新たな刀製作
農作業が本格的に始まり、バリケードもより強化されてきた。自衛隊の皆さんがバリケード製作を手伝ってくれて本当に助かった。そんなわけで最近は俺たちと自衛官の関係は良好だ。それでも拠点内に武器は持ち込ませないが、行動に制限はしていない。
隊員たちの中にはここをオアシスと感じて、涙を見せる者も居る。彼らは給料も出ないまま、皆を助けたいと願い、一生懸命働いているのに、避難所に行けば市民の不満の矢面に立たされていたりして、本当に大変だと思う。
それでも、一部離脱した隊員も勿論いるらしいが、偉そうな言い方だけど、本当に良くやっていると思う、頭が下がる。
先日なんて電源車まで用意して生コン工場を稼働させて、うちだけではないが生コンを届けてくれたし。
そのお礼も兼ねて、先日入手した材料で大量のパンを焼き、隊員に近くの避難所にパンを届けてもらった。隊員たちは自分たちは食べずに配るので無理やり拠点で食べさせてから向かわせた。
そんな良好な関係を築き、ある時モンスターに食べられずに居た牛や豚を連れてきてくれた。これまで手をつけられなかった畜産も始まり、隊員たちの助けも有り拠点は充実していった。
今じゃ俺が引っ越してきた時からは考えられないくらい拠点も変わった。風呂やトイレも増え、堅牢なバリケードいやもう城壁だな、田畑に家畜小屋まである。本当に変わった。俺1人じゃとてもできない。あの時新撰組に 打ち明けて本当に良かった。
そしてついに北海道の猪系ダンジョン攻略の知らせが届いた。
900以上あるダンジョンのたった一つだが、総理大臣を始め関係者はモンスターの氾濫以降、初めての嬉しいニュースである。他の地域もレベルの低いダンジョンから攻略を開始したらしい。
俺はこれが策略でも良いと思い、皆と相談して熊系ダンジョンに挑むことにした。ただし前回の戦闘で武器に不安が残るので、俺は新たな武器作成にかかり、新撰組はスケルトンダンジョンでレベル上げをすることに。
俺は鍛冶小屋にこもり、モグワイや他のモンスターの素材を使い製作することにしたが、上手くいかない、鉄は切れてもモグワイの皮は切れないのだ。全く切れないわけではないが何度も同じ場所を切らないと切れない。
モグワイの皮で悪戦苦闘している姿を見て、恋花のお母さんがモグワイの皮で防具を作りたいと持ち掛けてきた。
爪や牙は渡せないが、皮ならとお願いした。そしたら今度はモグワイの皮を加工するのに、丈夫な針とハサミが欲しいと頼まれ、ハサミは作れないので小刀と針を作ることになった。針は難しく何度も試行錯誤して、何とか猪の牙を芯にして作ることができた。
俺は針を作る時に思いついたやり方を試してみることにした。今までの考えを捨て、金属に混ぜるのではなく、素材をそのまま使い、鉄とモンスターの素材の複層構造で刃の部分を作ることにしたのだ。しかし素人の俺は簡単にできるはずも無く、それでも鍛冶小屋にこもり没頭した。
そしてついにできた。刃はモグワイの爪、金属は斬鉄刀と同じ物を使い、接合部にモグワイの毛とスケルトンの骨を使い完成した。
とはいえ、モグワイの素材が足りず4本作るのがやっとであったものの、槍はモグワイの牙で代用し作ることができた。
刃の部分だけ黒く半透明で光にかざすと光、刃紋が浮かび上がる、美しい刀ができた。
モグワイの皮がスパスパ切れ、モグワイの皮を笑いながら切っていたら、子供たちにどん引きされたことを俺は気づいていなかった。
刀の名前をどうしようか考えたが、俺にはネーミングセンスが無く、斬鉄刀2でも良いかと思ったら彼女たちからダメだしをくらい、皆で意見を持ち合い決めることにした。
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