結婚式
午前11時から式は始まった。俺たちは皆の前で誓いを立て、指輪の交換をしキスをした。
指輪の交換とキスの順番は、ジャンケンで決めたらしく、席も時間で交代するみたいだ。
彼女たちは髪をセットされ、バッチリメイクで今日は一段と美しい。若い男たちからブーイングが飛んでくるが、俺は皆に見せつける。
式は無事に終わり、披露宴が始まる。
高校生たちも歌にダンスなどで場を盛り上げてくれたり、最近食べ出したオークで作ったローストオークや豪華な食事がある中、彼らはたこ焼きに焼そばにクレープなどの屋台を開いていた。
美咲監修のフランス料理もあったりと、寿司からB級グルメまで様々な料理が並ぶ。
俺たちの席にもたくさんの料理が運ばれてくる。しかも運ばれてくるのは料理だけではない。若い男たちが中心となり皆が酒を注ぎに来るので、俺たちは足下にバケツを用意して潰れないように対策を取った。
お色直しを二回もして、両親への手紙で両親を見事泣かせ、後はただの飲めや歌えの宴会になった時に事件は起こった。
マリアが俺の座る席の後ろに回りこんでささやく。
「雅也、強いモンスターが6頭入り込んだわ。ワイバーンではないけどこちらに向かって飛行してきてるの。防衛班も結界内に避難させて」
「分かった、俺も行く」
俺はマイクを持ち
「皆聞いてくれ! マリアから村に向かってモンスターが向かっているとの知らせが入った。これは本番だ、避難訓練ではない! 直ちに避難行動を取ってくれ! 結界は有効だから落ち着いて行動するように」
俺は、酔っ払いよりは良いと思い、レオとルナも同行させた。
子供たちや子虎、子猪、子グリフォンはダンジョンに避難させ、敵を結界内で迎え撃つことに。シルバも俺に纏わり付き防具を形成してくれた。
今日は防衛班も遠征に出ていなかったので、防衛班もすぐに結界内に避難できた。
防衛班は迅速にスティンガーとバリスタを準備し、迎撃に備えた。
マリアが向かってくる敵を目視して報告してくる。
「向かってくるのは、グリフォンね」
レオに仲間かと聞くと分からないらしい。ただ、グリフォンも群れ以外は縄張り争いがあるから、攻撃してくる可能性が高いと。
1頭のグリフィンが結界に向かい爪で攻撃をし始めた。
そこにレオとルナが結界の外に向かい飛び出したのを見て、俺は慌てて制止する。
「レオ、ルナ戻れ」
俺は叫ぶも、レオたちより遙かにデカいグリフォンにレオは頭を押さえつけられ、身動きができないでいる。
俺とマリアは助けに入ろうと飛び出すと、ルナが間に入り、大きなグリフォンとなにか話し出した。
なんだかレオは攻撃されているより、説教をくらっているように見える。
ルナもなにかを一生懸命に説明してるようだが、グリフォン語は解らない。
話がついたのか、大きなグリフォンはレオを解放し、俺の前で姿勢を低くした。それでも俺は聖剣を構え対峙した。
「すまぬ、人間よ。我らには敵意は無い。子供たちを保護してくれてありがとう」
「え!? ……大丈夫ですよ、こちらも被害はありませんから」
「話を聞くと、この子らを助けてくれたそうで感謝する。子も産まれたようで感謝しても仕切れない」
「いえいえ、レオとルナの子供たちにはいつも癒されてますから」
「一つお願いがあるのだが、我らはこの世界のことを知らなすぎる。そこで我らを群れに迎えてくれないだろうか。勿論狩りをして食糧は集めるつもりだ。どうか頼めないだろうか?」
「群れの人間や仲間たちに危害を加えないと誓えるならいいですよ」
《グリフォンが仲間になった》×6
(勝手に仲間になるのも、もう慣れましたよ)
それから、後から来た新選組の彼女たちと館長たちに訳を話して、宴会に戻ることに。
それからレオを押さえつけた理由を聞くと、レオにここで待っていろと言ったのに、勝手に居なくなってしまったから怒ったらしい。
ワイバーンに襲われて逃げたんじゃないのか。尋ねるとどうやら勝手に出歩いてワイバーンに見つかって、あげくルナと逃げ出したらしい。
グリフォンたちも安全な場所を探していたので、産卵が近いルナを置いていったのが裏目に出たらしい。
それから、村に戻るとルナに聞いたのか、俺たちの大事な式を邪魔したと詫びられ、6頭はお詫びの証にと狩りに出掛けた。
避難していた人も会場に戻ると、グリフォンたちが大きな牛のモンスターやオークなどを爪でつかみ帰ってきた。
牛のモンスターはグリフォンよりも大きくて、よくそれで飛べるもんだと感心してしまった。
大きなグリフォンはマリアとなにかを話し込み、6頭がまた飛び立った。
マリアに話を聞くと、俺たちの結婚式の話や村でのルールを教えたらしい。それで式の間はグリフォンたちが見回りしてくれるので、防衛班も宴会に参加しても大丈夫だと言われ、防衛班も宴会に参加することになったようだ。
レオも一緒に行ったから大丈夫だろうと判断して、宴会を再開した。
こうして宴会は新たな仲間が加わったことにより、そのお祭り騒ぎに歯止めが利かず、高校生たちの中にも酔っ払いが出始め、館長たち医師による強制終了でお開きに。
ま、忘れられない式になったからいいか。
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