都市部探索③
今、俺たちは多摩川を上っている。
工業地帯を抜けると、辺りはコンクリートから緑豊かな河川敷が見えてきた。
河川敷にはさまざまなモンスターが水を求めて来ていた。
モンスターたちはマリアに怯え一旦は川を離れるが、船が通り過ぎるとまた水場に戻ってくる。
初めて見るモンスターもたくさん居た。トリケラトプスに似たモンスターや足の生えたナマズみたいな奴など、まるでサファリパークのようだった。
肉食系のモンスターもいたが、モンスターたちは俺たちを襲うことは無かった、ゴブリンとオーク、コイツらだけは、馬鹿なのか河川敷から石を投げてくる。
マリアに威嚇され直ぐに逃げ出すけどね。
なんとか、二子玉川までは船で来られたが、関で船は進めない。
関で一旦船をアイテムボックスにしまい、関を越えた先で出そうとしたが、梅雨の時期でも水深が浅く、船でこれ以上進めないので、久々に乗る俺の愛車、高級4駆の登場である。
「ちょっと狭いけど我慢してね」
子供たちは俺は何でも出せる不思議なおじちゃんに見えているのだろう。そんなキラキラした目で見られるとおじちゃんは、お菓子とジュースをあげちゃう。
しかし、この行動をあとで後悔することに。
車で川沿いを走っていくと、障害物が多く、マリアに退かしてもらうも中々進めない。
そんなもたもたしていると、二足歩行の狼ワーウルフが襲ってきた。
俺は車から降り、車に結界を張りワーウルフと対峙した。
3頭のワーウルフたちはマリアを避け、俺と車に向かってくる。
ワーウルフたちはしなやかで素早い動きでマリアを飛び越えようとしたが、マリアの攻撃をくらい1頭は噛み殺された。
残す2頭は俺とマリアで1頭ずつ対峙することになったが、ワーウルフは俺が今まで戦ってきたどんなモンスターより強い。
二本の腕から繰り出す爪の攻撃に、蹴りに噛みつきまでしてくる。しかも、重くて速い。
俺もギアをあげて、攻撃するが速い動きでかわされる。
シルバが居なければ、俺はとっくに死んでいただろう。シルバの防御は固くワーウルフの攻撃から守ってくれるが、全ての衝撃までは防ぎきれない。
ただ、ワーウルフも無傷ではないが、傷を負わせるも、浅い。
だが、俺もワーウルフの癖のような物が解ってきた。蹴りを放つ前に脇が開く癖がある。
俺はやつの脇が開いた瞬間、剣を返し足を切り落として、後は体勢を崩したワーウルフの首を斬り落とし、トドメを刺した。
レベルアップの声とともに、マリアを見ると。
マリアはとっくに終わってますよと、倒した2頭を自分の前に並べていた。
俺はワーウルフをアイテムボックスにしまい、車を走らせた。
甲州街道に出て、高速道路にのろうとした時に、車内に異臭が立ち込めた。
どうやら2歳のユウキくんが粗相をしたみたいだ。オムツはしていたが、臭いまでは防げない。
しかもこれが引き金となり、子供たちは一斉におしっこ、うんちと合唱しだした。
船にはトイレがあったが、車には勿論無い。当然俺の愛車で粗相はしてほしくないが、しかも安全に行けるトイレも無い。
コンビニの看板を見つけるが、ガラスが割れ中はグチャグチャでとても入れる状況じゃない。
なんとか調布インター手前のガソリンスタンドを見つけ、飛び込んだ。
すぐさま子供たちを連れてトイレに駆け込み、危機一髪ギリギリで助かった。
マリアには辺りの警戒をしてもらい、オムツの子にはマットをだし、オムツを替えてもらった。
(よく7人の子供とコンテナに隠れていられたな。保育士さん、尊敬します)
俺は今回の旅最大の危機を脱した。
それからは高速にのり、モンスターに襲われること無く、無事に村に着くことができた。
俺は高校生たちの時と同じように、無線で政府に連絡を取り、子供たちと保育士さんの家族を探してもらった。
高校生たちの時も探してもらっているが、確認できたのは1割にも満たない。
なんとか子供たちの親が生きてることを願う。
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