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兄との対決


駿介さんが恋人の美和子さんを連れて、両親に結婚の挨拶に行った話を聞いた。


俺はこっそり、駿介さんを呼び出した。


「俺を呼び出して何の用だ、恋花はやらんぞ」


「へぇー、良い話を持ってきたのに喧嘩腰なんですか。美和子さんのために良い話を持ってきたのに、残念ですね」


「待て、なんの話だ」


「いや、結婚するなら、ウエディングドレスと指輪は美和子さんも欲しがるんじゃないかと思いましてね」


「そんな物、今の世の中じゃ手に入らないだろ」


「いやー実は、先日単独で都内に調査に行きましてね? ある会社の倉庫からウエディングドレスを大量に入手してきたんですよ」


「本当か?」


「嘘ついてもしょうが無いじゃないですか。でも、俺は駿介さんに嫌われているみたいだし、お節介でしたね」


「嫌ってなどいない。ただお前が恋花たち4人と付き合っているのが、ふしだらで許せないだけだ」


「確かに4人と付き合うのは、良くないと思います。でもね、4人から同時に告白され、誰かを選べば3人を振ることになるんですよ。こんな世界になってしまった以上、振られた人には新たな出会いなんて無いじゃないですか。俺はヘタレですが、彼女たちを愛してます。彼女たちを幸せにしたいと思ってます。俺は彼女たちが居なければ村なんか作りませんでした。彼女たちと出会ったからこそ、俺は人と触れ合って生きていこうと思ったんです。彼女たちを幸せにします。そろそろ認めてくれませんか?」


「俺が認める認めないなんて、関係ないだろ」


「関係ありますよ、貴方は恋花の兄なんですから。昨日の夜だって言ってましたよ、なんで兄は祝福してくれないんだろうって」


「きさま、まさか恋花と一緒に寝てないだろうな」


「そりゃ、寝ますよ恋人ですから。駿介さんは美和子さんと寝ないんですか?」


「きさま! 4人も毒牙にかけおって、この変態が!」


「いやー、4人同時なんてしませんよ、交代制です」


「お前には倫理観は無いのか」


「今の世界に倫理観なんて、生きていくためには優先順位は低いですね。俺はこの村を守るためなら人を殺せますよ。それくらい覚悟が無いなら、今の世の中生きていけませんよ。美和子さんが襲われそうなのに、駿介さんは話し合いで解決できると思っているのですか?」


「それは話のすり替えだ」


「倫理観の話でしょ? 今更法律なんて役に立ちませんよ。それにこの村を見て気がつきませんか? 村の人口比率、女性の数が圧倒的に多い。でも、俺は彼女たち以外と付き合う気はありません。俺には彼女たちは勿体ないくらいの女性です。だからこそ、幸せにしたいんです」


「だが、お前に恋花は任せられん」


「別れる気は無いですが、仮に恋花と別れるとしましょう、貴方は恋花の人生の責任を取れるですか?」


「取れる!」


「どうやって?」


「俺が一生面倒を見る」


「シスコン兄貴に束縛されて恋花は幸せになれると思いますか? 美和子さんにも聞いてみてください。妹も一緒に愛すけどいいよなって」


「俺はシスコンじゃない。それに美和子と恋花とは愛の質が違う。恋花とは兄弟愛だ」


「じゃあ、恋花は誰も愛さずに生きろと?」


「いつか、きっと良い出会いが必ずある」


「貴方は必ず、その出会いも反対するでしょう」


「そんなの解らん」


「貴方は自分勝手だ。本当に恋花の気持ちを考えていますか? 貴方は美和子さんとの結婚を反対されたら諦めるんですか?」


「諦めるわけ無いだろ! 俺たちは愛し合っているのだから」


「じゃあ、なんで愛し合っている俺たちを反対するんですか?」


「それはお前が――」


「俺たちは話し合って、決めたんです5人で家族になろうと。俺は別に貴方と仲良くならなくてもいいんですよ。でも恋花が悲しむから、こうやって話しているんです。貴方は本当に恋花の気持ちを考えていますか? ただ単に貴方の自己満足でしか無いんじゃないですか? もう一度、恋花の気持ちを考えてみてください。じゃあ俺はこれで戻ります」


「待て」


「まだ、なにか」


「俺も、解ってる、恋花がお前に向ける笑顔が嫌だったんだ。雅也さん……本当に恋花を幸せにしてくれますか」


「命に代えても、幸せにします!」


「恋花をよろしくお願いします」


「お兄ちゃん、ありがとう」


俺たち2人が大声でやり合っていたので、いつの間にか大勢に陰から見られていたようです。恥ずかしさのあまり俺たちは真っ赤になってしまった。


俺は皆から祝福され、恥ずかしさのあまり、逃げようとすると駿介さんが。


「ウエディングドレスはお願いするよ」


(バカヤロー! こんな所で言うな、サプライズに取っておいたのに)


「何ウエディングドレスって?」


それから俺は、新選組と奥様たちに尋問され、自供しました。


それからが大変だった。二千着以上あるウエディングドレスをパイプハンガーに掛け、試着会が始まったのだ。美和子さんだけでなく、新選組も試着し始めて、さらには駿介さんたちと一緒に俺たちまで一緒に結婚式をしようと話し出す彼女たちの両親。


(えーと、まだ俺、ご両親に結婚のお許しを頂けていないけどいいのかな? でもまだ、俺の心の準備が)


何故かあれよあれよと言う間に、予定が決まってしまい、結婚式を挙げることに。


俺は単独の方が記念になるし、その方が良いと話すも、彼女たちが一緒で問題無いと言いどんどん俺が追い込まれていく。しまいにはオヤジたちまで覚悟を決めろと絡んできた。


なんで俺は、さっきあんな熱弁をふるってしまったのか……幸せにしますよ俺は。でも、そんなに焦らなくても。


それから俺と駿介さんは三日間、ウエディングドレス選びに付き合わされた。


嬉しそうだからいいげど、ウエディングドレスをたくさん回収し過ぎた。





お読み頂きありがとう御座います。

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