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【コミック発売中】魔物を狩るなと言われた最強ハンター、料理ギルドに転職する~好待遇な上においしいものまで食べれて幸せです~  作者: 延野正行
第7章 魔獣食材偽装編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

125/222

第125話 元S級ハンター、闇市へ

☆☆ コミカライズ更新 ☆☆

本日コミックノヴァにて『第6話』のコミカライズが更新されました。

ついに三つ首ワイバーンと対決です!

おかげさまで、コミック好評でして続刊も決まっております。

今のうちにコミックス1巻を買って読み返してもらえると嬉しいです。


挿絵(By みてみん)

 闇市――。


 そういうものが、ヴァナハイア王国にあるらしいことは、以前から知っていた。


 普通の雑貨品から違法な薬物、魔導具、果ては人やその一部なども売られていると聞く。


 犯罪者御用達のコミュニティだ。


 場所について捕まえた男は最初白状することを渋っていた。それが闇市に出入りするための絶対条件だからだ。


 だが、三つ首ワイバーンをけしかけたら、すぐに暴露した。


 最初こそどんな拷問にも耐えると威勢の良いことを話していたが、何をするかわからない野生の恐怖には抗えなかったようだ。


「場所はチチガガ湾北の岬だ。そこに闇市に入る入口があるらしい」


 チチガガ湾は以前俺たちがリヴァイアサンの卵を取った場所である。


 確か北側は絶壁になっていたはず。乗り込むなら船がいるか。


「中はどうなってるんですか?」


 オリヴィアは胸に抱いた資料をギュッと抱きしめる。


「武装した護衛がゴロゴロしてるそうだ」


「それはかなり危険ねぇ~」


 とギルドマスターがオリヴィアの肩に手を置く。


 俺たちがいるのは、料理ギルドの執務室ではない。


 衛兵の詰め所の中にある取調室の前である。


 部屋の中では、いまだに衛兵による聞き込みが行われていた。


 俺には素直に喋った細身の男だが、衛兵に引き渡してからは沈黙を貫いている。さすがにこんなところにまで、魔獣が来ないと思っているのだろう。


 まあ、だいたいのことは聞けたし、衛兵には話してある。


 ただ問題はどうやって闇市に潜入するかだ。


「普通の方法では難しいだろう。だから、あいつを使う」


 取調室で衛兵に絞られている男を指差した。


「犯罪者を使うんですか?」


 オリヴィアは首を傾げる。


 俺は衛兵に許可をもらって、もう1度取調室に入った。


 プリムとリルも一緒にだ。


 すると、あの時の状況を思い出したのだろう。


 男の顔からサッと血の気が引いていく。


 カタカタと奥歯を鳴らしながら、震え始めた。


 魔物を使った尋問は、効果覿面だったようだな。


 ちなみに名前はダクアスというそうだ。


「ダクアス、お前に頼みがある」


「た、頼み?」


 ダクアスは眉をピンと上げるのだった。



 ◆◇◆◇◆



 翌日――。


 俺はチチガガ湾の洋上にいた。


 小舟には俺、プリム、リル、さらにオリヴィアが乗せられ、ダクアスの操舵で闇市のある場所に向かっている。


「おい。1つ確認するがよ。本当におれの命は保証してくれるんだろうな」


 ダクアスは櫓を漕ぎながら、渋い顔を俺に向ける。


「保証も何も……。放っておいたって、任務に失敗したお前を組織とやらは生かしておかないだろう。なら、俺たちについた方が生存率が上がる。だから、俺たちについたんじゃないのか?」


「そ、そりゃそうだけどよ。だからかって何もこんな大所帯で虎穴に入らなくても……」


「闇市に向かうにしても、手土産が必要だと言ったのはお前だろ? たしか奴隷の1人や2人ぐらい手土産に持っていかないと、入る前に首を切られるとかなんとか」


「ま、まあな……」


 ダクアスの顔色が悪い。


 悪党を震え上がらせるということは、相当な暗黒街なんだろう。


 俺は視線を、頭が垂れたオリヴィアに向けた。


「大丈夫か、オリヴィア?」


「え? あ! は、はい……」


 オリヴィアは慌てた様子で頷く。


 大丈夫とは思えないがな。


 だが、今回オリヴィアの協力がどうしても必要なのだ。



 ◆◇◆◇◆



 昨日――。


「奴隷の人選は、俺、プリム、リルで行く。十分だろ?」


「全然駄目だ」


「は?」


 プリムは珍しい赤耳族。


 リルは神獣だ。


 俺も自分で言うのもなんだが、ピュアエルフでは珍しい黒髪黒目である。


 こういう違法人身売買市場は、珍しい奴隷が重宝されると聞くが……。


「確かにな。でも、珍しいのは絵画みたいなもので飽きちまう。獣人は珍しいだろうが、扱いが厄介だし、神獣も同じだ。ゼレット、あんたは割と高値で売れるかもだが、買い手が狭い」


 買い手が狭いって。


 こいつら、俺をどういう顧客に売るつもりなんだろうか。


「違法人身売買で、高値で売れるのはいつの世も子どもだ。子どもの奴隷は基本的にいないが、貴族は世継ぎ、変態は性のはけ口に、人体実験も子どもなら維持費が少なくてすむ。引く手あまた何だよ」


 ゴンッ!


 反射的に俺は机を叩いていた。


 虫酸が走る話だ。


 俺も一児の父だ。昔なら眉根を潜めた程度なのだろうが、今は状況が違う。


 シエルがそういう商品なったなら、はっきり言って俺は俺を止める自信がない。


「そ、そんなに怒るなよ。お前さんの子どもを差し出せってわけじゃない。ようは見た目が子どもであればいいって話さ」


「見た目が子ども?」

「あいー。子どもー?」

『ワァウ!』

「なるほどぉ。見た目がねぇ~」


 皆の視線が一斉に動く。


 そこにいたのは、どう見ても子どもにしか見えないギルドの受付嬢の姿があった。


「え? わ、わわわわわたしですか?? い、いや! いくらわたしが小さいって言っても、さ、さすがに子どもとは……」


「いや、問題ねぇと思うぜ。あんたぐらいの年格好でも、十分商品になる」


「と、年格好って!! わたし、これでも25歳ですよ、今年で!!」


「に、25歳!! 嘘だろ! そんなにちっこいのに?」


「ちっちゃくありません!!」


 オリヴィアは子どもみたいに目くじらを立て、子どもみたいに手を上げる。


 そのオリヴィアの頭を撫でたのは、俺だった。


「オリヴィア……」


「は、はい……」


「お前のことは絶対守る。協力してくれないか?」


 オリヴィアの目線に合わせるようにしゃがむと、しばし逡巡した後、快諾してくれた。


 こうして俺たちは彼女を連れて、闇市へ潜入することになったのだ。


ちょっと体調が上下していて、WEBの更新が滞り申し訳ない。

仕事の量と心労のダブルパンチで、なかなかWEBの作業までに辿り着けない状況でして……。

なるべく間を開けないように更新していきますので、

引き続きご愛顧いただければ幸いです。


ちなみに同じ飯テロ漫画で、私原作の『ゼロスキルの料理番』の4巻が、

3月10日発売されます。

すでに予約が始まっておりますので、是非お買い上げ下さい。

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