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ダンジョン後と新たな仲間


あれから自衛隊の攻勢が始まって、いくつかのダンジョンが攻略された。ただ攻略できたのはレベル5以下のダンジョンしかない。無理して少しでもレベルの高いダンジョン攻略を強行した部隊は、死傷者が出たらしい。対策本部からは低レベルから攻略を指示しているが、現場指揮官の独断で俺たち素人に攻略できるならと挑んだらしい。無能な指揮官の部下も大変だ。


果実も検査してもらった結果、人体に有害な物質は見つからず、食べても大丈夫と判った。俺も元スライムダンジョンを改造して、5階層を家畜飼料のために草原、1~4階層を果樹園に作り変えた。ダンジョン果樹園の凄いところは果実を収穫しても2日あれば、また果実が実っていることだ。余剰分は自衛隊を通して避難所に届けてもらっている。


だが、良いことばかりではない。都市部の奪還作戦はライオンのようなモンスターと、白いゴリラのようなモンスターに押され前線を後退させられた。これにより湾岸地域からの電力供給計画も頓挫した。


それと俺は野党の皆さんに嫌われているらしく、視察団を派遣する打診があったが、勿論断った。ちょっかい掛けるなら今後一切協力はしないと伝えた。


何故かその話が避難所に知れわたり、市民ですら野党の連中を相手にしなくなった。しかし、野党に同調した若者も居たらしく、新撰組の彼女たちを避難所に移住させろとか、ハーレム反対と抗議したらしい。ハーレムどころか俺には1人の彼女も居ないのに、勘違いは止めてほしい。ハーレムなんて俺の精神に耐えられないよ、確かに彼女たちは可愛いが、誰か1人を好きになり、告白してフラれたら俺は立ち直れないし、今後の連係にも問題が出てきてしまう。俺だって彼女が欲しいよ、同じ家に住んで何もできない生殺し状態なのに、ラノベのハーレム主人公みたいにはいかない。しかも両親も居るのに、俺は太陽と雪と寝ますから寂しくないと心に言い聞かせてます。


拠点周辺もだいぶモンスターが減り、いよいよレベル13のダンジョン攻略も考えなきゃいけなくなってきた。とはいえレベル10を超えるダンジョンはモンスターも単一系統じゃなくていろいろ居るらしく、ナビでも解らないから中々行く気になれない。それに、自衛隊も立川周辺のダンジョン封鎖と周辺のモンスター退治で手が足りていないから、今は拠点を充実させる時期なのかな。


ダンジョン改造をしてから、皆のご厚意で休養を取っていたら、モンスターが襲撃してきたと、門下生のオジサンが青い顔で俺のところにやってきた。話を聞くとデカイ虎が攻めてきたとのこと。


俺は武器だけ持ち普段着で急いで向かう。


遠くからでもよく解る、ワンボックスカー並みの大きさのホワイトタイガー1頭と、体長1mくらいのホワイトタイガー2頭がゆっくりとこちらに向かってくる。


俺は新撰組以外退避させ、迎え撃つことにした。近づいてくるのをよく見てみると大きなホワイトタイガーは血だらけで怪我をしている。俺たちはチャンスと思い攻撃を仕掛けようとすると、いきなりホワイトタイガーが日本語、韓国語、中国語で話しかけてきたので、俺たちはビックリしながらも日本語で答えた。


「私たちは人間を襲う気は無い。どうかこの子たちだけでも良いので、食べ物を分けてほしい」


「信用できる根拠が無い」


《スノータイガーが仲間になった》


「へ?」


「雅也さん、どうしたの?」


「えーと、スノータイガーが仲間になった」


「……ぇぇえぇー」


「これで信じてもらえたか。私たちはあなたたちを攻撃できない」


俺だけ近づくと


「この子たちを頼む」


言い終わるやいなや大きなスノータイガーは横に倒れてしまった。倒れたスノータイガーのおっぱいを探すように2頭のスノータイガーが顔を腹に埋めた。俺はシルバに大きなスノータイガーの治療を頼み、新撰組に子供のミルクを作らせた。歩美だけ子供を触りたがったが美咲に冷たく止められ、しぶしぶ手伝っていた。


おっぱいが出ないのか子虎たちはミュウミュウ鳴きながらふみふみしていたが、俺が子牛用の哺乳瓶を近づけると、興味を示し飲み始めた。飲み始めると歩美に哺乳瓶を奪われたので、彼女たちに任せ母親に近づくとシルバのおかげか、傷も治り眠っていた。


それからお腹いっぱいになった子虎たちも眠り、俺たちも近くで見守ることにした。


少ししたら母虎が目を覚ましたので、俺はモグワイの肉を与え話をしてみることにした。どうやら子供を産むためにダンジョンに入って、いざ子供を産み外に出ると全然知らない場所になっていて、仲間とはぐれたらしい。それから仲間を探していた時にシルバーバックの群れに襲われ子供を守りながら逃げてきて、それから安全な方に逃げてきたが、子供がいてはまともな狩りができず、ミルクも出なくなったと。


なんで人間の言葉が話せるのか聞くと、人間に寝ているところを襲われて人間を食べることになったため、言葉を覚えたようだ。ただ私たちは神の使いと崇められていたので人間は攻撃してこなければ襲わない、とのことだった。


(多分外国人の盗賊を食べたから、日本語以外も喋れるんだな。悪人ならギリセーフで)


恩は必ず返すから、子供たちのために安全な巣を提供してくれないかと頼まれた。俺も仲間になったからには仲良くやりたいし、彼女たちを見れば子虎を拒否するはずもなく、俺は受け入れた。


ただ、デカイのと他の人が怖がらないようにスライムダンジョンの草原で生活してもらうことにはしたが。


彼女たちにも伝えると、早速名付け会議が始まった。


決まった名前が神の使いということで、母虎がマリア、雄の子虎がアポロ、雌の子虎がアナトに決まった。



お読み頂き、ありがとうございます。

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