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ソウルキャッチャーズ~私は一般人でいたいのだ~  作者: 熊出
第三十二章 ソウルキャッチャーズ(最終部最終章)
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エレメンタルカラーズ

「皆、調整はしてきた?」


 エレンが言う。


「皆……なんで……」


 セレナが、息も絶え絶えに問う。


「……あんたを助けに来たのよ」


 エレンが、消え入るような声で言う。


「どかんと行こうよ」


 エレーヌが土の魔術を使い相手を拘束する。


「細かい調整は薬でする。セレナが弱ってる分は考慮して威力は若干抑える。それでいいね?」


 エレンが問う。


「いいよ」


「……了解」


 エレーヌとシンシアが答える。

 セレナは、苦笑した。


「わかった」


 四つの手が重ねられる。

 炎、氷、土、風。

 四つの魔素が四人から放たれ、混ざりあい、対消滅と合成を繰り返す。


「シンシア、若干落として」


「……わかった」


「エレーヌ、薬半錠」


「了解」


 光が放たれ始めた。


「いくわよ!」


 エレンが言う。


「エレメンタルカラーズ!」


 四人の声が重なった。

 まばゆい光は全てを吸い込み、ドラゴンの頭をも破壊していった。

 ドラゴンが、地面に倒れ伏す。


 エレンが片手を上げた。

 それに、三人が手をぶつけていく。


「……恐ろしいやっちゃ」


 ぼやくように言った相馬だった。


「それにしても、どうやってここへ?」


「一人が危機に瀕すれば、他の三人が協力に現れる。私達はそういう風にできている」


 エレンは誇らしげに言う。


「このハートの欠片か……」


 シンシアは苦笑交じりに、帽子につけたアクセサリーを眺める。ハートを四分割したような形をしていた。


「それじゃあ、行くか。ラスボスを倒しに」


「え、今そういう局面なの?」


 エレンが戸惑うように言う。


「そういうこった」


 苦笑交じりに言って、相馬は駆け出した。

 そして、膝から崩れ落ちた。

 ドラゴンとの戦いの緊張感。それは極度の疲労を相馬に強いていた。

 セレナも同じようだ。


「少し休憩しましょう」


 勇気が言う。


「足手まといになるよりは、少し体調を整えたほうがいいはずです。チョコとか栄養あるもの食べたほうがいいですね」


 そう言いつつ勇気は歩いていく。


「お前は、どこへ?」


「私は首都八剣第六席です。大して活躍もしなかったし、余裕はある」


「獣は最後まで戦う力を残すか……」


 相馬は呆れたように言うと、片手を上げた。


「頑張れ」


 勇気は相馬の手を叩くと、駆け足で部屋を出ていった。



第十一話 完

次回『ソウルキャッチャーズ』

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