送別会
村から離れる者のために、送別会を開いた。
村を離れるのは高校生たち18名で、島に移住するのは1人で、北海道が10人、東北に7人。
東北もダンジョンの押さえ込みに成功し、盛岡を中心に復興しだしている。青森、秋田、岩手山形、宮城の一部では、ダンジョンの低層で狩りをして、肉を手に入れて生活しているらしい。
北海道、九州、四国、東北でやっと農作物の食糧生産も軌道に乗り出したらしい。
村を離れるほとんどの行き先が両親の実家なので、両親には会いたいが、知らない土地で暮らす抵抗があるみたいだ。
勿論、両親共に無事な家族は少ない。親のもとで生活を助けるために戻る者もいる。
しかし、家族のだれとも連絡がつかない人の方が多い。特に都市部に勤めていた人は生存率が低い。
兄弟や片親でも見つかれば村の移住は、特に問題を起こさなければ許可している。
村自体もコンテナのおかげで広がった。近くの温泉街まで広げることもできたので、今なら二千人くらいまで暮らせるようになった。
ただ、無闇に人を受け入れるつもりはない。いっぺんに受け入れると前から居た人間と新しく来た人間との軋轢を生むからだ。
問題は高校生たちの親を受け入れていると、村の女性の人口比率が多くなり、男手が足らない問題が出てくることだ。男親が近くで働いていた人はいいが、都内で勤めていた人は、ほとんど帰ってきていないのだ。
村ではハーレムを目指していないが、どうしても女性が多くなる。
防御や建設をする女性もいるが、それでも男手が欲しい。
横田基地でも同じ現象が起きていて、話を聞くと家族を逃がすために犠牲になった父親なども多いらしい。
犠牲者の数は判らないが、都市部の犠牲者はかなりの人数にのぼるだろう。
無線で聞いた話だが悪いことばかりではなかった。秋田でコボルト?柴犬に似た二足歩行の犬人間と協力関係を結んだらしい。真偽の程は解らないが、体長1mから1.3mくらいで中には日本語を話す者も居るらしく、コミュニケーションが取れるとのことで、人間と一緒に生活しているらしい。
コボルトたちは人懐っこく、進んで仕事を手伝い、感情表現もしっぽの動きで解りやすいらしい。
うちの村でも、猫の手ならぬ、コボルトの手を借りたい。
(しかし秋田なら秋田犬じゃないのか不思議だ)
別れを惜しむ者たちの送別会は盛大に行われた。子虎や子猪たちも可愛がられ、別れを惜しんだ。
子グリフォンたちはまだ参加できないので、グリフォンは不参加。マリアは会場入れないが、外で背中に乗せたりして、別れを惜しんだ。
翌朝、村を離れる人には持てるだけの物資を渡し、横田基地に向かう護衛や俺たち以外は村で最後の別れをし、横田に向け出発した。
子虎、子猪たちは置いていかれないように俺にへばり付くため、仕方なく連れていくことに。
今回はWAPC2台、軽装甲車1台にマリアの重装備で向かう。非戦闘員も多いので安全第一。
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