それは慌ただしかった冬休みの終わり
「冬休み、終わるな」
縁側で一面の雪に覆われた庭を見ながら、アラタは言う。
その隣りに座った響は、茶をすすり、一つ頷く。
「宿題終わった?」
「あらかた」
「半分ぐらいか」
「俺の性格から進捗を推察すんのやめてくんない」
「けど当たりでしょ?」
「んー。そうさなあ」
アラタは茶をすする。
「勉強に関しては私はなにも言えないからね。自分で頑張って」
「どーせ俺には剣道での推薦があるから大丈夫だって」
「とか言ってて大きな大会の時に事件だって呼び出されたらどうするの?」
アラタは黙り込んだ。
ありありと想像できる未来だったからだ。
「なあ」
「なに?」
「スキル、欲しいか?」
「欲しいね」
「スキル貰っても、危険な戦いにはついてこないって誓えるか?」
「どういう意図の質問なの?」
響が鋭い視線で問う。
「いやな、義兄さんと話して、自衛のために響にもスキルを渡しておくべきかなって話が出てな」
「うん! ぜひ渡すべきだよ!」
「けど、約束してくれ」
「なにを?」
「俺の、日常の象徴でい続けてくれると」
響とアラタの唇が重なった。
「冬はスコップ、それ以外の季節は箒。なーんだ?」
「なんだ?」
アラタは苦笑する。
「私の装備だよ」
そう言って、響はアラタの腕に自分の腕を絡めた。
勇気とさつきが帰り、少し寂しくなった家で、二人は穏やかに過ごしていた。
第二十一章 完
今週の更新はここまでです。
次章は『魔法少女に休日はない』予定です。




