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新婚旅行?④


俺たちは結局、鶴岡八幡宮に参拝することくらいしか観光できず、鎌倉も今が大変な時だから、俺たち部外者は居ない方が良いと思い、大臣と伊豆大島に行くことにした。


オスプレイのスピードに合わせてグリフォンに生身で乗るのは辛いので、グリフォンたちは悲しんだが、オスプレイで伊豆大島に行くことにした。


ただ、知らない人が見るとオスプレイがグリフォンに追いかけられているように見えるらしく、無線でしきりにグリフォンは味方で攻撃をしないように話していた。


空から見る大島は至るところで建設作業が行われていて自然破壊も著しいけど、しょうがないか。


海には人工の島ができていて、港やプラントなどが見える。


話を聞くと、今稼働している物は無いけど、石油プラントや製鉄所などを建設中だと教えてくれた。


無事にヘリポートに着くと、幕僚長たちが出迎えてくれた。


皆、グリフォンたちに驚いていたが、幕僚長はマリアにも会ったことがあるからか、躊躇せずグリフォンに近づきグリフォンを撫でていた。


グリフォンたちも頭を擦り付け親しげにしていたが、他の人はそれを遠巻きに見てるだけで近づいてはこなかった。


俺たちをホテルに案内するために車を寄越してくれたが、グリフォンたちが拗ねるのでグリフォンでついていくと言うと幕僚長が乗ってみたいと言い出した。


さすがにゼウスに乗せるのは不味いと思い、アインスに乗せても良いか聞くと、主以外乗せたくないと断られた。

仕方なくゼウスに乗せても良いか聞くと問題無いらしい。ただ心配なので大人しく乗せてくれるように頼んだ。


海岸沿いのリゾートホテルらしいので海岸沿いに飛んでいく。


最初は幕僚長も余裕で乗っていたが、ゼウスにどれくらい速くて飛べるか見せてくれと言い出し、俺が止める間もなくゼウスが加速してしまった。


音速を超える前に幕僚長はゼウスから落ち、さすがにヤバイと思ったがゼウスは直ぐに幕僚長の両肩を鷲掴みにし救助して地上に降ろした。


俺たちも急いで地上に降りたが、幕僚長は意識もあり、ゼウスと笑って話していたので無事で一安心だ。


俺たちが幕僚長に謝ると、逆に幕僚長から謝られ、グリフォン用の鞍とヘルメットを作ってはどうかという提案をされた。グリフォンたちが鞍を着けると飛びづらいからと断るが、安全対策のために何か作らせてくれと強引に押しきられてしまった。


ホテルに着くとホテルの従業員たちが出迎えてくれた。一緒に来た職員の方が最高の部屋を用意してくれたらしい。

ただ俺と彼女たちは別々の部屋が用意されていたらしく、彼女たちから夫婦なので一緒の部屋にしてくれという要望が出た。女将に俺の顔をじろっと見たが、女将は平静を保ち部屋に案内してくれた。


(確かに不思議ですよね、普通は奥さんは一人ですからね)


部屋は大きな和室と寝室用の和室が付いた良い部屋だ。


女将さんがお茶を入れてくれて、島での生活を話してくれた。


島は人口が増えて色々大変だけど、今は野菜や生活物資も安定的に入ってくるので、今は落ち着いてきたこと。

ただ、魚は手に入るが肉や砂糖などの調味料が中々手に入らないことが不満らしい。


俺からオークをあげようと話をしようとすると、女将さんが真っ青な顔で固まった。


俺は振り返り外を見ると、グリフォンたちがバルコニーから部屋を覗いていた。


(ヤバい、ゼウスが幕僚長と話していたからって、ほったらかしにしてきたの忘れてた)


女将さんは彼女たちに任せ、俺はグリフォンたちに呼ぶまで海で遊んでくるように言うと皆喜んで飛んでいった。しかしゼウスだけは幕僚長を乗せ遊覧飛行を楽しんでいるようだ。


(確か幕僚長は元々航空自衛隊だったな。とりあえず子供のような笑顔で楽しんでいるから放っておくか)


正気に戻った女将さんに、お詫びにオークの肉を渡す約束をした。


彼女たちが温泉に入ると言うので、俺は女将さんに調理場に連れていってもらうことにした。調理場に着くと料理人が何人も居て仕込みの最中で忙がしそうにしている。


さっそく女将さんに料理長を紹介してもらう。

料理長は肉が手に入ると聞くと喜んでくれ、少量だがモンスターの肉も島に入っているらしくオークも食べたことがあるらしい。


それならと俺は解体済のオークではなく、解体前のオークを渡そうと提案すると、料理長は猪や鹿などの解体経験もあるから大丈夫だと話すので調理場の裏で渡すことにした。


しかし、何故か女将と料理長は俺を案内しない。


「今渡すので案内してください」


「肉はどこにあるんですか?」


「あっ、すみません、言い忘れてました。私はダンジョンでスキルというものを貰いまして、無限に物を収納できるんです。お見せしますので案内してください」


案内され、何も無いところからアイテムボックスからオークを取り出すと、取り出したことに驚き、大きく狂暴な顔をしたオークに二度ビックリ。


女将さんたちはモンスターを見るのは初めてで、グリフォンにも驚いたが、グリフォンたちは大人しく言うことを聞くので猛獣程度と思っていたようだ。しかし、狂暴そうなオークを見て初めて本土の人の恐怖が解ったらしい。


実は島の人たちの中には、本土から来た人たちを良く思わない人も多く、実は料理長もその一人だった。でもオークを見て本土に帰れとは言えない。島の人たちにオークを見せて、少しでも本土の人たちが命からがら逃げてきたことを伝えたいと言ってくれた。


俺はもう1体オークを渡し、良かったら島の皆さんで分けてくださいと渡した。


調理場を離れ、彼女たちは風呂だろうから、俺はグリフォンたちのもとへ。


浜辺に行くといまだにゼウスに乗る幕僚長が。


(お付きの人たちも呆れてるよ)


俺がグリフォンたちを呼ぶと6頭のグリフォンと幕僚長まで来た。


降りた幕僚長はお付きの人たちに連れられ、明日また迎えに来ますと言いながら連れていかれた。


お付きの人たちも俺に頭を下げ車に乗り込み去っていった。


(忙しいのに誰も空に居る幕僚長を止められなかったんだな)


俺は浜辺に座りグリフォンたちに遊んでおいでと海に行かせた。


しかし、アインスだけは俺の隣に座り話し掛けてきた。


「主、私以外のグリフォンには乗らないで。主が乗らない時は良いけど、浮気はしないで。主を乗せるのは私の仕事だからね」


「そっかごめんよ、幕僚長をゼウスに乗せるのは心配だったからさ。これからもアインスに乗るからよろしくね」


「うん」


そんな話をしていると、遠くから水着を着た高校生ぐらいの女の子たちが歩いてきた。


俺はアインスを撫でながら、ちょっと若い水着姿の女の子たちを眺めていた。


女の子たちも俺に気づき、俺の横に居るグリフォンにも気がついた。

彼女たちはグリフォンを気にしているので、俺から大人しくて襲わないから大丈夫だよと声を掛けた。


しかし、彼女たちは怖いのか遠巻きに見るだけだった。するとアインスが


「私はそんな狂暴じゃないわよ」


「……えっ、えー! し、しゃべった!」


「グリフォンたちは頭が良いから人間の言葉が喋れるんだよ」


彼女たちは近づいてきて、アインスに触っていいか聞いてから撫で出した。


(皆良い体して、もとい健康的に育って

目に毒だな、まだ熟れてない果樹じゃな)


そんなことを考えていると、お尻に激痛が。


「か楓、痛いんだけど」


「鼻の下伸ばして何をしてるのかな?」


「鼻の下なんか伸ばしてないよ。ただアインスを紹介してただけだよ」


彼女たちに詰め寄られる俺を見て。


一人の女の子が彼女さんですかと聞いてきた。


しかし、新撰組4人が同時に左手を見せ、妻ですと答えた。


戸惑う彼女たちに、俺の腕を取りこの人の全員妻ですと宣言する。


(おいおい、今小声で最低って言っただろ)


それから俺だけちょっと距離を置かれた気がするが、色々と話すと彼女たちはこれから貝を取るって、それを市でお菓子に交換してらしい。


じゃあと俺はアイテムボックスからコンテナに大量にあった輸出用のお菓子を少し出した。


俺にちょっと距離を置いていた彼女たちの目の色が変わり、俺につめよってきた。


(えっえーちょっと怖いんですけど)


彼女たちはチョコやスナック菓子など、前はコンビニで普通に買えたお菓子に滅茶苦茶喜び、まだあるならアワビやサザエと交換してとお願いされた。


話し合った結果、島の子供たちと交換することにした。他にも欲しい人が居るから、どれくらいあるのか聞いてきたので200人くらいなら良いよと話した。


ただし、貝の採れない小学生以下の子供たちにはただで配るから交換できなくても連れてきて、このお菓子は皆に伝えるお駄賃としてあげるから皆に広めてとお願いした。


彼女たちはお菓子を抱えて凄い勢いで散っていった。


そんな彼女たちを見送ると、ふいに肩を叩かれ、振り返ると4人が冷たい目で俺を見ている。


何故か砂浜で正座させられる俺。


(男の性だからしょうがないじゃん、見てただけだよ)


グリフォンたちが魚を捕まえて戻ってくるまで、目がやらしいとか散々言われ、怖かった。


グリフォンたちはシーラやぶりにタイを捕まえてきてくれたようだ。ゼウスが居ないと思ったら、遠くからでも解るぐらいに、ゼウスより大きいカジキを捕まえてきた。


グリフォンたちに村の最高のお土産ができたと誉めると、また魚を捕まえに行ってしまった。


そんなグリフォンたちを見ながら浜辺でのんびり夕方まで5人で過ごした。


その後は、グリフォンたちのためにホテルの庭を借り、今日はそこで過ごしてもらい、エサも食べさせた。


ホテルの人には危害を加えなければ大丈夫と伝え、さらにグリフォンたちから話しかけると驚かれたが従業員たちも触らせてもらうと慣れてきたようだ。それから安全のために従業員で交代で見てくれることになった。俺は大丈夫だと断ったが他のお客さんが居るので、他のお客さん全てに伝えるまでは居てくれることになった。


ここでも御礼にお菓子を配ると大喜びしてくれた。


俺たちは温泉に入りのんびりして風呂から出ると、仲居さんから宴会場で19時からご夕食ですと聞いていたのでそこに向かったんだが、たくさんのお膳が用意されているため座る場所が分からない。


仲居さんに俺たちはどこで食べればいいのか聞くと、何故か特別に用意された上座に案内された、しかも横に一列。これはもしかして食事じゃなく宴会か。


宴会場の中によく見た顔の人たちが入ってきて、その中にはなんと総理夫妻もいた。


「大曽根くん、久し振りですね」


「総理、お久し振りです、今日はなんで?」


「あれ、幕僚長から聞いてない?」


(あの爺、ゼウスに夢中で忘れたな)


総理夫妻や大臣夫妻と挨拶を交わし一緒に食事をすることになった。


幕僚長から忘れてたと謝罪されるが、大丈夫ですよと答えるとグリフォンの話をし出し、宴会が始まらないと思った奥さんに無理やり席に着かされていた。


(今までの威厳のある幕僚長はどこに行った)


総理の乾杯で宴会は始まったが、皆さんなんか俺たちと話そうとうずうずしてる感じがする。今は席で大人しく料理を食べているが、なんか嵐の前の静けさに感じる。



お読み頂きありがとうございます。

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