女子会、その2
「それは散々なクリスマスでしたね」
翠は苦笑交じりに言う。
「男の前で迂闊なことは言うもんじゃないね」
私は疲れ果てた、と言いたかった。
「けど、有栖ちゃんもしっかりしてるからきっと面倒見てくれますよ」
とはシスター水月。
「きっと協力頼まなきゃいけないんだろうなー」
申し訳ない思いで私は言う。
「慣れですよ。夜泣きで私は少々睡眠不足ですが」
「そういやシスター。遊びに出る時子供はどうしてるの?」
私はふと気になって訊ねてみた。
「葵くんが見てくれてます」
「いい旦那っぷりだ」
「そうですねえ。けど葵くん、女連れなんですよね」
「浮気……!」
「というわけでもないとは思うんですけどね。英治さんとはどうですか?」
「今度飲みに行く予定。酒で酔えるかどうか実験したいって」
「相馬さんはいいって?」
訊ねたのは翠だ。
「いいらしいよ。旧友との約束なら仕方あるまいって」
「いいなあ。私んとこじゃ絶対キャンセルさせられるやつだ」
「思うにね。女は女の醜さをよく知っているって言われてるけど、男も男の醜さをよく知っているんだと思うよ」
「そういうもんですかねー」
翠はコーヒーを一口飲む。
「けど、良かったですよね」
翠の言葉に、私と水月は怪訝な表情になる。
「二人は、運命の人と出会えて」
「恭司を省いてやるなよ」
私は思わず苦笑する。
「この人でいいのかってたまに思って、その後凄い虚しくなるんですよ。なんなんだろうなーこれ」
「けど、恭司さんも格好良いシーンが沢山あったじゃないですか」
「そうなんですけどねー」
女子会は続いていく。一瞬、節子と英治と三人でつるんでいた時期を思い出し、私は一筋の涙を流した。
英治は蘇ったが、節子は死んだ。
きっと、この三人の女子会にもいつか終わりがくる。
それならそれまで楽しもう。このパーティーのような毎日を。
「かんぱーい」
脈絡もなく私はコップを掲げる。
「かんぱーい」
二人は咄嗟にのってくれた。
三つのコップがぶつかる。
「あんたら大好きだ」
そう言って微笑む私に、二人は若干戸惑うような表情になったが、そのまま会話に戻っていった。
こうして、今日も時間は過ぎていく。
かけがえのない時間が。
第二十四章 完
今年の更新はここまでになります。
コツコツ書いて300話。
来年もよろしくお願いします。
次回はアラタと響が軸になる予定です。




