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村の新たな仲間


今日は朝から雨がしとしと降っている。

天気予報があれば、梅雨入りの発表があったのだろうが、今じゃ出勤前にチェックしていた天気予報も見れない。


マリアも雨が嫌いらしく、ダンジョンから出てこない。ダンジョン内の池では水浴びするのに、雨は嫌いらしい。


子虎と子猪は子供たちと草原ダンジョンで遊んでいる。

グリフォンたちの巣には近付かないように柵も作った、グリフォンたちが子供たちに危害を加えるとは思えないが、卵があるから双方の安全のためにも必要だろう。


ちなみに呼び名がうり坊から子猪になったのは、どう見てももう、うり坊に見えない体格になったから。


こんな時でも一番の働き者はレオだ。雨の中ダンジョンに餌を求めて狩りに出ている。ウサギなどのエサがあるからあげると言っても、ルナに食事を届けるのは雄の仕事らしい。

しかも、ルナが食事中のときには卵まで温めるイクメンぶりだ。


暇なんでゲーセンに行ってみたら今日は大盛況。

コインゲームは最初、コインを好きなだけただで配っていたが、それでは面白くないらしく今では両替機で買えるようにした。

ただお金があっても意味が無いうえに、そのお金も月末に配るからあんまり意味が無い。

でも、皆はそれが面白いらしい。


プリ〇ラやUF〇キャッチャーなども人気で、資材回収の度にプリント材料や景品を回収している。景品はお菓子が人気で、ゲーセンを管理している老人たちが、取れそうで取れないように配置して、子供達と一緒に楽しんでいる。


オヤジたちは朝から麻雀をしている。俺も誘われて入ったことがあるが、配給の酒やタバコを賭けていて、タバコを根こそぎ取られてからは、近付かないようにしている。


そんなことを思い出しながら麻雀ルームを見ていたら、オヤジたちが奥様たちに連行されていく光景が目に入った。

どうやら今日は蕎麦を作るらしく、蕎麦打ちはオヤジたちの仕事なので連行されているようだ。


子供たちも連れていかれているのは、一緒にうどんも作るかららしいね。うどんは子供たちが踏んで作るからな。


管理班の小屋の前を通り母家に向かうと、管理班に捕まった。

アイテムボックスから不足物資の取り出しと新たな資材の記録を手伝わされた。面倒だがアイテムボックスは俺しか出し入れできないから仕方ない。


お昼を食べに行くと、大量に打たれた蕎麦とうどんと、疲れたきったオヤジたちと対照的に元気な子供たちがいた。


オヤジたちにお疲れ様と言い、新撰組が居る場所に行くと、美咲が蕎麦好きな俺に天ザル蕎麦を持ってきてくれた。


彼女たちも午前中に仕事が終わったらしく、午後は皆で映画を見ることにした。前の雨の日に見たアメリカのシリーズドラマの続きを見るらしいので、今日も長丁場になるな。


母家で映画を見ていると、雨の中マリアが縁側にやってきて、グリフォンの卵が孵るらしいと知らせてくれた。


俺たちは急いでダンジョンに向かうと、既に一匹孵っていた。


ルナが孵った雛に餌を与えており、レオはただただ見守るだけだった。


残りの二つの卵もひび割れ、中から一生懸命出ようとしている。俺たちは無意識に頑張れ頑張れと応援していた。


無事に2匹も孵ると、彼女たちの目には涙が見える。俺も涙まではいかないがなんか感動した。


産まれた3匹はまだ目が見えず、餌を求めてピーピー鳴いている。ルナが餌を噛み砕いて雛たちに与えている。レオはすぐにダンジョンを飛び出し、餌を狩りに出ていったようだ。


ルナに産まれたのは、雄が一匹と牝が二匹と教えられ、名前をお願いされた。


それにしてもグリフォンの赤ちゃんって、ひよこを想像してたのに何か初めて見るタイプの赤ちゃんだ。顔は鳥だけど、体は動物で、毛はあまり生えてないし羽は手羽先がちょこんと付いてるだけ。体が動物だから母乳かと思ったけど違うようだし。


ルナが餌をあげて、体を舐めてあげると3匹はすぐに寝てしまった。


ルナも安心したのか一緒に寝たので、俺たちも母家に戻ることにした。


翌朝、ルナのもとに行くと、3匹はもう走り回りレオの後を追いかけていた。


3匹は走りながら手羽先をちょこちょこ動かしていて可愛い。体の割に頭が大きいからなのか、よく前のめりに転ぶ。


俺はレオとルナに3匹の名前を告げた。雄はホルス、牝はロナとマヒナ。

ホルスはエジプト神話の太陽の神から、ロナとマヒナはハワイ神話の月の女神から名付けた。


レオとルナも気に入って喜んでくれた。


俺たちは抱っこさせてもらったが、好奇心旺盛で抱っこすると服などをつつかれる。あと、まだ毛が生え揃ってないので、プニプニして気持ちが良い。


ちなみに俺たち以外にも何人か見学に来ているが、柵から中に入ろうとしないし、大人しく見学しているため、レオもルナも大丈夫だろうと判断し見学は自由にした。


そんななかアイドルの座は渡さないと、子虎たち4匹は見学者たちに遊んでと愛敬を振り撒いていた。


近いうちにこの光景に3匹が加わりそうだな。




お読み頂きありがとうございます。

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