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ソウルキャッチャーズ~私は一般人でいたいのだ~  作者: 熊出
第二十四章 プリテンダーを聞きながら
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ネクロマンサー

 私が確認したところ、超対室のお抱えネクロマンサーの手配は既にされていた。

 名前は、加藤良輔。

 彼が英治をチェックすることになるらしい。

 後は、待つだけだ。


 相馬の涙を、不意に思い出した。

 英治のことばかりを考えている私は、確かに彼の運命の人ではないのかもしれない。そう思った。

 責められたことではないのだ。


 なら、英治は私の運命の人なのだろうか。

 それも違う気がする。

 プリテンダーが脳裏に反響する。


 私の運命の人は何処にいる?

 そんなことを考える。

 結婚もしている身で。


 相馬とも微妙にすれ違っている中で、良輔が訪れる日がやってきた。

 相馬は、なにも言わなかった。

 英治とのデートについても、彼のために奔走していることにも。

 それが、地味に辛かった。


 良輔と英治は対面する。

 そして、一時間ほど話した後で、良輔だけが出てきた。


「これは見事な術ですね」


 一言が、それだった。

 彼は案内されて、超対室の応接間に通される。

 その向かいに、私と室長が座った。


「記憶もしっかりしている。術の行使も支障はない。理論が破綻しているということもない。見事な蘇生術です」


「それでは、このままでも問題ないと?」


 室長が躊躇うように言う。

 良輔は、首を横に振った。


「ネクロマンサーにとって、復活させた死体は操り人形のようなものです。まず、その繋がりを断たなければならない。けど、繋がりを断てば人形は死体に戻る。八方手詰まりといった感じですね」


「あなたが英治を蘇生させれば解決するんじゃないですか?」


 私の質問に、良輔は少し渋い顔になった。


「できれば、もうやっています。あこまで完全な蘇生は珍しいと言ったのはそのためです」


「なるほど……」


「もしも、彼の生命エネルギーを保存している人間がいたら、事態は解決するのですが……」


 私は立ち上がっていた。


「大輝!」


 叫び声が応接室に響き渡る。

 元ソウルイーターの彼なら、英治の魂を持っているはずだ。


 私は慌ててスマートフォンを取り出し、電話をかける。

 英治は復活するかもしれない。

 復活したら、どうなる?

 私は相馬と、今の関係のままでいられるのだろうか。


 迷いは、一瞬。

 私は、英治の幸せを望む。

 私はコール音を聞きながら、焦れるように大輝の着信を待っていた。



第六話 完


次回『ソウルキャッチャー』

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