レベル11ダンジョン④
40階層主の部屋から降りると、遺跡のようなダンジョンになっていた。
進むと階層主より一回り小さいダンゴムシが2匹転がってきた。うち一匹はマリアが前足で叩くと壁にぶつかり気絶したので、もう一匹を聖剣でフルスイングで壁に飛ばそうとしたら真二つに斬れてしまった。
階層主ほど防御力は無いか。とはいえ逃げ場の少ない通路だと面倒なので、ブルドーザーを2台出し平行に走らせ通路をふさぐように進むことにした。
エンジンの音がうるさいのかモンスターが寄ってくるものの、ブルドーザーのパワーには勝てず押し返され、ダンゴムシ以外にも火を吐くトカゲや剣を持つゴブリンも居たが弓で殺した。ダンゴムシが溜まったところで壁に押し付け殺した。後ろはマリアが守ってくれていたが、後ろから襲い掛かるモンスターはほとんど居なかった。今までのダンジョンが嘘みたいなくらい楽に進めた。
ただ、45階層まで進むとゴブリンが大量に現れ、弓を持つ者や狼に股がるゴブリンまで現れブルドーザーを跳び越えてくるので、残念ながらブルドーザーをしまい歩いて進むことにした。
恋花と美咲は弓の技術が高いのか、弓を持つゴブリンに攻撃される前に殺していた。俺も負けじと狼に跨がるゴブリンも狼ごと斬り殺した。
それからはゴブリンが大量に出てきて、矢が足りるか心配になったが、ある程度は回収できた。それほど苦労すること無く50階層主の部屋の前で休憩を取り扉を開けた。
中には30匹以上のいろいろなゴブリンがいた。奥にデカイゴブリンが3体、真ん中がリーダーなのか鎧を着て銀色に光る大剣を持ち、両脇のデカイゴブリンは黒い槍を持っていた。
俺たちが雑魚ゴブリンと戦っていると、3体のデカイゴブリンが俺に襲い掛かってきた。3体は連携が取れていて俺は皆から離れた場所に追い込まれた。
3対1はかなりキツく、擦り傷程度だがダメージを受けていた。シルバが俺に気づき助けに来てくれた。シルバは俺にまとわり付いて治療してくれると同時に、薄く広がり俺の体を守ってくれる。シルバを強くなったのか槍の攻撃を全て防いでくれた。誰かが放った矢のおかげで槍を持つゴブリンに隙ができ、1体の首を刎ね倒すことができた。
後2体と思い、ゴブリンに向き合うと槍を持つゴブリンが吹き飛ばされた。マリアが来てくれたようだ。槍を持つゴブリンはそのままマリアにまかせ、俺は大剣を持つゴブリンに集中した。
大剣の攻撃は重くまともに受けると吹き飛ばさそうになるので、受け流し隙をつく攻撃をするしかなかった。俺はギアを上げているのにゴブリンはそのスピードについてくる。
他の戦闘は終わったみたいで、助けに入ってこようとするがゴブリンの大剣が速く危ないので一騎討ちにさせてもらった。俺はゴブリンの足に攻撃を集中し上手く鎧の隙間を切りつけ、ゴブリンのバランスが崩れたところで脇の下から右腕を斬り落とした。剣を落としたゴブリンの首を刎ねようやく倒すことができた。
ゴブリンたちの武器と死体は集めておき、明日ダンジョンボスを倒すためこの部屋に泊まることにした。
51階層に降りると川が流れる森が広がっていた。
51階層は今まで出たモンスターがいて、まさにオールスター勢揃いで襲い掛かってきた。しかし川沿いの岩を足場に有利な場所で戦い、問題なくモンスターを倒していった。
マリアも余裕なのか川で水浴びまでしていた。
カメレオンみたいなモンスターも出たが、マリアが見つけ倒してくれたので被害は無かった。しかし、マリアが居なければ苦戦していただろう。
ついに俺たちはボス部屋の前に着いた。ボス部屋の扉を開け中に入ると、15mはありそうなワニが居た。
「デカイワニだな」
「ワニじゃないよ怪獣だよ、こんなの」
「マリアさん、これってドラゴン?」
「違うわよキングアリゲーター」
「硬そうね」
「バッグ何個作れるかな?」
「ワニ革のバッグ欲しいの?」
「冗談だよ」
「皆、聞いてくれ。俺に作戦がある。ワニなら噛む力は強いが口を開ける力が弱いから、口をトラロープで縛るぞ。楓とマリアはそれを手伝ってくれ。恋花、歩美、美咲はワニの気を引いてくれ。マリアは噛まれない範囲で正面に引き付けてくれ。楓は俺と一緒にワニの口を縛るぞ。ワニは横に回転するから巻き込まれるな」
俺たちは連携しながらワニの口にロープを掛けようとしたが何度も失敗した。諦めようかと思ったが、そんな時にマリアがワニの口の上にお手をするようにしてなんとかワニの口をふさいだ。俺と楓は素早く口をロープで縛ると、口をふさがれたワニは横に回転して暴れ出したが、ロープが余計に絡まり完全に口をふさがれることになった。
後は皆で暴れるワニの首に攻撃を集中した。ワニも嫌がり暴れたが最後は動かなくなり、レベルが上がったことで倒せたと分かった。
「それにしても、雅也さんはワニの倒し方なんかよく知ってたわね」
「前にテレビでワニハンターの ドキュメンタリーを見て知ってたんだよ」
奥のダンジョンコアを吸収するとダンジョンマスターのレベルは上がったが、新しいスキルは獲得できなかった。
少しするとコアのあった壁が崩れ奥に部屋が現れた。中を覗くと宝箱がある。
「皆来てくれ、宝箱がある」
「罠かもよ」
俺は慎重に近づき剣で突っついたりしてみたが、何も無いのでそっと開けてみると、中には4つの赤、青、黄、緑の2cmくらいの宝石が入っていた。
マリアに見せると魔石という物らしい。赤は火、青は水、黄は雷、緑は風の属性で、魔石を使えばその属性を操ることができるらしい。
ナビが俺の頭の中で魔石の使用方法を教えてくれたが、魔石単体だけ使おうとしても人間では扱えないらしい。アイテムに組み込んで制御しなければならないようだ。魔石を使うアイテムの例も頭にあるので帰ってから作ることにした。
俺は魔石のことを皆に話し、帰ってからアイテムを作る話をした。
ボス部屋で1泊してから2日かけて地上に戻った。
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