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ソウルキャッチャーズ~私は一般人でいたいのだ~  作者: 熊出
第二十四章 プリテンダーを聞きながら
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女子会、その2

「それは散々なクリスマスでしたね」


 翠は苦笑交じりに言う。


「男の前で迂闊なことは言うもんじゃないね」


 私は疲れ果てた、と言いたかった。


「けど、有栖ちゃんもしっかりしてるからきっと面倒見てくれますよ」


 とはシスター水月。


「きっと協力頼まなきゃいけないんだろうなー」


 申し訳ない思いで私は言う。


「慣れですよ。夜泣きで私は少々睡眠不足ですが」


「そういやシスター。遊びに出る時子供はどうしてるの?」


 私はふと気になって訊ねてみた。


「葵くんが見てくれてます」


「いい旦那っぷりだ」


「そうですねえ。けど葵くん、女連れなんですよね」


「浮気……!」


「というわけでもないとは思うんですけどね。英治さんとはどうですか?」


「今度飲みに行く予定。酒で酔えるかどうか実験したいって」


「相馬さんはいいって?」


 訊ねたのは翠だ。


「いいらしいよ。旧友との約束なら仕方あるまいって」


「いいなあ。私んとこじゃ絶対キャンセルさせられるやつだ」


「思うにね。女は女の醜さをよく知っているって言われてるけど、男も男の醜さをよく知っているんだと思うよ」


「そういうもんですかねー」


 翠はコーヒーを一口飲む。


「けど、良かったですよね」


 翠の言葉に、私と水月は怪訝な表情になる。


「二人は、運命の人と出会えて」


「恭司を省いてやるなよ」


 私は思わず苦笑する。


「この人でいいのかってたまに思って、その後凄い虚しくなるんですよ。なんなんだろうなーこれ」


「けど、恭司さんも格好良いシーンが沢山あったじゃないですか」


「そうなんですけどねー」


 女子会は続いていく。一瞬、節子と英治と三人でつるんでいた時期を思い出し、私は一筋の涙を流した。

 英治は蘇ったが、節子は死んだ。

 きっと、この三人の女子会にもいつか終わりがくる。

 それならそれまで楽しもう。このパーティーのような毎日を。


「かんぱーい」


 脈絡もなく私はコップを掲げる。


「かんぱーい」


 二人は咄嗟にのってくれた。

 三つのコップがぶつかる。


「あんたら大好きだ」


 そう言って微笑む私に、二人は若干戸惑うような表情になったが、そのまま会話に戻っていった。

 こうして、今日も時間は過ぎていく。

 かけがえのない時間が。



第二十四章 完

今年の更新はここまでになります。

コツコツ書いて300話。

来年もよろしくお願いします。


次回はアラタと響が軸になる予定です。

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