表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソウルキャッチャーズ~私は一般人でいたいのだ~  作者: 熊出
第六章 全て、無駄です
99/391

開戦

 エミリーは覚悟を決めていた。

 今日、自分は人を殺す。その覚悟を決めていた。

 あらたに仲間になったのは剣士。

 斎藤翠にとどめを刺すまでは警官を足止めしてくれるだろう。


「行くぞ」


 鬼の一言によって、三人で移動する。

 そして、鬼は青年の姿になった。

 こうでもしなければ、すぐに警察に連絡がいって逮捕されてしまう。


 そして、三人は、警察寮の前に辿り着いた。


「おいおい、部外者は立入禁止だよ」


 純朴そうな青年が、話しかけてくる。


「すいません、友達に呼ばれて来たんです」


 言葉の意味はエミリーにはわからないが、青年が上手く誤魔化してくれているらしかった。


「じゃあ、その友人を呼んでくるから、名前教えて?」


「名前は……」


「うん」


「斎藤翠です」


「えっ」


 警官が呟いた次の瞬間、青年は鬼の姿になっていた。

 そして、一撃殴っただけで警官を行動不能にする。


「行くぞ! ゴーゴーゴーゴー!」


 エミリーは鬼の後を追い駆けて行く。

 少しばかりの躊躇いを感じながら。


「優しくないと、泣いてなんてくれないよ」


 巴の声が脳裏に蘇る。

 私は、本当にこれでいいのか?


 躊躇っているうちに、鬼は部屋を見つけ出したようだった。


「名札が張ってないけど郵送物が入ってたポスト。この部屋だ。胡散臭えぜ」


 そう言った瞬間、扉が勢いよく開いた。

 鬼は顔をうち、倒れる。


 天衣無縫。最強の超越者。斎藤翠がそこには立っていた。


「三人がかり、か……」


 翠は呟くように言う。


「ま、時間稼ぎぐらいはできるでしょうね」


 そう言って、彼女はバリアを展開した。

 鬼が扉を破って、金棒を振り下ろす。

 それを、翠は余裕を持ってバリアで受け止める。


 そして、バリアを解除すると彼女は指先を鬼に向けた。

 光線が発射され、鬼の腸を焼く。


「ぐおおおおお」


 呻いて、鬼は地面に倒れ伏した。

 瞬殺。ありえないスピードだ。


「援護が来る。俺が引き止めるから、斎藤翠はお前が!」


 そう言って、剣士は手に剣を作り出して構えた。


「……了解」


 この瞬間、エミリーは敗北を覚悟していた。

 死の覚悟はする必要がない。自分が死ねば弟が死んでしまう。だから、死ねない。

 考えるのはこの状況を打破する策のみ。


 エミリーは両手に拳銃、両肩にロケットランチャーを呼び出し、一斉射撃した。

 ロケットランチャーは流石に予想していなかったのだろう。

 大爆発がおきて床が壊れ、翠は下の階へと落下した。



第十話 完

次回『剣士、二人』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ