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ソウルキャッチャーズ~私は一般人でいたいのだ~  作者: 熊出
第三十一章 老兵最後の戦い
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 私は建物の外に出て唖然とした。

 煙が町のあちこちから立ち上っている。

 それを修復するのにどれだけ時間がかかるか。


 私は駆けた。

 そして、ビルの屋上から屋上へと飛び移っていく。

 異業の怪物に、その目は釘付けになった。

 渋谷の一○九に巨大な炎の怪物が寄りかかっている。

 渋谷のいつもの景観を壊す敵。


 私の心の中に憎悪が灯った。


 地面にひとまず下りて、駆ける。


「どうするんだ、あんな巨大な化け物!」


「天衣無縫は援軍に来られないのか? ワープできるんだろう?」


 炎と戦いながら口々に嘆く人々。

 それを糸を縫うようにして駆けながら、私は跳躍した。

 一瞬で、頭部へと届く。


「篠塚流奥義……!」


 刀の柄に手を乗せる。そして、刀を抜く。

 それは、第一席に習った技。


「一石斬光!」


 巨大な光刃が現れ、それが巨大な炎の核を叩き潰す。

 炎の魔人は消え、後には細かな敵が残るのみになる。

 私はまた駆け始めた。


「なんだ……?」


「レベルが違いすぎる……」


 唖然とした周囲の声が届く中、私は駆けた。



+++



「む」


 クリエイターは、一つ呟いた。


「巨大な気配が二つ消えた。一つは渋谷。一つはこの階下」


 残り少ない足場に残っていたクリエイターは、そう呟いている。


「流石は首都。化物揃いと見える」


「投降するなら今のうちだぞ」


 そう言って、氷の柱の上に立った慎一郎は刀を突き出す。


「……もっと混乱が見たかった。俺を馬鹿にした世界が混乱に陥る様が見たかった。俺を馬鹿にしてきた奴の表情が俺を見て恐怖に歪む様を見たかった」


 クリエイターの体が傾く。


「元々、無理な話だったな」


 クリエイターの体は、穴が空いた地下へと真っ直ぐに落ちていった。

 その体が真っ二つになる。

 藤子が壁を蹴りながら慎一郎の柱に着地した。


「あの巨大な奴は?」


「倒したけど? クリエイターはさっき私が真っ二つにした奴よね。ってことは敵は全滅かあ。退屈退屈」


 第三神将は、心底暴れるのが好きらしい。




第九話 完

次回『清見清十郎』

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