魔石を使った武器
ボールを一心不乱にドリブルしている太陽が草原を駆け抜ける。もううり坊とは呼べない大きさの体長70cmに成長してもう立派な猪だ。太陽はパスもシュートもできないがドリブルは一級品で、障害物も躱して見事なドリブルを見せてくれる。
雪も同じくらいに成長したのに、甘えん坊は直らず俺の膝の上に乗ってくるが最近はお尻がはみ出てしまっている。夜も太陽は自分の寝床で寝るが雪は未だに俺のベッドで寝ている。さすがにもう腕が回らないので抱き枕にはならないが、俺にぴったり付いて寝ている。
アポロとアナトも体長80cmくらいまで成長して立派な虎だ。ただ2匹は未だに甘えん坊で、じゃれていると他の人が見たら俺が襲われているように見えるらしい。とはいえ爪も立てないし大きな猫と変わらない。でも、俺の胸の上に乗りふみふみするのは痛いのでやめてほしい。
最近マリアが4匹に日本語を教えて、まだまだちゃんと喋れないが、ママやマンマなど人間の幼児が話すような単語を喋るようになった。虎と猪が日本語を何故発声できるのか不思議でしょうがない。
それと何故か俺をパパと呼び出したもんだから、大きくなったとはいえもう可愛くてしょうがない。
シルバもバンドボールからバスケットボールくらいのサイズには成長しているがほとんど分からないな。ただ、最近は体を使い意志疎通ができるようになった。生体お掃除ロボとしても人気だが、シルバは愛敬があって女子高生にも大人気だ。しかし、その陰で若い男たちからは嫉妬の視線をあびている。
元から居る小さな子供たちは4匹と未だによく遊んでいるが、新しく来た人たちはまだまだ慣れないらしく、子供が襲われるかもと心配していた。しかしながら4匹は地球上の動物より頭が良いので、最近は撫でてくれる人や可愛いがってくれる人が増えてきて4匹は喜んでいる。
そういえば、石川姉弟が魔石を使い4本の魔剣を作り出した件について説明しよう。火の魔石を使った魔剣は刀身に火を纏い、水の魔石を使った魔剣は刀身に水を纏い、風の魔石を使った魔剣は斬りつけると一回の攻撃で何度も切られたような状態になる。土の魔石を使った魔剣は切られたところが石化する。
というわけで、恋花は火の魔剣、美咲は水の魔剣、歩美は風の魔剣、楓は土の魔剣を使うことに。ただ石川姉弟はまだまだ納得しておらず改良に励んでいる。
さて、今日は高校生の志願者を連れてレベル13のダンジョンに来ている。石川姉弟にもモグアイの素材も頼まれ、新撰組は頼まれて試し切りに来ている。
俺は高校生たちの引率者で1階層でウサギ狩り指導、新撰組は4階層でモグアイ狩り。彼女たちにゾンビ狩りもしてきたらと言うとあからさまに目を逸らされた。
高校生たちは運動部出身者が多くウサギなんて余裕ですと挑んだが、そのウサギたちにいいように遊ばれている。しょうがないので2人1組で連係して狩らせると何とかウサギを狩れるようになったのだが、さすが高校生、レベルも上がると調子に乗っちゃって直ぐにウサギに翻弄されてしまう。これから4階層まで行ってモグアイ回収しなきゃいけないのに、行けるのか心配になってきた。
その頃新撰組は4階層に着き、モグアイで試し切りをしていた。
恋花がモグアイを斬りつけると切り口は焼け焦げ、美咲の切り口は綺麗に切れているが水の効果は不明。歩美の切り口は切られたところがズタボロになり小さな爆発が起きたようだ。楓の切り口は切ったところだけ石化した。
彼女たちは大量のモグアイを狩っているが雅也は回収に来られるのだろうか?
高校生たちは未だにウサギで苦労していた。よく見ると生き物を斬ることに躊躇している者もいて、斬っても浅く致命傷を与えられていない。ウサギより蟻の方が動きが遅いから良さそうに思えるが、蟻に噛まれると大怪我する危険性もあるため、今日はウサギ狩りで慣れてもらうしか無いだろう。
その後一旦外に出てお昼を食べていると
「大曽根さんのお手本を見せてくださいよ」
「良いぞ、基本の動きで倒すからよく見ろよ」
というわけで、ダンジョンに戻りウサギを軽く斬り殺したが、高校生たちは速くて見えないという。仕方がないのでウサギに攻撃をさせ躱しながらゆっくり斬り殺すと、高校生たちもウサギを引き付けて斬り殺すことを覚え、それからはウサギに攻撃をくらいながらも皆倒すことに成功した。
それを見届けた俺はシルバに高校生の面倒を頼み、最速で4階層まで駆け降りる。4階層に降りると階段下にモグアイの山ができていたので、俺は急いでアイテムボックスに収納していく。
俺は彼女たちに声を掛け、高校生たちが心配なので直ぐに戻ることにした。彼女たちも俺の後ろから付いてきて10分も掛からず1階層に到達した。俺たちもずいぶん人外になってきたな。
高校生たちは怪我も無くシルバの手伝いも必要とせず無事にウサギを狩っていた。
(無事で良かった、シルバが居れば問題無いと思うけど心配だった)
高校生たちは帰りの車の中で興奮していたが、まだまだ館長に道場で訓練してもらわないとダンジョンは早いだろう。
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