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ソウルキャッチャーズ~私は一般人でいたいのだ~  作者: 熊出
第十九話 エリー奪還作戦
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本来の歴史

「あれは本来の歴史では日の目を見ないはずのものだった」


 そう、取調室でエリーは言う。


「伊達政宗公が残した賢者の石。天衣無縫の異名が信頼感となって、あれは表に出た」


「それを奪うチャンスだと?」


「それもある。けど、それ以上に警察と反抗勢力の差を広げたくなかった」


 エリーは淡々と喋っていく。


「本当に反抗勢力の人になっちゃったんだね……」


 私は隣の部屋で、つい呟く。

 恭司が私の肩を抱き寄せた。


「十数年生きてりゃ色々あるさ」


「聞いているでしょう? 翠」


 エリーは叫ぶように言う。


「超越者は一般人の手先に管理されている。この現状を許すの?」


「そんなことよりも、私は平和な日常を大事にしたい」


 呟くが、位置的にも内容的にもエリーには届きそうもない。

 そして、その日、私は警察署を後にした。

 幼馴染が遠くに行ってしまったような寂しさを噛み締めながら。




第六話 完

次回『脱走』

投稿は明日になります。

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