3匹のモンスター
「被害者は診療所へ、柵の強化を急がねば」
「雅也さん、レオとルナが今押さえてるから、アポロとアナトを助け出して」
「おおー解った、レオ、ルナ頼むぞ」
太陽と雪は危険を感じ、先に避難して助かった。
俺は、アポロとアナトを助け出し、アイテムボックスからペット用のゲージを取り出した。
「皆、柵にゲージを取り付けてくれ」
俺たちは無敵の3匹のモンスターに襲われていた。
それらは愛敬を振り撒き、近づいては突っつき攻撃をしてきて、可愛さのあまり反撃さえ許さない、恐ろしい存在であった。
その名は、ホルス、ロナ、マヒナの子グリフォンである。
事の始まりは、グリフォンの子供を見ようと上野動物園のパンダ状態で人が集まってきたときのことだった。人間に興味を示した子グリフォンたちが柵に近づき、手を出していた女子高生の手を突っつき始めたのだ。
子グリフォンたちは何故か他の人にも突っつき出し、アポロとアナトが止めに入るも尻尾を噛まれ走り回るも離さない2匹。
ロナは楓に確保されルナに渡されるも、アポロとアナトに噛みついた2匹は走り回る子虎から離れない。
俺が何とか助け出すも、子虎たちは痛かったのか一生懸命尻尾を舐めていた。
「アポロとアナト偉かったな、赤ちゃんだから許してやろうな」
ゲージを柵に取り付け、脱走できないようにして、柵には「手を出すと危険!」と看板も出した。
レオとルナが謝っていたが、赤ちゃんじゃしょうがないと被害者も許してくれた。
それでも人気は凄まじく、連日柵には大勢の見学者が訪れた。レオもルナも嫌がらないので夕方までは見学を許可した。
レオはまだ大人は無理だが子供ならと、ダンジョン内で背中に乗せ低空飛行で遊覧飛行のサービスまでしてくれた。
ルナに子供たちのことを聞くと、群れに居ると子供たちが周囲を突っつくことはよくあるらしい。突っついたら痛い思いをさせて教育するから、今度突っついたら首の後ろを掴み怒ってくれと。
(しかし、あんなつぶらな瞳で見られたら、怒れない)
今日もチビッ子モンスターは柵の中で、兄弟で突っつき合いケンカをし、親に怒られ、餌を食べては寝て、大人気アイドルと化していた。
レオもルナも餌を求めてダンジョンによく行くので、村の人たちと一緒に狩りをしたりして、すっかり村の一員と認められていた。
そのおかげなのか、マリアを怖がっていた人たちも、マリアと気軽に接することができるようになった。マイクロバスほどあるマリアに普通に接することができれば、大抵のモンスターにもビビらずに済むだろう。
それとルナの許可もあって、子虎と子猪たちは子グリフォンが攻撃してきたら、足で押さえ込み教育をしていたので、今じゃ子分のように従えている。
子虎や子猪が子グリフォンと遊んでる姿は微笑ましい。
その光景が更に人気に拍車をかけ、老婦人たちはそれぞれのヌイグルミを作り、ゲーセンにも多くの人が押し寄せた。
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