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ソウルキャッチャーズ~私は一般人でいたいのだ~  作者: 熊出
第三十二章 ソウルキャッチャーズ(最終部最終章)
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翠チーム、楓チーム、藤子チーム

「ついにきたか、この日が」


 車から降りた恭司が、複雑な思いをこめて言う。

 私とセレナは後部座席から降りた。


 確かに、古城跡地は変わっていた。

 石垣がなくなり、代わりに背の高い宮殿が建っている。


 こうしている間にもミカはゲートを広げているだろう。

 どうにかせねばならなかった。


 次いで、軽自動車がドリフトしながら恭司の車の隣に停まった。

 運転席から降りてきたのは藤原藤子。


「こりゃあやられたね。ひでえや」


 他人事のように言う。

 巴、アラタ、大輝、灯火も一緒だ。


 それから数秒もしないうちに中原家グループが混ざり、元々現地にいた勇気が加わり、十一人の集団となった。


「不思議ね」


 楓は、微笑んで言う。


「負ける気がしないわ」


「私もよ」


 藤子が、胸を張って言う。

 二人は、手と手を握り合った。

 そして、私は宮殿の傍まで移動したのだった。


「入り口が三つある」


 楓は、呟くように言う。


「罠、ではないだろうね」


 藤子は確信したように言う。


「気配を察知したところ、全部の入り口の先に大きな気配がある。多分、一つの道だけを選べば背後から急襲を受ける」


「三方面の敵を一気に倒せってわけか」


 私は、腕を組んで考え込んだ。

 一分ほど、無言で時間が経った。

 皆の視線が楓に集まる。


「チーム分けしましょう」


 楓は、淡々とそう言った。


「間違えないでほしいのは、今回の目的はあくまでもミカだということ。数の利を通して善戦しても意味がない。最奥に待つミカに一撃を入れることに意味がある。バラバラにしても再生する敵。それを倒すにはソウルキャッチャー、スキルキャンセラーの力が必要になる。セレナ、ちょっと火球を宮殿に撃ってみて」


 セレナが、宮殿に向かって火球を放った。

 それは、あっという間にかき消えた。


「建物そのものにスキルキャンセル効果が付与されている。ルート短縮は無理ね」


 淡々と言って、楓は言葉を続けた。


「斎藤翠、辻白恭司、遠野アラタ、言ノ葉灯火」


「はい!」


 四つの声が重なる。


「あなた達は正面のルートを」


「了解」


 私に恭司にアラタ。この土地における最強メンバーと言えるだろう。

 そこに補佐役の灯火を入れることで堅実性も増している。


「藤原さん、木下巴、皆城大輝」


「はい」


「おう」


「右手のルートを頼むわ。大輝、上層で会いましょう」


「了解」


「話はわかったわ。ここは指示に従いましょう」


 と、藤子。


「精々死なないようにな」


 と、大輝。


「中原相馬、楓……まあ、私ね。園部勇気、斎藤セレナは左手から進軍します」


 楓が、手を叩く。


「一人でも多くを先へ。そして、先へ辿り着いても数人で挑んで。私達は死ににきたんじゃない。勝ちにきたんだ」


 私達は頷いた。

 そして、それぞれの進軍が始まった。



第四話 完




次回『再会は激情と共に』

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