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ソウルキャッチャーズ~私は一般人でいたいのだ~  作者: 熊出
第三十二章 ソウルキャッチャーズ(最終部最終章)
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大輝対ミカ

「まったく魑魅魍魎の住処だな」


 エレメンタルカラーズで次々に現れるドラゴンや剣士を排除しながら大輝は進む。

 たった数十分猶予を与えただけでこの有様だ。

 月単位の時間を与えれば、日本を占拠するだけの武力はひねり出してしまうのかもしれない。


(ぞっとしない話だ)


 大輝はぼやくように思う。

 そして、大輝は大きな扉の前に辿り着いた。

 扉を開ける。


 ミカがいる。

 その傍のゲートは既に、赤子なら通れるぐらいには大きくなっていた。


「仕事が早いね」


 大輝は皮肉るように言う。


「私と私に同意するものはゲートがなくても移動できる。けど、その消耗は半端なものではない」


「ゲートのほうがお手軽ってことか」


「それに、魔物の脅威から超越者が優遇される世界になる」


「私が、の間違いだろう?」


 ミカが、憎々しげに大輝を睨む。


「ユート、涼花、ドラゴン。精鋭を揃えたつもりだったけど、とんだ厄介者を通したわね」


「叱ってやるなよ。奴らは十分仕事をしている。ただ、俺達にも戦力があっただけの話だ」


「そうでしょうね」


 ミカは、大輝に向かって手を開く。

 その瞬間、悪寒が大輝を襲った。

 これは、ミカに捕らえられた魂の声にならぬ悲鳴。


「……どれほど魂を食った」


「答える義務は、あるかしら」


 そう言って、ミカは手に剣を浮かべ、大輝に飛びかかる。

 大輝も咄嗟に剣を生み出し、受ける。

 ミカの背後から、四つのゲートが開いた。


「喰らいなさい! 四属性の威力を!」


「お前が喰らえ!」


 そう言って、大輝はミカを引き寄せ、盾にした。

 爆発が巻き起こった。


 大輝とミカは同じ部屋の違う場所に立っていた。

 ミカが後頭部で大輝の鼻を思い切り叩きつける。

 これにはたまらず、大輝は腕を放して距離を置いた。


「ワープ能力か」


「ついてこれないわよ。私のスピードには」



+++



 翠は魑魅魍魎の巣を駆けていた。あらゆる敵を氷漬けにして進む。

 そして、楓と遭遇した。


「……本物?」


 剣を構えて、翠は探るように言う。


「魂を見ればわかるでしょ、ソウルキャッチャー」


「その呼び方は楓さんですね。失礼しました」


 そう言って、翠は剣を収めた。


「そっちはあなた一人?」


「本当はアラタくんと灯火ちゃんも来ていたんですが……」


「別行動になった?」


「ええ。希望のある未来のために」


 楓はしばし考え込んでいたが、苦笑した。


「そう」


 楓は歩き出す。


「じゃあ、進もうじゃない。私達の、輝ける未来に向かって」


「ええ」


 翠は、楓の手を取って駆け出した。

 二人は、大きな扉の中へと入っていった。



第七話 完

次回『三対一で』

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