでに明らかだ。少し面倒だな、それが私の見立てた戦力換算だ。マスクの大男一人ならどうとでもなるが、特にあのビショップとかいう称号か何かを持つ優男、危険だ。誰よりも真っ先に奴を何とかしなければいけない。何故なら、先程のズッコの修復は十中八九、奴の仕業だからだ。

 奴の自己魔法(カスタム)でズッコが助かった以上、部隊の足は著しく制限される。つまり、ここで私がテンメイを討つ。


「お前がいいかなぁ?」


「……何だと」


 マスクの奥から、嫌悪感さえ抱かせる声が鈍く私に届いた。汚らわしいあの巨漢は目元以外は完全にマスクで覆われている。奴の過去など知る由もないし、知りたくもない。奴の問いを無視して高く跳躍し、テンメイに手加減なしのスキルを叩き込む。


「大竜雨ッ!」


 空中から大砲をも凌ぐ無数の槍の突き。真空波となった突きの速度は人間の肉眼で捉える事など不可能、その上一撃でもかすれば肉の細胞ごと消滅させるほどの威力だ。木の要塞ごと一網打尽、ビショップの自己魔法(カスタム)が超回復力ならば、その隙すら与えないで破壊するまでだ。

 大竜雨は木の要塞を貫通して枝や根を消滅させ、それらが雨となる。ビショップを含め、奴らの体が削り取られるように消滅していくが、それに追いつくように肉体が再生されていく。まず絶望する場面だが、たった一点だけ私は弱点を見つけた。


「悲しきかな、卓越したスキルも新時代を代表する自己魔法(カスタム)にはまるで及ばない……。これも天命か」

「回復魔法の自己魔法(カスタム)か。確かに不死身に近いな」

「近いじゃない、不死身なんだよ」


 ここで弱点を口走るのは愚か者のする事だ。私がそこに感づいたのを悟らせてはいけない。構えで悟られないよう、私はある一点に狙いをつけた。


「お前をグチャグチャにして、あの兵士の奴らもすり潰して……。あのガキに見せ付けてやったらぁ……どんな顔するかなぁ? ギシシシシ!」


 異臭を放つ涎がマスクの奥で垂れていても不思議ではないほど、あの男は全身で醜悪さを披露している。意味不明な言動からして、あの男の精神はとっくに壊れているだろう。だとすれば、あの男がリーダーとは考えにくい。恐らく他にいるはずだ。本隊から派遣された奴でないとすれば、恐らくは。


◆ 生ける迷宮内 ◆


「痛い痛いっ! もっと優しくほどくです! あ、あー!」

「もう、うるさいなぁ。暴れるから余計に絡まるんでしょ……」


 枝に絡まった小さな女の子を解くのに格闘する事数分。こんな事をしている場合じゃないんだけど、見捨てるわけにはいかず。ボクとクリンカの二人がかりで挑んでいるけど、なかなか解けない。斬ろうかと思ったけど、全身が消し飛ぶだのすごく失礼な事を言われてやめた。なんで会って間もないこんな子にそんな事を言われなくちゃいけないんだろう。


「はい、解けたよ」

「おおー! 全身に力がみなぎるー!」

「君、もう帰ったら? なんでついてきてるのさ」

「さて! 次はこのらびりんすを消し飛ばすです!」

「聞いてないね……」


 ハッスルしてるところ悪いけど、本当にこの子は何。ふわふわと宙に浮いてるし、この大きさからして人間じゃないのはわかるけど。


「でもこの子の言う通り、まずはここを出ないとね」

「そんなの簡単だよ……てぇい!」


 一振りで天井の上の天井、何重をも消し飛ばす。上に見える青空を目指して脱出だ、と思ったその時。


「わぁぁ! 枝がまた!」


 切断された部分からものすごいスピードで新しい枝が生えて、また絡み合って元の天井を作り上げた。それどころか余計に複雑になった気がする。まるで生きているみたいだ。これはちょっとやそっとの攻撃じゃ、抜けられそうにないぞ。


「リュアちゃんも、歩いて抜けようと思わないところが性格出てるよね」

「クリンカだって、ドラゴンに変身して焼き払っちゃえと思ったでしょ」

「そんな事しないもん! もう、リュアちゃんったらぁ!」

「い、いや。このラビリンスってさ、普通のダンジョンと違って出口がなさそうだよね……」


 奈落の洞窟での経験がある以上、この程度じゃ驚けない。進むたびに後ろの岩壁が落ちてきて戻る道を塞ぐ迷路とか、目も耳も鼻も何も感じられない空間を延々と歩いたりとか、思い出してもキリがない。ボクにしてみれば、フリーライフラビリンスなんて言ってるけどこんなのは迷宮ですらない。


「ふぇふぇふぇ! その通り! そして破壊などと安易な事はやめたほうがええぞ! あれを見るがいい!」


 どこからともなくオキナの声が響くと共に、壁の枝が少しだけ開いてボク達に見せたものは。枝に巻きつかれているカシラムの騎馬隊の人達だ。首や胸に食い込んで、今にも千切ってしまいそうなほど痛々しい。喉を押さえられて声すら出せないで呼吸すらもままならないのか、荒々しい息遣いでボク達に目で助けを求めている。


生ける迷宮フリーライフラビリンスは成長し、すべてを取り込む! もはや騎馬隊なぞ赤子より容易いわ! そしてお前さん達の性格はよーく知っている! こやつらを見捨てるなど、出来んよのう? さぁさぁさぁさぁ、どうするどうするどうするどうするぅぅぅぅ?! ふぇふぇっっふぇっふぇ!」


 反吐が出るだなんて、セイゲル辺りが言いそうな言葉だ。でもそれってこういう時に使うのが正しいんだと思う。正々堂々と戦おうとしないで、こんな事ばっかり。隠れたつもりになってボク達を挑発しているけど、あの枝の間にタコみたいにぐにゃぐにゃになって挟まってるのがよく見える。足や腕がありえない方向に曲がって、それでも器用に移動しているのが気持ち悪い。ここは気づいていない振りをして、すぐに終わらせよう。


「ぎゃーーーーー! 軟体ジジイですー! ひぎー!」

「ちょ、バレちゃうでしょ!」


 やっぱり助けなきゃよかったかも。いいや、それよりこんな迷宮、すぐに消してやる。


「クリンカと……シンだっけ? ボクから離れないでね。危ないから」


 ここぞとばかりに元気に背中に抱きついてくるクリンカと、ぶつぶつ文句を言いながらもボクに密着するシンを確認した後にやる事は単純。あの絡まってる人を避けつつ、斬撃で迷宮を消すだけだ。よーい、ドン。


「えいえいえいえいえーーーい!」


「馬鹿め、無駄だというのが……わか……」


 青ざめるのが早すぎる。それだけ状況を瞬時に把握しているという事だから、すごいんだろうけど。一振り、また一振りで迷宮を斬る。いや、削り取る。再生するならそれ以上の速度で消してしまえばいいだけだ。枝から新しい枝が生える前に一振り、たったこれだけで一気に視界が広がる。隠れ潜んで攻撃の機会を伺っていた他の団員も、あまりの異常事態に体勢を整える間もなく、次々と枝から転がり落ちていく。


「なんだぁぁぁ!」

「オキナさん、話が違う! 生ける迷宮フリーライフラビリンスは成長する迷宮だって言ってたじゃないか!」

「ワ、ワシが知るかぁ! 者ども、距離をとって何としてでも迎撃しろ!」

「足場すら削り取られているのに不可能ですあぁぁぁぁ……!」


 混乱が混乱を呼んで、ほとんどの団員が足場を失って落ちていく。ワシが知るかってどういう事さ。これってあのおじいさんの自己魔法(カスタム)なんじゃないの。


「ちぬちぬちぬー!」

「だから君はついてくるからこんな目に遭うの!」

「リュアちゃん、私達も下に降りよう!」


 もはや再生なんて意味がないほどに削られ、惨めな姿になった生ける迷宮フリーライフラビリンス。そしてついに枝から枝が生える事がなくなって、残ったのは地面に散らばる無数の木の枝だけだった。

 ちょっと荒っぽいけど、捕まっていた人達も救出できたし、多分問題ないはず。そして外には呆気にとられた騎馬隊、彗狼旅団の奴らと思われる何人かがいた。白いローブを身にまとった、これまた白い髪のおかげで全身が白い人。パイナップルみたいな頭をした汚らしい男と太った大きな男と、マスクをした大男。そうか、あれがマスクの大男なんだ。あの大きな体に顔全体を覆い隠すほどのマスクは確かに特徴的だ。


「ギシシ……会いたかった、会いたかったぞ……」


 そいつがボクを歓迎した。マスクで隠れているはずの口元が歪み、血走った瞳の中にはボク以外誰も映っていない。そう思えるほどの狂気を一瞬で肌で感じた。あいつとはここで初めて会うはずなのに、なんだろう。どうも、そうじゃない気がしてならない。


「何故じゃ! 何故再生せん?!」

「木々が再生を諦めたんじゃないかな。自然界の力すらも凌駕し、恐怖させるあの少女の力……いや、もしくは私の魔力では手に負えないか。なるほど、これは確かにグラーブ程度では歯が立たないわけだね」


 生ける迷宮フリーライフラビリンスを破壊されても、冷静に分析するあの人が多分この中で一番強い。あそこでヴァイスに押され気味の太った人が次くらいの実力かな。


「どっせぇぇい! 風張り手ェ!」


「馬鹿の一つ覚えが」

「ぐぶァッ……」


 片手から圧縮された台風を繰り出すのがあいつのスキルなんだろうけど、ヴァイスにはまったく届かなかった。グランドランがその頭を貫いた瞬間、巨体が止まる。目玉がぐるりと回り、槍を引き抜いたと同時に大きな体が崩れ落ちた。


「たった一つだけ修復不可能な箇所がある。それは頭だ、私の大竜雨の際にもそこだけは無意識のうちにガードしていたな」

「うわぁ、もう見切られたとかショックなんだけど。Sランクやばすぎだね」


 Sランクがどうとかそんなのより。どう考えても今のはおかしい。

 

「ヴァ、ヴァイスさん! 殺したの?!」

「見ればわかるだろう」

「何も殺す事ないよ! どうして!」

「作戦を聞いてなかったのか? 生け捕りの指令など出ていない」

「作戦って……そんな簡単に……」


 顔色一つ変えずにあっさりと命を奪ったヴァイスが信じられなかった。作戦だからって。片翼の悪魔の背景で燃えるあの炎がボクの頭にフラッシュバックした。殺した、簡単に人を殺した。ヴァイスは王様の命令だからやっているのか、それとも。いや、でもおかしい。


「どうやら我々が攻略するまでもなく、木の要塞は崩れ去ったようだな。どうだ、観念する気にはなったか?」

「確かにこれは困ったよ。これだけの戦力を相手にするには分が悪すぎる。これも、もしや天命か……」

「降伏も一切許さんぞ。今更後悔しても遅い、貴様らの首はこの私が直々に刎ねてくれるわ」

「……オキナ、ここはあの男に任せよう」


「へ……? あ、そういう事か。ふぇふぇふぇっ」


 二人の視線先にあるのはマスクの大男だ。異常なまでの鼻息がより凶暴性を感じさせる。それを待ち望んでいたかのように大股でボクのほうへと歩いてくるマスクの大男。もしかしてこいつはボクと戦いたがっているのかな。そうだとしても、なんで。


「リュアとその巨漢の一対一の決闘を始めるとでも? 誰がそれを許可した」


「もちろん、あなた方の足止めは務めさせてもらうよ。カシラム王にヴァイス」

「ヒャヒャヒャ! このズッコ様の手段はな、ほんのちょっと。ちょっとずらしてやるだけでいいんだよ。殺すのに武器も魔法もいらん。ずらしてやるだけでなぁ」

「このオキナも幹部を任されている身、遅れを取る気は毛頭ないぞえ。ふぇっふぇっふぇ……」


 いつの間にかボクとマスクの大男、そしてヴァイスと王様とあの三人という対決の構図になっていた。他の大勢の兵士達は完全に蚊帳の外だ。でも、あの人達が参加できるレベルの戦いじゃないし黙っていてくれたほうが助かる。その代わり、枝に捕われていた兵士を介抱してやってほしいところだ。

 本当はすぐにでも終わらせてやろうかと思ったけど、ちょっとあのマスクの大男が気になる。どうも、あいつとどこかで会ったような気がしてならない。


「リュアちゃん、まさかあの人……」

「シ、シンだけは巻き込むなです! ぴゅー!」


 クリンカの言葉が気になるところだけど、あのマスクを剥がしてやれば答えが出てくるかもしれない。飛んで逃げていったシンを尻目に、ボクはゆっくりとあの大男を見据えた。


◆ シンレポート ◆


ああもう いちじは どうなるかと

このときばかりは りゅあのやつに かんしゃです

がさつで ぼうりょくしか とりえのない がきだとおもいましたが いいところも あるです


いやいやいや もとはといえば あいつらのせい

しんは かんしゃなんて しないのです

しんは ほこりたかき まぞくですから


きもいじじいをひっとうに すいろうりょだんは ほんとうに へんたいのあつまりです

きもさなら まおうぐんにも ひけをとらないのです

でも こいつら りゅあに かちめがあるような かんじです

なにか たくらんでいたし

もし そうなれば


きたいは しない

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