第三席と第四席と招かれざる客
「じーちゃんとデートしたんだって?」
場所は警察寮の私の部屋だ。
首都八剣、第三神将藤子の言葉に私は飲んでいた牛乳をふきそうになった。
「一緒に散歩しただけですよ」
「ふーん。弁当とかも作らず?」
「作ってないですね」
大嘘だった。
「あんたも辛い立場だね」
藤子の言葉に、私は戸惑った。
第一席の相手は、実の祖父を相手にしているようで悪い気はしない。
藤子は私の内心を察したらしく、手を前に出して大げさに振った。
「いやいやいや、そういう意味ではないんだ。東京が被害にあっていても、護衛対象の傍にいなければならない。有り余る力を、温存しなければならない」
「まあ、それも仕事ですからね。第一席や藤子さんがいるから解決は疑っていませんよ」
「そう信頼されても困るんだけどね」
「第三神将がなにを言います」
私はからかい調子で言う。
「まあ、ね」
藤子は自分の腕を信じている。
こうあれたら、とたまに私は思う。
その時のことだった。
警官が駆け寄ってきた。
「東京の各地で火災! 消防車ではフォローしきれないそうです。それどころか、消防士が襲われているとか」
「じゃあ、行くよ」
藤子は、緩く微笑んで言った。
「私も、護衛対象の傍に行きます。ご武運を」
「ああ。また、会おう」
そう言って、藤子は駆けていった。
+++
第一席は首都八剣の道場の屋根の上に座っていた。
待つのは敵の首魁。それにしか興味はない。
些事ならば部下達がなんとかしてくれるだろう。
ならば自分の仕事は、敵の首魁を倒すこと。
第一席は、静かに首謀者の登場を待つ。
第四話 完
次回『大混乱』




