世界の現状
このお話はフィクションです。
俺たちが村を充実させている頃。
世界では人類の生存領域を巡る争いが起きていた。
アメリカ軍は北アメリカ航空宇宙防衛指令部(NORAD)、すなわちロッキー山脈地下深くに造られた核攻撃にも耐えうる指令部から奪還作戦指示を出していた。
新たな対モンスター兵器の開発はエリア51の地下深くにあるプラント42で行われていた。
選ばれた市民はレイブン・ロックやマウントウェザーなどの地下施設に避難していたが、勿論全アメリカ国民を避難させる余裕は無く、大都市に出現した高レベルのダンジョンに対応できない一般市民は過疎地域や攻略されたダンジョンの側に避難していた。こうしてアメリカ大陸もモンスターの生息圏の拡大により、人間の生存領域が減少している。
プラント42でも新しい兵器を開発し前線に供給してはいるが、アメリカ最大の工業地帯、5大湖周辺をモンスターに占領されたため生産が追い付いていない。
しかしながら、アメリカは国内で核を使っていない分まだましである。ロシアはついに自国のダンジョンに対して核を使用した。
確かに核攻撃によりモンスターが減少した地域もあったのだが、ロシアはよりにもよってレベル99という最高レベルのドラゴンダンジョンに対して核を使用してしまったのだ。
攻撃されたドラゴンが怒り狂った結果、ロシア都市部だけでなく周辺国にまで被害が及ぶ事態となり、ロシア軍は反撃することもできず壊滅的打撃を受けるはめになった。
中国も大変である。党のコントロールから外れた民衆はモンスターだけでなく人間同士の争いで国が分裂した。南の地域ではダンジョンの無い島を巡り周辺国と戦争を始め、やはり人間同士で殺し合った。
ヨーロッパでは、ダンジョン出現によりアフリカ大陸に向かう人間が増え、トルコなどが難民受け入れを拒否する事態となった。島国であるイギリスやアイルランド、アイスランドは都市部を放棄し生存領域の確保をしていた。しかし、モンスターが増え続けているのでどこまで持つか解らない状態だ。
インドやバングラデシュは悲惨だ。人口が多いために避難が上手くいかず、結果かなりの人間がモンスターに蹂躙された。
中東地域も大都市を放棄し、石油採掘以前の生活に戻った。
日本も大都市と言われる都市部はほとんど放棄された。北海道や四国などはモンスターの押さえ込みが上手くいっているものの、四国は本州からの避難民の増加による問題が別途発生していた。関西での無政府化により起きた犯罪増加を嫌って逃げ出す人々と、略奪目的で四国を目指す人とで淡路島までが犯罪増加の煽りを食って問題になっているため、橋を封鎖する事態になっている。関西の一般市民はモンスターに脅え、なおかつ人間にも警戒しなければならない事態に陥っている状況だ。
関東も各地に避難民が防御壁を造り避難しているが、食糧不足は深刻で避難所の中で食糧の奪い合いが起きている。
政府は各島の防衛や食糧生産のために北海道、四国、九州の一部に戦力を集中させており、都市部の奪還作戦は事実上破棄されている。
そんな中でも、世界各地で自力でダンジョンを攻略するものが現れ始めた。その者たちはレベルを上げ、ダンジョンコアの力を取り込みモンスターを狩り、新たな人間社会を構築しだした。
ある者は力で民衆を管理し、ある者は民衆と手を取り合い新たな社会を作り出した。
ヨーロッパや中国ではレベル20を超えるダンジョンを攻略した人間も現れた。
日本でも広島でダンジョンを攻略する人たちが現れた。岡山などの刀匠が武器を造り、協力しあい生存領域を拡げていた。
瀬戸内海の魚や四国からの援助により中国地方は政府の援助無しに市民生活を安定させた。勿論安定はしているが、生活その物は近代的とは程遠い生活である。
島に避難した人たちに関しては、狭い島にたくさんの人間が避難したために犯罪増加などの問題を多く抱えてることになっているが、それを抑える力は今の政府には無い。
そんな中、大曽根村はマリアのおかげで平和である。しかし、平和だからと言ってなにもしてないわけではない。非戦闘員はダンジョンに造った避難場所の準備や、石川姉弟による武器開発など色々と準備を進めているのである。
作物の栽培も上手くいっているし、近くの川で鮎などの漁をすることもできるようになったのだ。
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