ボスとの邂逅
正直、ワープスキルを使うのは今も不安だ。
再出現地はビルも届かないような上空に設定してある。
ただし今回は、見知った地。
そこまで気をつけなくて良さそうだ。
私は目を閉じて念じた。
自分の立っている座標がずれることをイメージする。
そして、次の瞬間、私の体は空中にあった。
落下して、右手で地面を押して体勢を整える。
着物姿の少女が、振り向いた。
「来たのね、ソウルキャッチャー……いや」
そう言って、少女は唇の両端を持ち上げる。
「やっと会えたのう。ソウルキャッチャー」
これが石神幽子。今回のボス。
口を開こうとした瞬間、銃口を向けられて、私は幽子の背後にワープした。
そして、ホルスターから銃を取り出す。
その瞬間、幽子は私の視界から消えていた。
(何処……?)
(斜め後方、右上!)
私はワープして、その位置の背後に移動した。
微笑んだ幽子が、私に向けて銃口を向けていた。
更に、ワープする。
「くそっ。一筋縄じゃいかないか……」
(私の探知能力に感謝するのね)
久々に聞く歩美の声だ。
(久々ね)
(私達は、二人で一つだ)
ワープによる隙のつきあい。
果ての見えない戦いが始まっていた。
第五話 完
次回『それぞれの進軍』




