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ソウルキャッチャーズ~私は一般人でいたいのだ~  作者: 熊出
第二十九章 恋喰う肉塊
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東京旅行

「ねえ、お母さん」


「んー? なあに?」


 セレナの問いに、翠は味噌汁の味を見ながら答える。


「週末、東京へ行こうと思うんだけど」


 翠は、お玉を置いた。


「お金はどうするのよ」


「バイトで稼いだ」


「エレンちゃん達も一緒?」


「うん。勇気さんが保護者してくれるって」


「うーん、そうねえ」


 翠はしばし考え込む。

 バイトをしてまで望んだ旅行だ。邪魔をするのも悪い。

 勇気もボディガードとしては十分な実力者だろう。


「いいわよ、いってらっしゃい」


 そう言うと、セレナは表情を緩めた。


「ありがと」


 セレナは駆け足で部屋に戻っていく。


(なんかアラタくんもだし、皆東京に出たがるわね)


「そりゃ、ここ田舎だもんさ」


 歩美の言葉に、私は反論の言葉を失った。


(それも、そうかもね。私は好きだけど。自分の故郷で)


「セレナだって好きだと思うよ。けど、暮らした月日が多少短すぎたね」


(うーん。東京行かれたらボディーガードができないなあ)


「そんな先のこと考えても仕方ないよ」


 私はしばらく黙り込む。


(それも、そうね)


 そして、私は調理に戻った。



+++



「準備はいい?」


「いつでも」


「どこでも」


 エレンの問いに、セレナとエレーヌは調子を揃えて答える。

 思わず苦笑するエレンだった。


「それじゃあ行くわよ。アポはもう取ってあるから」


「流石エレン。ぬかりないわね」


 セレナは呆れたように言う。そして、言葉を続けた。


「私達も、壁を越えよう」


 三人は、警視庁へと進んでいく。



+++



「おや?」


 上座の老人が戸惑うように片眉を上げる。

 乱入者は、礼をすると、道場の中に入ってきた。手には、刀がある。しかし、まだ若い少女のように見えた。


「ここまでには何人ものボディーガードがいたと思うが」


「全員、気絶させてきました」


「ほう……」


 老人、第一席は面白いとばかりに腰を上げる。


「刺客の類か?」


「いえ」


 少女は刀を構える。


「私は園部勇気。一手、ご教授願いたい」


「ああ、アラタくんの弟子か。面白い。今、八席には空席が一つある」


 勇気は息を呑む。


「しかし、軽々と与えられるとは思わぬことだ」


 そう言って、第一席は仕込み杖から刀を抜いた。



第四話 完

次回『ミカの暗躍』

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