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ソウルキャッチャーズ~私は一般人でいたいのだ~  作者: 熊出
第三十二章 ソウルキャッチャーズ(最終部最終章)
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告白

 翌日、私は恭司に誘われてドライブに出ていた。

 パトロールも兼ねて、とのことだったが、恭司は気を抜ききっている。

 遊びたいなら遊びたいと素直に言えばいいのだ。そう考え、私は少し苛立つ。


 そのうち、車は砂浜で停まった。

 水平線の向こうに巨大な山。

 頂上の方には雪が積もってる。


「なあ」


 恭司は口を開く。


「なに?」


「今回の決戦が終われば、戦いは終わるんだよな?」


「まだアメリカの施設について突き止めていない」


「しかし、俺達の仕事の範疇ではない」


 私は黙り込む。確かに、と思ってしまったのだ。別の国に行って悪を討つ。越権行為に他ならない。

 しばし、沈黙が漂った。


「結婚しないか」


 それが、沈黙を破る一言。


「……私は敵が多い」


「けど、ミカを倒せば多少は減るだろう?」


「そうかもしれないけど……」


「今更、お前がいない生活なんて考えられないよ。なら、結婚するしかないじゃないか」


 私は口ごもっていた。

 手が緊張で汗まみれになっている。やけに喉が乾いた。


「ま、考えといてくれ」


「するよ」


 私は、掠れた声で咄嗟に言っていた。


「恭司のお嫁さんに、なる」


「そうか」


 恭司は微笑んで、車のアクセルを踏む。

 ゆっくりと車体は動き始めた。


「これで俺も妻子持ちになるわけだ。もう無茶はできなくなるな」


 恭司が思い描くのは、とても平和な未来だろう。

 しかし、私も、セレナも、どっぷりと超対室の戦いに浸かっている。

 きっと、何度も喧嘩するのだろう。


 それでも、恭司といたい。それが私の素直な思いだった。


「最終決戦が終わるまで、この先の話はやめておこう」


 そう、恭司は言う。


「まずはそれをかたさんと、計画が立たないからな」


 私は苦笑する。


「それもそうね。ウェディングドレスで戦うなんてコストパフォマンスが悪い事態になったら私、泣くわ」


 その光景を想像したのか、恭司は少し笑った。



第二話 完

次回『上機嫌』

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