レベル9ダンジョン②
30階層から降りるとダンジョン内は森になった。
猪ダンジョンで経験してるので、驚きは少ないが一つ違うことがある。木に果物が実っていてダンジョン内が甘い果実の香りがするのだ。
「うゎーおいしそう」
「苺みたいなのが木になってる不思議」
「見たことも無い果実も」
「梨があるよ。俺果物で一番好き」
「あんたたちバカなの? ここはダンジョンなのよ、毒があるかもしれないでしょ」
「確かに」
「じゃあさー持って帰って調べてもらおうよ、それなら良いでしょ美咲」
「私たちが何しにここへ来たのか忘れたの?」
「そうね、警戒しながらサンプルを取って、帰りにまたボス倒して、あったら取って帰りましょう」
(時期的に秋の果物は備蓄できなかったから絶対に欲しい)
俺たちは甘い果実が食べられない怒りを熊にぶつけ、ダンジョンの奥に進んだ。
大きな木を見つけ階段があると思い進むと、茶色いグリズリーみたいな熊が10匹くらい居る。
しかも何か食べてる。ひょうたん?にしてはみずみずしいな。
「さて、どうしますか」
「少しずつ呼び寄せて狩りましょうか」
「じゃあ私が釣ってくるね」
楓は熊に微かに聞こえる音をだした。熊も気づき楓と目が合う。しかし熊は知らん顔で果物を食べる。
「ムカついた。楓様の魅力を思い知らせてやる」
楓はさらにゆっくりと近づき、後10mのところまで近づくと、熊が吼え辺りの熊が楓に襲い掛かってきた。危険を感じた楓は一目散に俺たちの方に逃げてきた。
「あはは、いっぱい釣れちゃった」
「楓のバカ! 釣りの意味無いじゃない!」
「来ちゃった物はしょうがない。囲まれないように連係するよ、雅也正面よろしく」
「「「「了解」」」」
素早いが今までの熊と変わらない強さだ。俺は俊足を慣らすためギアを上げた。
ナビが教えてくれた俊足とは、才能に近いスキルで使うことで能力が伸びる。しかし体がついてこないと使えないとも。だから俺は瞬発力と体幹を鍛えた。
前に体験した時よりも遅いが十分やれる。死闘の末なんとか倒すことができた。傷をシルバに治してもらい、階段の前でちょっと休憩。
俺たちが休憩していると、シルバが熊が食べていた洋梨のような香りがする果物を食べていた。
「シルバちゃん、その果物は毒が無いの?」
シルバはプルプル震えるが解らない。
「シルバちゃん、毒があるならこっち、無いならこっちに来て」
シルバは恋花に近づくが真ん中でプルプル震えるだけ。
「自分に無害なのに解るわけ無いでしょ、帰ってから調べてもらいましょう」
俺たちは果物の甘い誘惑と戦いながら熊でストレス発散して、何とか40階層主部屋の前まで着いた。
準備を整え中に入ると、今までより小さい、ダルメシアンのような白黒の熊が5匹居た。
「パチもんパンダが居る」
「可愛くない偽パンダ」
戦闘を始めてみると、やつらの動きは速くて武術の動きを思わせる。
「パチもんパンダ改め、偽カ〇フーパンダ」
恋花「楓、戦闘中に笑わせないで」
しかし、剣の動きを読まれる、さらに連係してほんろうされる。
シルバが防御に回ってくれて助かった。にしてもこいつらの動き何かパターンがあるな。こいつが鳴くと変わるということは、こいつが司令塔か。
「皆、司令塔を見つけた、俺がそいつを集中的に攻撃するからフォローを頼む」
「「「「了解」」」」
俺はギアを上げ1匹に集中した。司令塔は段々傷つき動きが遅くなったのでとどめを刺した。
それからは連係が取れなくなり、無事に倒すことができた。
その日は40階層で1泊して休むことに。勿論食後に果物をねだられので、前に買っておいた果物をアイテムボックスから出し、皆で美味しく頂きました。
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