石川姉弟再び
朝からマリアがダンジョンに狩りに行こうと言い出した。マリアは一人でたまに散歩に出掛けてるが、今日は皆で出掛けたいらしい。
皆に相談したところ、先日行ったレベル13のダンジョンは不評で、スケルトンダンジョンは自衛隊員やうちの人間のレベル上げのためのダンジョンになっているから行けない。なら、ちょっと遠いけど昭島のレベル11のダンジョンにしようと決まった。ただ勝手に行くわけにはいかないので、連絡を取ろうとしたところ、絶妙のタイミングで向こうから連絡が来た。何かあったのかと思ったが伝えてきた話に笑ってしまった。なんと石川姉弟がC-1輸送機に乗って、刀匠たちが作った刀と一緒に来たらしい。石川姉弟に話を聞くと頭の固い爺共と仕事がしたくないから俺のところに来たいらしい。道場で寝泊まりする人も皆、家はできたし来てくれると俺も助かるのでOKした。ただ、自衛隊をタクシー代わりにはできないのでダンジョンの予定を変更して立川基地に行くことに。
ついでにダンジョンの件も聞いたら是非とも攻略してくれと言われた。
奥様方に行くならパンを持っていってと渡され、若い衆からは果実を渡された。先日の魚と小麦粉のお礼らしい。パンもいろいろな惣菜パンを作ったから避難所の子供たちも喜ぶだろう。
翌朝早くにはマリアが行く気満々のため仕方なく早出することに。
WAPCで立川に向かうと、以前に比べマリアが居るからなのかモンスターが少ない。立川では安全エリアを広げ基地周辺施設を使いだしたという話は聞いているので、人間の活動エリアが広がるのは嬉しいが元の世界には戻れないだろうな。
立川に着くと自衛隊員が先にマリアのことを説明してくれていたが、避難所は逃げ惑う人、金網にしがみついて歓迎する人で大騒ぎ。
基地に入ってもビビる隊員がいたりして、先日会って写真まで撮った隊員と違った反応を楽しんだ。
総理も忙しそうだったので、石川姉弟を呼んでもらい帰ろうとすると、隊員からマリアと写真を撮らせてほしいとお願いされる。
隊員にパンや果物を渡していると、前に総理と一緒に来た強者な議員が近づいてきた。
「大曽根くんいつも悪いね、お礼しか言えないが勘弁してくれ、何かしてあげたいが今の政府には余裕が無い。大変だと思うがこれからもよろしく頼む」
それだけ言って去っていった。
隊員に聞くと娘さんとは連絡が取れたが、奥さんと息子さんとは音信不通で、家に隊員を派遣する話もあったが特別扱いするなと断り、職務に邁進してるらしい。他の議員が特別扱いしろと騒ぐ中、口は悪いが尊敬できる議員だと教えてくれた。
石川姉弟を連れ、帰りは昭島のダンジョンを見てから帰ることになった。帰りの車の中で石川姉弟に刀を見せるとデコった刀を見て一喜一憂していた。
昭島のダンジョンは封鎖されていて、出てくるモンスターは重機関銃で退治しているようだ。
帰り道はそれなりに自衛隊員は見かける反面、モンスターは少ないので安心していると、ナビが封鎖だけでダンジョン内のモンスターを狩らないと氾濫がまた起きるという警告をしてきた。
車の無線が届く範囲だったのでとりいそぎ基地に連絡して、対策してもらうことに。
今、日本はかなりのダンジョンを封鎖している。また氾濫が起これば各地の避難所にも被害が及ぶし、北海道も心配だ。自衛隊員にもかなり強い人も居るがまだまだ少ない。俺たちも命を懸けてまでダンジョンに潜る気にはなれない。
俺たちの拠点で問題になるダンジョンは4ヶ所で、昭島、青梅、福生、羽村だな。福生のダンジョンはレベル22でとても今のままじゃ攻略はできない。
低い順に回ってレベルを上げるしかないか。後は自衛隊員に低層で間引いてもらって、俺たちもマリアにも手伝ってもらって、やれる範囲でやるしか無いだろう。
俺以外にもレベルが分かればいいが分からないからしょうがない。俺はレベル26だが、ナビに聞くとレベルだけでは強さは分からないらしい。レベルが上がれば強くなり身体能力は上がるが、個人差があるためレベルが高いからといってダンジョンが攻略できるとは言えないらしい。
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