出会いと別れ
俺たちが横田基地に着くと、防衛大臣たちや横田基地の人々に歓迎された。
移動する高校生たちに家族を説得できたら受け入れてくれるか聞かれ、俺は勿論と答えた。
最後に全員と握手して別れた、中には涙ぐみ、必ず帰りますからと手を離さない子もいた。
(俺はなにもしてませんから、冷たい目で見ないで)
俺たちが大臣に連れられ会議室に移動すると、突然恋花が叫んだ。
「お兄ちゃん!!」
「恋花、久しぶりだな、帰ってきたよ」
移住者の中に恋花の兄、土方駿介の姿があった。
「村のリーダーで私たちの彼氏の大曽根雅也さん」
「私たち?」
(頼むから止めて、皆さんの目がなんだコイツになっているから。確かに一人に選べず、流されたヘタレですが、無理強いはしてませんから)
「初めまして、雅也です。皆さんを歓迎します」
(お兄さんと握手するも、目は笑ってないし、そんな強く握手しなくても……レベルアップしてるから大丈夫だけど痛いよ)
駿介さんは看護師の彼女と共に村に移住することになった。
(俺が彼女たちと付き合ってなかったら、お兄さんの手を握り潰していただろう)
移住希望者と挨拶する中の一人が。
「大曽根君久しぶり、覚えてる?」
「えっ?」
「えー酷い、お弁当一緒に食べた仲なのに」
「お弁当?」
「畠玲奈よ、忘れたの?」
「畠さんか、中学以来だね、久しぶり」
(ビックリさせないでくれよ、ただでさえ、4人と付き合ってる発言で、俺のHPは残り少ないんだから、そこの4人、後で詳しく聞くから覚悟しろって、念を送らないで。念話のスキルはありませんから)
しかし、移住希望者も男性が少ない。
それから俺たちは移住希望者の皆さんと面接じゃないけど、確認事項を聞き、全員を受け入れることにした。
男性4名、女性8名、中学生以下の子供が9名が新たな仲間になった。
俺はその後、大臣と物資の交換をして、話を聞くことに。物資はマグロや鮭など新鮮魚介類を大量に頂いた。こちらからも米や小麦や野菜などを渡した。米や小麦は古い物もあるが、アイテムボックスにしまっていたので劣化してません。
それから、大臣から衛星携帯電話を30台頂いた。
大臣たちとの会談で尖閣諸島での石油掘削作業の開始と、東南アジアからガスと石油の輸入の開始の話を聞いた。対価は何かと聞いたら、南シナ海への自衛隊派遣の見返りらしい。
南シナ海は海賊と化したどこかの国の軍隊から防衛を引き受ける対価だそうだ。
村にもガスと石油を分けてくれることになった。開始は半年後を予定していて、横田基地で引き渡せるとのこと。こちらからは、食糧と鍛冶師たちが作る武器とモンスターなどを対価とすることに。それとできれば島からの移住希望者の受け入れも考えてほしいと打診された。移住希望者を大量に受け入れると問題が起きる恐れがあるので、検討はするが難しいと答えた。
それから、各地の情報を聞いた。
北海道は札幌と函館のダンジョン以外を管理下に置き、肉や武器の材料取得のために管理して、冒険者と呼ばれる人たちがダンジョン内で狩りをしている。
(冒険者って名付けたの絶対にラノベ読者だろうな)
それと東北も安定しているようだ。ダンジョンの攻略数は少ないが、震災の影響か市民が団結してモンスターの排除にあたり、市民生活は安定している。ただ、冬の寒さ対策の問題がある。そのためにも石油の輸入を急がなければならない。原子力の発電再稼働の話も出たが、安全性の問題から却下された。今は冷却作業のみに集中して当たらせている。
隣の国では、原子力発電所でメルトダウン事故も起きているから、日本は二度と事故を起こさないように対策を取っている。
それと、秋田の犬人間たちだが、彼らは協力的で地域住民たちと上手くやっているらしい。大臣たちはまだ会ったことは無いらしいが、ダンジョンから取れる肉で食べられる物を教えてくれるらしい。
その中でオークと呼ばれる豚人間はちょっと抵抗があるが、かなり美味しいらしいことも聞いた。
(マリアもグリフォンたちもオークは大好物だけど、食べるのはちょっと抵抗があるな。皆で相談しよう)
それと、海ではモンスターの目撃情報は無い模様だ。安心はしてないが、今のところ海は人間以外敵は居ないらしい。
来月から限定的ではあるが、衛星放送を再開することも決まった。内容は各地の情報を流す物になるが、まだまだ電力の無い地域が多いから、どこまで活用できるか検討中らしい。
俺からも、リザードマンたちのことや都内の情報を話し会談は終了した。
横田基地とも今後も連携をとる話をして、輸送機が飛び立つのを見送り村に帰った。
帰りは人数が増えたことを言い訳にしてマリアに乗って帰った。
(ご両親たち、俺は別に女性たちを手込めにするつもりはありませんから! 逆に手込めにされてますから! 最近は一週間に一人一日にしてもらい、ようやく落ち着いたんですから、もうこれ以上は勘弁してください)
帰る時に、マリアと子虎、子猪に皆驚いたが、大人しいですよとなんとか納得させ帰ることに。
(お義兄さん、妹たちだけでなく、モンスターまで手名付けるとはって目で睨まないで)
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