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レベル9ダンジョン③


40階層から降りると今度は、ダンジョン内が石造りの遺跡みたい構造に変わった。しかも何故かうす暗いのに明るい。何故明るいか解らないが、誰も気にしないのでそのまま進む。


「ダンジョンなんてそんなものよ、気にしない」


この階層のモンスターは偽カ〇フーパンダだが、連係しないからなのか、それともレベルが上がったからなのか、問題無く倒して先に進み、何とかボス部屋前に到着。


装備の再確認していると、歩美が。


「熊ダンジョンだから、可愛い熊が仲間になるかな?」


「フラグだなこりゃ」


中に入れば、3m以上ある白熊1頭と偽カ〇フーパンダが4匹。


(何で頭と匹で区別するかって、雑魚は匹で十分だから)


勿論俺が白熊担当だ。白熊も動きが速く手足と牙で攻撃してきて近づけず、距離を取ると突進してくる。


シルバに手伝ってもらおうと思ったが、シルバは彼女たちを援護してるから呼べないな。


しかしレベルが上がるとボスも強いな。でも最初のスライムに比べれば絶望感は無い。筋肉痛は嫌だけど、さらにギアを上げるか。


俺も攻撃をくらうが、奥さんたちが作ってくれた防具のおかげでダメージは少ない。


足への攻撃が効いてきたのか白熊のスピードが落ちてきた。それからは俺の猛攻についに足が止まり、とどめに首に剣を突き刺し倒した。


彼女たちも後1匹で、偽パンダは可哀想にタコ殴りに遭ってる。


ボスを倒すと俺たちはその場で座りこむが、歩美はうろうろしてる。


「可愛い熊が居ない、何で」


「毎回出てないじゃん」


「熊ちゃん、欲しかった」


俺はダンジョンコアを吸収するとダンジョンマスターのレベルが上がり、筋力上昇を覚えた。


《マスター、ダンジョンマスターのレベルが30を超えて、ダンジョンクリエイトの能力でダンジョン内に森や草原が作れるようになりました》


「マジか! 果物の実る木も作れる?」


《可能です》


「あの果実って、食べても大丈夫?」


《すみませんマスター、人間に害がないかは解りません》


「そっか」


俺たちは30階層に1泊してから、ダンジョンを出た。外に出ると自衛官たちにまるで英雄でも見たかのように大歓迎された。


車で基地に帰ると柵ごしだけど、避難してる人たちにアイドルの追っかけのように手を振られ、振り返すと黄色い声援が聞こえる。新撰組の彼女たちも男たちから熱烈な歓迎を受けていた。


(オジサン勘違いしちゃいそう)


基地に着くと総理始めお偉方が迎えてくれた。総理から称賛を受けていると、落ちぶれ党のオバチャン党主が。


「こんなに早くダンジョン攻略できるなら、もっと早く来てくれれば良いのに、何で来てくれなかったの」


「はぁー、俺たちだっていろいろ生きるために忙しいんだよ。そういうあんたは文句言う以外何してるんだ? 散々自衛隊否定しといて、いざお世話になったら感謝してるのか?」


オバチャン議員はその後も、フジコフジコ言ってたが、俺たちは無視し、他の人たちはオバチャン議員を睨んでた。


気分が悪いので帰るからヘリを用意してほしいと頼むと、総理からは何とか1泊だけ休んで話を聞かせてほしいと頼まれ、他の議員たちはオバチャン議員を罵倒していた。


果物の件もあったので、1泊だけすることにした。隊員には果物を渡し検査してもらう。風呂に入り総理たちと夕食でダンジョンの報告をした。夕食にはオバチャン議員はさすがに居なかった。


夕食時に聞いたが、北海道の猪ダンジョンを自衛隊が攻略したことと、石川さんたちが見つかり仲間の刀匠たちと刀や銃剣を作り始めたことを聞いた。


俺たちがヘリで帰る時には大勢の隊員に見送られ、ヘリが飛び立つと避難所からも手を振られた。


「本当に凄い歓迎でしたね」


「私たちは前にテレビ出た時に経験したけどね」


「あの時は職場まで来て嫌だったけど、今回は何か嬉しい」


「俺なんか初めて黄色い声援を聞いて、勘違いしちゃいそうだよ」


「雅也さん、勘違いすると痛い目を見ますよ」


「はい……」


(オジサンは解ってますよ、昔合コンで勘違いして痛い目みたから)


そんな昔の嫌な思い出を思いだし、俺が落ち込む中帰路につく。







お読み頂き、ありがとうございます。

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