交換条件
俺は今、館長と恋花と共にヘリに乗っている。初めてヘリに乗ったけどうるさい。
地上を見ると、火災の後やバリケードを作り立て籠った跡が見える。
何故あれほど駐屯地に行くのを嫌がっていたのに向かっているかというと、政府が凄い条件を出してきたからだ。
今把握してるダンジョンのレベルを教えることと斬鉄刀と槍を各5本と材料の配合を教える条件で、俺たちの自治とWAPC1台(弾薬、燃料補給付き)の交換条件を飲んだ。
ただ、俺も完全に信じたわけではないし、アイテムボックスの中で脱出のための準備もしてある。
でもまさか、試しに言ったWAPC が欲しいが承認されるとは。暑い、狭い、暗い、遅いホイールローダーと比べたら欲しいよ。だってヘタレな俺でも、今の世界ならこの車でナンパしたら100%成功するでしょ。でもヘタレだから乗せても何もできないけど。
うわー、眼下に凄い数のテントが。話に聞くと2万人近く避難してるらしく、それとここは駐屯地ではなく、立川基地らしい。
ヘリを降りると内閣府に案内され、いきなり総理大臣の部屋に案内された。
大臣と会った時はさほど緊張しなかったのに、総理大臣はなんか緊張するよ。
握手を交わし、軽く話をしてから本題に入る。車両貸出と自治を認める書類にサインをして、一緒に昼食を取ることに。しかし総理も大変なんだな。前にテレビで見た時より、痩せて老けた感じがする。
昼食後幕僚長に作戦指令室に案内され、向かう途中先日の議員が居た。やつは俺を睨んでくるが、幕僚長が、元々口では大層なことを言うが行動が伴わないので、例の事件からすっかり誰も相手にしてませんと話してくれた。
(あの事は事件なんだ。ちょっと怒っただけなのに)
地下に案内され作戦指令室に入ると、テレビや映画でしか見たことの無い、NASAの指令室みたいな設備の部屋だった。俺は良い歳してテンションMAXです。大きなモニターには犬人間? コボルトか、豚顔の相撲取りはオークかな。WACの人たちが襲われてないか心配だ。おぉー自衛隊もドローンを使うんだ初めて知ったよ。
俺もドローン欲しいな、ドローンは思い付かなかったな。
早速仕事です。日本国内のダンジョンの地図を見せられ、946ヶ所のダンジョンレベルを教えなきゃいけない。しかしダンジョン多すぎだろ、こんなにあるのかよ。
ナビに聞きながら北から示していくが相当時間が掛かる。結局その日には終らず翌日もやるはめになった、でも夕飯に自衛隊カレーが食べられたのは嬉しかった。ただ具が少ないのはちょっと残念。
夕飯時に防衛大臣と幕僚長たちと話したが、レベル40を超えると今の近代兵器ではモンスターに太刀打ちできないことや、レベル50を超えるダンジョンは多分人間には攻略できないことを伝えた。そのことにより北海道奪還作戦は、札幌と函館を封鎖する作戦を検討するらしい。それとレベル10を超えるダンジョンから、クリア報酬にアイテムが出ることと、そのアイテムの中に自分のレベルやスキルなどを見られるアイテムがあることを教えた。
翌日もダンジョンレベルを示し終わったのは夕方でもう一泊して翌日帰ることに。館長と恋花は隊員からWAPCの操作を習ったらしい。
(良いなー、俺なんか缶詰だよ。最初は作戦指令室がかっこ良かったが、2日も見れば飽きる)
刀と槍を渡す時に刀匠の石川さんのことを話すと第三師団に連絡して探してみるらしい。
全て終わり、総理に挨拶すると引き留められたが辞退して帰ることに。
帰りはWAPC2台とLAV2台で、俺は操縦を習いながら運転していたら、途中で何ヵ所か役所や体育館などバリケードを作り避難してる人を見かけた。避難してる子供たちが手を振ってくれる。
隊員が言うにはかなりの数の避難所があるがどこも食糧不足が深刻らしい。だからなんとしても北海道奪還は必要らしい。さらに、避難所を盗賊化した外国人からも防衛しなければならないから大変で、さすがに射殺するわけにもいかず困っているようだ。
当初は外国人も一緒に避難していたが、一部の外国人が暴動を起こし盗賊化したらしい。隊員はこんな時だからこそ協力したいと語っていたが、中々難しいようだ。
俺はダンジョンが出現したら人類滅亡と考えていたが、人間も負けてないと思い、仲間たち優先だけど、少しは世のために手伝ってもいいかと悩み始めた。
しかし、帰って温泉に入るとここから離れることはできないと気持ちが半減してしまう。
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