新婚旅行?①
横浜方面に偵察と資源回収に行く準備は着々と進んでいた。
今回のメンバーは俺と新撰組と大人グリフォン6頭とシルバ。
マリアは子供たちに狩りを教えるから残ることになった。マリアがいれば村になにかあっても安心だ。
ま、グリフォンたちが本気で飛んだら直ぐに帰ってこられるけど、俺たちが危険だから本気は出さないでほしい。
ゼウスになんでそんなに速く飛べるのか聞いたら、返ってきた答えはズバーンとかビューンとか擬音だらけで意味が解らなかった。
グリフォンたちは天才肌らしいから諦めることにした。
今回の目的は他の地域の人との情報交換、横浜港でのコンテナ回収、石川姉弟からの要望でコークスか石炭回収、医薬品などの回収と、多岐にわたる。
彼女たちの要望で海にも行く。クルーザーがあるからクルージングもできる。
移動中の寝泊まりもキャンピングカーがあるから快適だ。止まっていれば結界も張れるし、グリフォンたちも居るから見張りも要らない。
皆に見送られ俺たちは出発した。
グリフォンたちにお願いしてあまり高く飛ばないでもらうと、季節は夏で日差しはきついが風が気持ち良い。
眼下に広がる光景は、まるで野生の王国+恐竜映画の世界だ。こないだ来た人たちはよく無事に暮らせていたと思う。
今は国道16号沿いを飛んでいるが、人間なんて見当たらない。
街は破壊され人間が生活できる環境じゃない。
大形の肉食恐竜みたいなモンスターが5mはありそうなヘラ鹿みたいなモンスターを捕食してる光景は、正に映画の世界で目を疑う。
地上から行けばあいつと戦わなければいけなかったと思うと、飛んでいけるのは楽だ。
資源回収のために商業施設などに寄ってみるが、中は荒らされて室内には砂ぼこりが積もっていた。
お昼がてら厚木基地に寄ってみたが、人間はおらず代わりにオークの集落ができていた。
グリフォンたちはオークは餌としか見ておらず狩る気満々。仕方なく皆で狩ることにした。
オークも俺たちに掛かれば、狩りと言うより虐殺に近い。
集落を襲っていると、オークが食べた残害の山にモンスターの骨と明らかに違う、人間の骨も大量にあった。
この基地に避難していた人なのかは判らないが、やはりオークたちは人間の敵だ。
俺も気が付いた時は、オークを殺しまくっていた。小さな人間の骨を見て我を忘れてしまった。
300頭以上居たオークを殲滅した後、骨の残害の山にガソリンを掛け火を着けた。
俺たちは自然と黙祷を捧げていた。
何頭かのオークには逃げられたが広い敷地内を探す気にはなれず、放っておくことにして、
俺たちはその場を離れ、遠くに見えるビルを目指した。
ビルの屋上の安全を確認して、キャンピングカーを取り出した。
お昼ご飯の前にシャワーを浴び、グリフォンたちに用意しておいた餌と水を与え、俺たちも食事を取ることにした。
ただ、食事中も空気は重い。
そんな重い空気の中、恋花が口を開く。
「もし避難所を見つけたら、訪問しよ? それで困っていたら助けよう。私たちができることは少ないけど、オークの肉を分けてあげたり、近くのモンスターを狩るくらいはしてあげたい」
「そうだな、さすがに村に連れていくのは難しいが、手伝うくらいならやろう」
俺たちは今までよりちょっと高度を上げ、空から探索することにした。
しかし、避難してる人も隠れているのか見つからないまま進み、前方に海が見えてきた。
海を見て、皆の今までの重い空気が嘘のように晴れ、俺たちは江ノ島海岸に降り立った。
時間的に日が傾き出した時間だったので今日はここでキャンプを張ることにした。
グリフォンたちはそんなの関係無いと、俺たちを下ろした後、海にダイブして遊んでいた。
グリフォンたちが遊んでいる間に、薪を拾い火をおこした。
薪と言っても、本来は海の家用に用意された木材だ。ちょっと前ならたくさんの海の家ができ賑わっていただろう。
着いた時にはゴブリンなどのモンスターを見かけたが、グリフォンに驚いたのか一斉に逃げ出し、
今は見える範囲には、俺たちしか居ない。
今日は浜辺でバーベキューをすることにして準備していると、グリフォンたちが魚を捕まえてきてくれた。
中にはボロボロで出汁にしかならない物もあったが、鯛やいさきなどを捕ってきてくれたので、焼いて美味しく食べた。
ちなみにボロボロなのはほとんどゼウスの狩ってきた物で、ゼウスは小物の狩りは苦手らしい。
俺たちはキャンピングカーの明かりを消し、真っ暗になった海を見ながら火を囲んだ。
空には星が輝き、人間が放つ光が無い世界の空は美しかった。
そんなまったりした世界に浸っていると、楓が江ノ島に登りたいと言い出した。
仕方なくグリフォンに頼んで、江ノ島の頂上まで飛んでもらうことにした。
江ノ島頂上の展望台に降りようとした時に、俺たちは鎌倉方面に人工的な光を見つけた。
歩美と楓は直ぐに向かおうとしたが、美咲に止められる。
「こんな夜にグリフォンと一緒に行ったら、間違えて攻撃されてしまうから、明日行きましょう」
俺はもしかしてと思い、衛星携帯電話で防衛大臣に連絡を取った。
大臣に連絡が取れて、鎌倉に連絡してくれることになり、向こうも歓迎してくれるとのことで翌日伺うことにした。
鎌倉は山に囲まれ、ダンジョンも低レベルしか発生しなかったために、住民たちは残り協力し合い生活してるらしい。
大臣は俺たちが鎌倉まで来てることに驚いていたが、グリフォンたちを仲間にしたことを話すと余計に驚かれた。
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