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【コミック発売中】魔物を狩るなと言われた最強ハンター、料理ギルドに転職する~好待遇な上においしいものまで食べれて幸せです~  作者: 延野正行
第8章 スライムの島編

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第162話 元S級ハンター、魔魚のステーキを食う

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6月となりました。

コミックス3巻が発売予定なので、是非お買い上げください。

奥村先生の書き下ろし漫画が満載なので、お買い上げよろしくお願いします。

「うっっっまっっっっ!!!!」


 うっっまっっ!!

 なんだ、これは。

 普通のマヨネーズ和えではないぞ。

 いや、普通のマヨネーズ和えなんだろうが、ダブルランサーを和えるとこんなに違うのだろうか。


 あのコリッとした弾力に、囓切った後に広がる風味はそのまま。

 身によくのった脂の甘みが、マヨネーズの中にある卵黄の甘みと相まって、より味が引き立っているように感じる。


 特筆すべきは微かに感じたダブルランサーの臭みがマヨネーズの酸味によって消えていることだろう。

 つんとした酸味によって、臭みが消えて、さっぱりと食べさせてくれる。野菜との相性は当然いいから、一緒に食べると余計にキレのいい味を感じさせてくれた。


 その後に、ピリッとくるからしのアクセント絶妙。


 マヨラーである愛娘が太鼓判を押すのも無理はなかった。


「ぱーぱ、おいち?」


「おいち。おいち。ありがとうな、シエル」


 そう言って、お礼代わりに俺はシエルの唇についたマヨネーズを拭き取る。

 シエルはキャッキャと喜びながら、残りのダブルランサーのマヨネーズ和えを食していた。





 3日目……。


 ちょうど船旅も終わる頃、例の氷締めしたダブルランサーが解凍された。

 さすがに数が数なので、これは身内だけで楽しむことにする。

 特別に厨房を使わせてもらい、パメラが捌くと、早速ダブルランサー尽くしの料理を食べた。


 一品目は、定番中の定番――刺身だ。

 3日前に食べたが、鮮魚と熟成が進んだ魔物、どっちがおいしいか気になった。

 この3日前、船の上なのでよく魚は食べたのだが、それでもダブルランサーは別格である。


 3日前がそうであったように俺は塩をちょんと付けて食べてみる。


「うん。こっちもうまい!」


 食感が変わっている。

 こっちの方がやや軟らかい。

 あの独特の弾力がなくなっているのは、ちょっと悲しいが、霜降りの牛肉のように口の中でふわっと溶けていく。


 あの強い風味も健在だ。

 熟成させたからだろうか。

 3日前に食べた時以上に強く感じる。

 口の中がまるでダブルランサーに乗っ取られてしまったかのようだった。


 熟成といっても、新鮮な魚を、時間を置いて食べる行為である。

 言い換えれば、腐らせていると言ってもいい。

 何か臭みや変な苦みがあるのではないかと思ったがそうではない。

 脂のとろける具合も、旨みも何もかもがパワーアップしていて、それでいて上品な味がたまらない。

 鮮魚で食べた時は、漁師飯という感じだが、熟成させた方がコース料理を食べているかのような気品がある。


 さて、試したのは刺身だけではない。

 3日前のダブルランサーはほとんど刺身で消えてしまったが、熟成させた方は色んな食べ方をしようと決めていた。


 照り焼き、大蒜ソテー、ピカタなど色々試してみたが、俺が気に入ったのは断然ダブルランサーのステーキである。


 大振りに切ったダブルランサーの身を、酒、魚醤、みりん、大蒜に浸けて、しばらく寝かせる。

 そこに片栗粉をまぶし、油を引いた平鍋で両面を焼く。そこに浸け込んでいた汁を投入し、軽く蒸し上げて、完成だ。


 ナイフを入れると、ほろりと切れる身はよく付け汁を吸っていて、飴色に染まっている。

 刺身だけでも十分おいしいが、こうやって贅沢に食べるのも悪くない。


「いただきます」


 早速口の中に入れると、食べ応えがある厚切りの身が刺身以上に消えていく。

 魚醤とみりんの甘みが蜜柑を搾ったみたいにダブルランサーの身の本来の味と一緒に弾ける。おいしさのあまり、机を叩いてしまった俺の無作法をどうか許してくれ。


 大蒜のツンとした感じが、ややジャンクな感じを演出していて、腹が膨れていくのがわかる。


 刺身もおいしかったが、ステーキも当たりだ。


 今度、海に行くことがあれば、必ずダブルランサーは仕留めることにしよう。

 もちろん、熟成と鮮魚どっちも食べられるように用意しないとな。





 いつの間にか、グルメ旅になっていたが、俺の社員旅行はここからが本番である。


 なんせまだ目的の島についてないんだからな。船旅だけでもう幸せいっぱいなのだが、ここからもっとシエルには幸せになってほしい。


 そしていよいよ俺たちは、例の島へと到着した。


 スライムの島――エシャランド島である。


WEBTOON作品『ごはんですよ、フェンリルさん』が、本日最新話更新されました。

LINEマンガ、ハイクコミック様で読むことができますので、よろしくお願いします。


挿絵(By みてみん)

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