事後処理
「第四席に格上げになりました」
巴から僕にそんな連絡があったのは、一月も末のことだ。
「めでたいですね。立ちあったんですか?」
「いえ。色々編成を変えようという流れで、気がついたら四席を与えられていました」
「まあ、不祥事ですものね」
「まったくです。君には第五席が用意されています」
僕は絶句した。
しばらく、心の中で言葉を考える。
「……優遇され過ぎでは? コネですか?」
「確かに、第三神将が熱心に推したのは否定しません。しかし、君の実力ですよ」
「そうですか……」
そうと言われても、藤子はともかく、見知らぬ人間に評価されたというのはなんだか違和感が残る。
「四月が楽しみですね。ゆっくり花見でもしましょう」
「はい、師匠もお元気で」
「ええ。では、切ります」
通話はそれで終わった。
(首都八剣第五席、遠野アラタか……)
なんだかしっくりくる気がする。
ここから上は師匠ら人外の領域だ。その狭間に、自分は相応しいように思えた。
「アラター。バス行っちゃうよー」
響が声をかけてくる。
そうだ、デートの予定なのだった。
アラタは姿見で一度自分の姿を確認すると、駆け足で階段を降りていった。
第二十八章 完
今週の更新はここまでです。




