王剣対スキルキャンセラー
「この格好も久々です」
そう言って、巴は部屋の中に入ってくる。
巴は、防弾チョッキを縫い付けたマントに身を包んでいた。
「護衛任務はどう?」
「気を張りますねけど中々平和ですね。印象変わりますよ。で、私がここにいる理由ですが……わかりますね?」
「室長、かまいませんねー」
楓の問いに、室長は手振りで答えた。
楓はフォルダから写真を取り出す。
「半月前の駅のビデオカメラからの画像です」
赤いTシャツに身を包んだ男が写っている。
キャリーケースを持って、新幹線に乗ってきたのではないかと推察できた。
「間違いありません……」
巴の目が青く光った。
「私の、仇です」
「巴さん、スキルキャンセル能力出てる出てる」
巴はアラタの指摘で我に返ったのかスキルキャンセル能力を停止する。
「まだのうのうと生きていましたか」
巴は忌々しげに言う。
「彼の捜索も行ってはいるのですが、現状は魔法少女の捜索に力を割いています」
「魔法少女?」
巴が不思議そうな表情になる。
「魔法少女の格好をしたコスプレサイコ女がいるんですよ。矢にスキル封印の特性をつけてぶっ放しまくってるんです」
「ふむ……」
巴はしばし考え込む。
「その事件、私も解決に協力しましょう。その代わり、私の仇の捜索も引き続きお願いします」
「いいですか? 室長」
室長は手振りでオーケーサインを出した。
「心強いよ、巴」
そう言って、楓は巴の肩を抱き寄せる。
「まあ、一応の戦力にはなるはずです」
巴は少し照れくさげにそう言った。
「それで俺も便乗してお願いしたいんだけど」
アラタが言う。
「なんですか?」
巴が問う。
「俺と、真剣勝負をしてくれ。一対一で」
巴の表情が、曇るのがわかった。
第六話 完
次回『神速の剣技』




