新たな移住者
予定より大分早くダンジョンから帰ってこられた。
やはりレベルの低いダンジョンでは、アイテムも何も出なかった。
でも、これでスケルトンダンジョンからモンスターが溢れることが無くなり、将来の不安が一つ減った。
ダンジョンマスターレベルも51に上がり、地下都市と湖作成が増えた。
ただ、今のところ作る必要を感じていない。都市と言っても現代の都市ではなく、中世の都市じゃ電気、ガスなどのライフラインも無いのでちょっと住む気にはならないのだ。
ナビが言うには地下都市にも井戸はあるらしいが、ナビが見せてくれたイメージは、日干し煉瓦でできた簡素な家がある、とても都市には見えない物だった。
大きな湖を作れるようになったが、魚を生み出すことはできないので、こちらも現状ではあまり使えない。将来的に鱒でも養殖するか。ただ養殖なんて知識のある人なんてそうそう居ないだろうな。
そういえばリザードマンたちは元気にやっているかな。
彼女たちは帰ってきたばかりなのに、もう横浜に行く計画を立てているが、そんなに簡単に留守にするわけにいかないから、準備には時間が掛かるだろう。
俺も長期間村を離れるわけにはいかないしな。今は大型冷蔵庫もあるから食糧問題は無いが、他にも色々問題があるからな。
緊急事態が起きなければ、最低でも1週間は掛かるから準備は必要だ。
ただ、今は衛星携帯電話があるから最悪連絡だけは取れるし、前に都内に行った時より不安は少ない。
子虎や子猪ももうちょっと大人になれば一緒に行けるけど、今はまだまだ無理だな。
そんなこんなで、最近すっかり大きく重くなっても甘えん坊な雪を抱っこしていると、マリアが俺の所に来た。
「雅也、人間とモンスターの集団が村に向かってきているわ」
「分かった。マリア行こう」
向かうために伝言を残そうとしたら、防衛班から連絡が入った。
防衛班が村に向かう集団と出会ったらしい。その集団は大きなモンスターにバスを引かせて向かっているらしく、総勢34名とのこと。元々多摩センター近くで避難をしていて、政府からの提案を断って残ったらしい。
俺も防衛班と合流して、事情を聞くことにした。
話を聞くと、政府からの避難の話があったが、どうしても先祖代々守ってきた土地を捨てられず、守ってきたが、モンスターが増えて仕方なく立川に避難したものの、受け入れてもらえずこちらの村の話を聞いて来たとのこと。
何でもするので受け入れてほしいとお願いされた。
中は妊婦さんも居るらしく、どう見ても困窮してるようで切迫詰まっているし、話した感じ問題無さそうなので、武器だけは預かり受け入れることにした。
村の食堂で食事を振る舞いながら詳しい話を聞くことにした。
バスを引いていたモンスターは体長4mはあるサイのようなモンスターで、おばあちゃんがエサを与えていたら懐いたらしい。ガソリンが無いのでバスを引いてもらっていて、おばあちゃんの言うことが解るみたいなので大人しくバスを引いてきたとのこと。
マリアにびびっていたがおばあちゃんが大丈夫よと宥めると大人しくなったので、多分おばあちゃんの仲間になっているのだろう。
話を戻すと、妊婦も居るので立川に助けを求めたが、立川基地では中にも入れてもらえず追い返されたようだ。
それで、前に自衛隊の人にこの村の話を聞いていたので、藁にもすがる気持ちでここまで来たらしい。
俺たちとしては問題無さそうなので、ルールを破れば村を出てもらう条件で村で受け入れることにした。
立川基地の話を詳しく聞くと、バリケードで中の様子までは解らないが、門に居た人間はかなり攻撃的だったらしく、話すら聞いてくれなかったようだ。
ただ、感じたイメージは殺伐としていて、危険も感じたから、直ぐにその場を離れたとのこと。
今回の移住者は夫婦とその家族連れなので、男手も確保できたし農業経験者も多いので助かる。
おばあちゃんが連れてきた、サイみたいなモンスターは太郎と名付けられていて、大人しくおばあちゃんの言うことを聞いて、草原ダンジョンの牛のモンスターと仲良く草を食べていた。
小さな子供たちも、保育士さんたちと一緒に元から居る子供たちの輪に入り遊んでいる。
今回の移住者も問題は無さそうだ、慣れるまでは案内役兼監視はつけるけどね。
今回の立川基地の話を横田基地にも無線で話したところ、戦闘には至ってないが、小さなトラブルが最近増えているので警戒してるらしい。
うちの村とは距離が離れているが、防衛班には注意しておくことにした。
今回の移住者の中に実家が炭焼きを生業にしてる人がいた。
最近は炭もまともになってきたが、これからはもっと良い炭になるのではないかと期待できる。
新たな移住者も増えてきたので生活環境を充実させたい。
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