忍者二人
煙が舞い上がる。
しばらく経って、二人の男性がやってきた。
平日昼間の公園。
歩いている人間は彼らを除いて皆無だった。
彼らは地面に手を当てしばらく立ち止まっていたが、倒れている忍者の下に駆け出した。
喉に手を当てて呼吸を確認している。
その顔が安堵に緩んだ時だった。
火球が、男の一人の頭を狙った。
「やはり罠か。お前は若い、退け」
中年男性がくないを構えて言う。
若い男性はしばらく迷っていたが、駆け去っていった。
「ほう。若い芽は逃がすか。若い芽を潰そうという輩にしては愁傷な考えだな」
そう言って、大輝は姿を現した。
両腕を組んで、相手を見下ろしている。
「最近、寝不足でね」
「戦闘にコンディションを整えるのもプロの仕事だ」
「いや」
そう言って、大輝は口元に手を当てる。笑いを堪えるように。
「お前の同僚を拷問するのに時間かけてたんだわ。最後まで泣かなかったのは見ものだったぜ」
「悪鬼が……!」
「人の命を狙った奴の言うことかよ。来いよ。三分で死体にしてやるぜ」
「仲間の撤退時間は稼いでみせる!」
「はたして、どうかね」
周囲に巨大な五本の腕が現れた。それは敵を包み込むように地面へと角度を変えていった。
「バケモノめ……!」
「同病相憐れもうぜ」
大輝の腕が、完全に相手を握りつぶした。
+++
男は、目の前に立ち塞がった青年に戸惑った。
日本刀を腰に帯びている時代錯誤な青年。
その顔を見て、即座に今回のターゲットの写真を思い出し、焦った。
寝込みを襲わなければ、勝てる相手ではない。
彼は刀を抜くと、唱えた。
「フォルムチェンジ!」
その瞬間、彼は白いフルフェイスヘルメットとスーツをまとったヒーローのような姿になった。
男はくないを構える。
そして、二人は交差した。
男はみぞおちを柄で突かれて、胃液を吐いてその場に倒れ込んだ。
「……感覚狂ってきたな。藤子さんに比べたら弱すぎる。刺客に選ばれたってことは一線級なんだろうけど」
後頭部を殴られて、男は意識を失った。
第九話 完
次回『第七席と、第八席と』




